劣勢の中国自動車メーカー、挽回策は海外勢からの環境技術移転?警戒感高める日本車各社

Business Journal / 2014年4月23日 1時0分

 それ以外にも中国が直面する深刻な問題があった。中国ブランド車の市場シェア低下が止まらず、世界最大の自動車市場が海外メーカーの草刈り場と化した。そこにPM2.5に象徴される深刻な大気汚染が追い打ちをかけ、政治問題化するのを恐れた政府は、一転して国営メーカーを擁護する側に転じ、日本などのエコカー技術に頼ることにした。中国政府は、日本のJRなどの技術支援で立ち上げた高速鉄道を、「中国の独自開発」として世界に売り込んでいるのと同じパターンを狙っているのではないか。中国政府は自国メーカーの育成をあきらめたわけではない。実際に工業情報化部トップの苗部長は、今回の方向転換の際に「(国営メーカーは)単に規模が大きいだけではなく、強くなくてはいけない。超大国だからといって、いつも(海外勢に)追いつけるわけでもない。中国はその方法を探らなければならない」と語っている。

 今年1月の中国ブランド車のシェアは38.4%と前年比で4.9%減だが、急激な勢いで増産する海外メーカーの影響で、シェアがさらに減るのは目に見えている。このような流れを止めるのは、国営メーカーの技術力の向上しかないが、そのために欠かせないのが、海外メーカーの技術移転だ。

 さらに、中国政府は昨年3月に自動車平均燃費を厳格化し、20年までに欧州並みの基準に引き上げると発表している。この背後には数百社と乱立する地元自動車メーカーを自然淘汰させる狙いがある。

●警戒感強める日本メーカー各社

 一方、こうした動きは、日本の自動車メーカーにとっては中国や韓国特有の特許問題が懸念視されている。韓国メーカーへの不透明な技術移転により、日本の家電メーカーは国際競争力を著しく失ったといっても過言ではないが、自動車でも同じような事態が起こる可能性が高い。今後、中国政府は国策的に海外自動車メーカーに対して、さらなる技術移転、特に自動車の環境技術の移転を要求してくるのは明らかであり、それだけにトヨタやホンダなど日本の自動車メーカーは慎重な構えでいる。

 トヨタは自社のハイブリッド技術を中国で開放するというが、それは特許の切れている範囲内でのことだろう。ホンダが中国で導入予定のハイブリッド車も最新のものではない。GMなどの海外メーカ-も基本的には日本メーカーと同じような考えで、まずは特許関連の法整備が必要だと考えている。

 そんな海外メーカーの中国市場における動きをみてみると、トヨタと販売台数世界一を競い、中国市場でGMとトップを競うVWは、中国政府がこれから積極的にエコカーの導入支援をすると読んでいる。そこで、20年の環境規制に対応するために上海汽車や第一汽車と共同で、電気自動車、燃料電池車、プラグイン・ハイブリッド車の開発を始めると発表した。

 VWは18年までに、中国国内の生産能力を、トヨタ(単体)の日本国内生産台数よりも多い400万台にまで引き上げる計画だ。トヨタの中国での増産計画は200万台と、かなりの差がついている。大胆な策に出るVWと慎重なトヨタ。中国政府の自動車政策をめぐる両社の駆け引きはしばらく続きそうだが、どちらの戦略が正しいのかを判断するのには時間がかかりそうだ。
(文=塚本潔/ジャーナリスト)

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