佳境迎えるNHK会長後任人事の舞台裏〜透ける首相官邸の意向と、三井物産のトラウマ

Business Journal / 2013年12月17日 1時0分

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 来年1月24日に任期が切れるNHKの松本正之会長(69)の後任候補に、日本ユニシスの前社長で現特別顧問の籾井勝人氏(70)が浮上している。

 会長の任命権を持つNHK経営委員会(浜田健一郎委員長)には籾井氏を含めて4人程度の候補が推薦されており、12月24日の会合で正式に決められる見通しとなっている。籾井氏の推薦には、首相官邸サイドの意向が反映されているという。

 籾井氏は麻生太郎副総裁兼財務相のお膝元である福岡県山田市(現嘉麻市)の生まれであり、首相官邸と“九州人脈”でつながっている。安倍晋三首相の有力な経済ブレーンである古森重隆・富士フイルムホールディングス会長(74)も長崎県立長崎西高校から東京大学経済学部に進んだ長崎県人であり、九州財界と官邸をつなぐ世話役として知られ、安倍第1次内閣当時にNHK経営委員長を務めている。古森氏がNHK経営委員長時代にNHK会長に任命した福地茂雄・アサヒグループホールディングス相談役(79)も九州の福岡県戸畑市(現北九州市)の生まれ。その古森氏が、安倍首相に同じ九州人脈の籾井氏をNHK次期会長に推薦したというのが大方の見方だ。

 籾井氏は九州大学卒業後、三井物産に入社。鉄鋼部門を中心に歩んできた。社長の登竜門といわれる米国三井物産社長を務め、三井物産次期社長の有力候補に目されたこともあったが、2005年6月、副社長を最後に日本ユニシス社長に転出した。かつて三井物産の本流だった鉄鋼部門が産業構造の変化で衰退した影響が大きかったが、実力者の籾井氏が社長になることを警戒して、当時の経営トップが米ユニシスとの合弁会社としてスタートした日本ユニシスに転出させたといわれている。ちなみに日本ユニシスは、12年に大日本印刷が筆頭株主(発行済み株式の18.9%を保有)になっており、三井物産色は薄れた。

●NHK会長ポストをめぐる三井物産のトラウマ

 実はNHK会長ポストをめぐり、過去に三井物産は苦い経験をしている。三井物産の社長・会長を務めた故・池田芳蔵氏が1988年7月、初の財界出身者としてNHK会長に就任したが、わずか9カ月で辞任に追い込まれた。池田氏は会長に就任した時点ですでに77歳。国会に呼ばれ、いきなり英語で話し始めたり、支離滅裂な日本語で答弁したりしたため、会長には不適任との烙印を押され、退陣を余儀なくされた。当時、池田氏辞任に関するメディアの取材合戦が過熱して、池田邸に侵入した全国紙記者が飼い犬に足をかまれてケガをするという事件も話題を呼んだ。

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