手芸ビジネス、なぜ密かにブーム?ゲーム市場に匹敵~レシピ紹介サイト、カフェ…

Business Journal / 2014年1月4日 14時0分

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「ステッチステッチ」というウェブサイトをご存じだろうか? あらゆるものがデジタル化された時代に、「手芸」というどこか時間に取り残された感があるジャンルで、ビジネスを展開するウェブサイトだ。ビジネスとして成り立つのか、とても興味深い。今回はそんなアナクロニズムなイメージをもつ「手芸」でのビジネス展開に迫るべく、「ステッチステッチ」を運営するステッチステッチに出向き、代表取締役小田則子氏に話を聞いた。

●手芸ビジネスの市場規模は、ゲーム業界に匹敵

「手芸の市場規模は4000億円です」(小田氏)

 この数字を聞いてもすぐにはピンと来ないので、同程度の市場規模を持つ業界を調べてみたところ、ゲーム業界が約4480億円の市場規模を持ち、手芸業界より若干大きいことがわかった(2012年、「ファミ通.com」調べ)。こんなアナクロな業界が、最新デジタルの業界と同規模なんて信じられないが、数字は嘘をつかないのである。これだけの市場規模があるにもかかわらず、ウェブのサービスが今まで展開されていなかったことが不思議だ。

 そもそも「手芸」ビジネスでは何が売り物になるのだろうか?

 料理と同じで、レシピが売り物になる。手芸でいうレシピとは、編み物をする時に使うデザインのパターンを示した「編み図」や、手作りバッグをつくる時に必要な材料や道具、手順を書いた解説書のようなものだ。

「『ステッチステッチ』は、手芸の『クックパッド』を目指しています。手芸で使う編み図やレシピなどは、ブログで公開している人はいるものの、横串で検索したり、自分でつくったものを販売したりできるサイトはありませんでした。しかし、特に女子はカワイイものを発見したい、つくりたいという欲求にあふれています。そこで、CtoCのマッチングを目指してビジネスを立ち上げました。」(同)

●混沌とした時代に手芸で癒やし

「08年のリーマンショック以降、編み物をする人は増えています。編み物やソーイングは、単純作業の繰り返しです。無心にひたすら手を動かしていると癒やされます。ちなみに、編み物をする人は、専業主婦でかつ、家庭での可処分所得の高い人が多いです。生活に余裕ができたら、落ち着いた生活をしたいと考える人が多いのかもしれません」(同)

 リーマンショックで多くの資産を失った人や、 デジタルな生活に疲れた人が癒やしを求めるには、ちょうどよい趣味なのかもしれない。「ニットカフェ」と呼ばれる、コーヒーやスイーツとともに手芸を楽しめるカフェも全国に広がりつつあり、ステッチステッチでも編み物のワークショップを行っている。

「もちろん、男性も参加OKです。むしろ大歓迎です。」(同)

 手芸ビジネスの需要は、確かに存在することがわかった。小田氏の話によれば、景気回復により可処分所得の増える家庭が多くなれば、手芸に興味を持つ人も増えるはずだ。また、手芸のレシピが体系的に整理されれば、つくり方を知っている人が少ないもの、例えば手縫いの浴衣などをつくれる人が増加し、手芸文化を後世に継承できるようになるだろう。「手芸の『クックパッド』」の今後に期待しよう。
(文=久我吉史)

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