日本の自動車、世界最大の中国市場で苦戦の理由~安倍政権の外交力のなさが国益を損なう

Business Journal / 2014年2月4日 1時0分

 日本の報道では意識的に中国の景気減速が指摘され、悪い面だけが取り上げられる傾向がある。筆者は年に何回か中国に出向いて取材しており、昨年も上海、南京、蘇州、常熟、丹陽などを訪問したが、賃金の上昇を背景に消費は伸びており、個人消費の中では最も高価な部類に入る自動車販売も絶好調だ。上海や北京などの沿海部は飽和状態でも、内陸には車を求める消費者がまだまだ埋もれている。環境やエネルギーの問題はあるものの、中国市場の成長性はまだ高い。この市場で負ければ、世界の競争から劣後しかねない。そうなれば、自動車は日本の基幹産業ではいられなくなる可能性もある。

 世界のトップ市場において競争で後退していくことは、産業としての国際競争力を失うことを意味する。13年の世界の自動車販売は約8300万台。世界の車の4台に1台が中国製ということになる。中国市場の嗜好が商品づくりに大きな影響を与えてくるだろう。「反中感情」を前面に押し出してASEANやロシアなどで稼げばいいという意見を言う人もいるが、こうした人は産業のことをまったく知らない人といってもいい。例えば、ASEAN6カ国の自動車販売は350万台で、中国の6分の1にも満たない。国ごとに法規や言語が違い、複雑な対応も必要となり、中国市場を補えるものではない。明確な根拠のない感情論で産業を論じれば、国際競争に劣後し、結局はそれが雇用や賃金などに跳ね返ってくるのだ。

 13年の中国自動車市場におけるメーカー別販売順位は、1位:独VW(前年比14%増の320万台)、2位:米GM(同11%増の316万台)、3位:韓国・現代自動車(同16%増の161万台)、4位:日産(同17%増の126万台)、5位米フォード(同49%増の93万台)、6位:トヨタ(同9%増の91万台)、7位:ホンダ(同26%増の75万台)である。

 フォードがトヨタを追い越して5位に浮上した。上位メーカーでは最も高い伸び率だが、「日本車を買うと壊されますよ」キャンペーンを展開して、日本車の顧客を奪い取ったと言われている。数字を見てもわかるように、世界で1、2位を争っているトヨタですら、VWやGMの3分の1にも満たない。日本勢は挽回したといっても、競合メーカーもそれを上回る程度の勢いで販売を伸ばしているからだ。

 特にGMやフォードは、価格が6万元(約102万円)程度のエントリーカーで台数を稼いでいる。そして、部品調達などの面で「規模の経済」のメリットも享受してコスト競争力を強めている。追い上げたいトヨタはやっと昨年12月、「ヤリス」をモデルチェンジして、廉価版を中国で初となる7万元を切る6万9000元という価格とした。日本車が欧米勢に押されている要因のひとつは、欧米の競合車と同じグレードであっても価格が20~30%程度高いからだ。そのまた要因は、現地での安くて品質の良い部品調達力の低さにある。

●自動車メーカーの競争力を低下させる政治リスク

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