“異例の”経団連次期会長人事、内定までの混迷の舞台裏~なぜ有力候補が続々消滅?

Business Journal / 2014年1月9日 19時0分

 佐々木就任に影を落とすのは、昨年春に起こった東芝社内におけるトップ人事をめぐる混乱だ。西田厚聰会長は当時「来年、(自分が辞めて)佐々木を会長にすることはない」と周囲に漏らしていたが、佐々木氏が副会長のままで経団連会長になれるのかどうか、疑問を呈する向きもある。だが、昨年秋に日商会頭を退いた東芝の岡村正相談役が米倉会長への仲介役を務め、佐々木氏を経団連会長に内定してしまえば、西田氏も佐々木氏を切れなくなり、佐々木氏が東芝会長に昇格する可能性も出てくる。佐々木氏は64歳と若いことも魅力だ。

 そのほかに、米倉氏が副会長の中で評価しているといわれているのが三菱重工業の大宮英明会長だ。しかし、三菱重工幹部は「うちは(経団連会長を)やらない」と早くから明言していて、大宮氏本人も受ける気はない。三菱重工は三菱グループ御三家の1社だが、「軍需関連事業を手掛ける企業出身者でいいのか」と懸念する声があることを同社は気にしているためだ。

 昨年副会長に就任した新日鐵住金の友野宏社長も候補者として名前が挙がるが、同社OBの三村明夫相談役が昨年11月に日本商工会議所の会頭に就任したばかりであり、同一企業の出身者が経済3団体のトップに同時に就くことは好ましくないとする暗黙のルールがある。三菱商事の小島順彦会長も経団連会長就任に意欲を示しているが、米倉会長は「(次期会長は)メーカーの中から」と示唆している。

●OB、2期連続化学メーカー出身…異例の人事が内定

 そんな中、1月9日、日本経済新聞電子版が経団連次期会長として「東レ会長の榊原定征氏で調整」と報じた。榊原氏は現役の経団連副会長ではなくOBであり、もし実現すれば「現役の中から選ぶ」というルールが破られることになり、“異例の人事”となる。

 榊原氏は東レの炭素繊維事業を主力事業に育てたことで知られ、政府の産業競争力会議の民間議員を務めている。製造業である東レの会長であれば、「モノづくり重視の姿勢を示すことができる」との考えも働いたためとみられる。

 東レからの経団連会長起用は初めて。住友化学の米倉会長から東レにバトンタッチされれば、2代続いて化学メーカーからの選出ということになる。東レクラスの規模(連結売上高:約1兆6000億円)の企業出身者が経団連会長に就任するのも異例なことであり、米倉会長は川村氏に断られたため、やむなく榊原氏の起用に動いたとの見方が広がっている。

 1月14日に経団連内で開かれる正副会長会議で次期会長が内定される段取りだが、これだけ難航した会長選びであるため、予断を許さない状況が続く。
(文=編集部)

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