なぜマツダは低迷脱却で最高益、ソニーは依然、大赤字?過度の円安依存が製造業を滅ぼす

Business Journal / 2014年5月2日 1時0分

 同時にこれは、車格や排気量の違いを超えて各ユニットの基本コンセプトを共通化して標準構造にし、相似形の設計にすることで少ない投資で多様な商品を生み出していく発想でもある。一例としては、エンジン制御系のソフトウエアも177種類あったものを原則1種類までに減らして大幅に開発期間を短縮した。

 マツダの「モノ造り革新」の仕組みを因数分解していくと、製品構造に関して相似形や共通化の設計を推進する「コモンアーキテクチャー構想」と、高効率かつ柔軟に生産現場が対応する「フレキシブル生産構想」に分けられる。

 こうした構造改革を積み上げて、マツダの今の業績ができ上がったのである。円安差益とは所詮「あぶく銭」であり、企業の自助努力とはほとんど関係ない。しかし、その「あぶく銭」とはいえ、それをうまく「実現利益」として活用していくためには、マツダのような自助努力による構造改革が不可欠といえるだろう。

●円安に安住せず、海外事業を強化

 マツダと対照的な会社がソニーではないか。外貨売上高が多いソニーも為替の変動に影響を受けて業績に追い風が吹くはずなのに、ソニーは14年3月期も当期純損失を計上した。その要因は、テレビなど主力のエレクトロニクス事業で同じようなリストラを逐次的に繰り返しているため、円安差益がリストラ費用で相殺されてしまい、「実現利益」にならないからである。

 一方、マツダは現在の円安局面に安住していない。むしろ危機感を強めている。そして利益が出始めた今だからこそできることがあると、次の一手に向けて動き始めている。日本で生産して海外に輸出するビジネスモデルで儲けようと思っているわけではない。為替が1ドル=77円水準でも利益が出るのならば、国内工場を活用して輸出したほうが得策ではないかと考えられがちだが、マツダは海外事業の強化に打って出ている。すでに今年1月、海外生産拠点で同社最大のメキシコ工場を稼働させた。合弁などを除いてマツダ主導で海外工場を新設するのは実に27年ぶりである。

 マツダは中長期の展望からメキシコに拠点を設けた。若くて有能な労働力が豊富であることに加え、メキシコは世界約50の国や地域とFTA(自由貿易協定)と結んでおり、フリートレードで世界のほぼ半分の自動車市場にアクセスできるからだ。日本国内は少子高齢化によって、自動車市場も今後縮小し、工場で働く若い労働力も不足するリスクが高くなる。こうした中で、国内に留まっていては国際競争で負けてしまうという危機感がマツダにはある。円安に安住しない中長期の展望を考えての判断ともいえるだろう。

●常識を否定したことで生れた「イノベーション」

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