NHK経営陣、安倍首相カラー強まる〜本格化する次期会長人事、中立報道に懸念の声も

Business Journal / 2013年11月18日 7時0分

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 安倍晋三内閣は10月25日、衆参両院の議院運営委員会理事会で、NHK経営委員に日本たばこ産業(JT)顧問の本田勝彦氏など5人を起用する国会同意人事案を提示し、11月8日、衆参両院で自民・公明両与党などの賛成多数で同意された。今回の5人は安倍首相に極めて近い顔触れであり、これで経営委員12人のうち10人が安倍政権下で任命されたメンバーに入れ替わる。

 今回の人事は、2014年1月24日に任期満了を迎える松本正之・NHK会長(元JR東海副会長)の交代を見据えたものといえる。松本氏を交代させ、「もっと自民党政権の言うことを聞く、イエスマン」(永田町筋)を後任の会長に据えるための布石とみられており、後任会長はNHKの内部昇格ではなく、外部から起用される方向だ。

 本田氏は東京大学の学生の時に、安倍首相の家庭教師を務めた過去もあり、今年6月、経営委員の任期満了を迎えた浜田健一郎・現委員長(ANA総合研究所会長、再任)の後任に、与党は当初本田氏を充てる方針だった。経営委員会は12人の外部委員で構成するNHKの最高意思決定機関。経営委員の任命には、衆参両院の同意が必要となる。本田氏はあまりに安倍首相に近いため、「参院選を控え、野党の同意を得るのは困難と判断。NHK経営委員長への起用を、与党はいったんはあきらめた」(同)。だが、衆参とも与党が絶対多数となり、今回、環境が整ったと判断した。

 安倍首相は過去にも、身近な人物をNHK経営委員長に起用した過去がある。第1次安倍内閣の時には、安倍首相を囲む会「四季の会」メンバーの富士フイルムホールディングス(HD)・古森重隆社長(当時)を委員長に起用した。本田氏は“ポスト浜田”の最短距離にあり、安倍政権が続けばNHK経営委員長に就任することになるとみられている。

 本田氏も「四季の会」メンバーで、同会を主宰するのは首相のブレーンである葛西敬之・JR東海会長だ。小説家の百田尚樹氏は昨秋の自民党総裁選前に「安倍総理大臣を求める民間人有志による緊急声明」の発起人であり、「自虐史観」を一貫して批判している。安倍晋三首相は百田氏の小説『永遠の0(ゼロ)』や出光興産の創業者の出光佐三をモデルにした『海賊とよばれた男』を愛読しており、今年8月には月刊誌の企画で百田氏と対談して意気投合した。

 菅義偉官房長官は10月25日の記者会見で「(安倍首相)自らが信頼し、評価している方にお願いするのは、ある意味で当然だ」と語り、NHK経営委員の人事案が首相主導で練られたことを隠そうともしなかった。JR九州会長の石原進氏は再任だが、再任されるということは安倍首相の考えに近いということだ。

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