出産させないシステムが完成した日本~破滅衝動=結婚をなぜ越えられないのか?

Business Journal / 2013年11月8日 18時0分

写真

 こんにちは。江端智一です。

 前々回、前回は、現在から将来のかけての人口減少の計算結果と、生涯未婚率の推移予測について記述しました。その中で、日本の人口が半分になるのは70年後、結婚を選択しない人が半分を超えるのは50年後、という結果を示しました。

 内閣府は「平成25年版少子化社会対策白書」(以下、少子化白書という)の中で少子化問題に対して、「我が国は、社会経済の根幹を揺るがしかねない『少子化危機』とも言うべき状況に直面している」との声明を出しております(「少子化危機突破のための緊急対策」)。

 私自身は、「社会基盤の根幹を揺るがす」などという認識では足りず、アガサクリスティの『そして誰もいなくなった』の国家レベルバージョン、日本史上最悪の国家存亡の危機、と考えています。

 内閣府の少子化対策の内容は、少子化白書に記載があります。まずは、その対策の方針だけを、大まかに図示したいと思います。

 まず、動機ですが、「日本経済がヤバイ」はまあいいとして、「国民の『幸せ』を叶えられない」という、上から目線の物言いがかんに障ります。しかし、内閣府にはこのような記載ができるだけの根拠があります。結婚に対する意識を調査した結果「第1-1-6図 調査別にみた、未婚者の生涯の結婚意思」(2010年)によれば、未婚者の男性、女性ともに、ほぼ9割が「いずれは結婚しようと考えている」からです。

 このデータを見れば、「生涯独身主義」とか、「孤独死上等」と叫んでいる人がいたとしても(実際、私の周りにもたくさんいますが)、それが少数派であることは明らかです。つまり、内閣府が「結婚→妊娠→出産」のパッケージメニューを、「『国民の幸せ』と称して何が悪い?」と、開き直れるだけの理由はあるのです。

●政府が掲げる少子化対策

 さて、次に少子化対策のアプローチ(進め方)なのですが、これは、いわゆる「3本の柱」なるもので説明されています。

 最も重点を置いているのは、出産後の育児支援体制です。まず法律で枠組みをつくり(「枠」)、設備(育児施設)をつくり(「箱」)、国民の意識の改革を目指す、という流れになっています。特に、「枠」と「箱」の話が多い。いや、むしろ「枠」と「箱」の話ばかりのように読めました。児童手当制度、教育・啓発普及、地域環境、妊産婦の経済的負担軽減、保育所待機児童の解消、小児医療の充実、ひとり親家庭への支援……。

ビジネスジャーナル

トピックスRSS

ランキング