企業の社外取締役導入、なぜ急増?経営トップ支持率を左右、増加する官僚からの“天下り”

Business Journal / 2014年5月6日 15時0分

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「CEO(最高経営責任者)がお仲間を呼んでくるだけで、お目付け役になってさえいない」と苦言を呈し、社外取締役導入に強く抵抗してきたキヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長が、3月末に開催した12月期決算の同社株主総会で、初の社外取締役となる齊田國太郎・弁護士(元大阪高検検事長)と加藤治彦・証券保管振替機構社長(元国税庁長官)を選任した。23年間に及ぶ在米経験を生かし、合理的経営を実践する御手洗氏は、米国流経営の長所と短所を知り尽くしており、社外取締役について「お飾りだ」と言い続けてきた。

 3月10日付日本経済新聞記事の中で御手洗氏は、社外取締役導入を決断した理由を次のように語っている。

「1つはM&A(合併・買収)への法的対応の強化。そこで法務部門の指導や人材育成を弁護士で元大阪高検検事長の齊田國太郎氏にお願いした。もう1つは移転価格税制への対応。国際税務部門の人材を育て外国政府との交渉力を高めるために元国税庁長官の加藤治彦・証券保管振替機構社長をお招きする」

 一方で御手洗氏は「体裁を整えるために社外取締役を導入しても仕方がない。この点で私の信念は全く変わっていない」と語っているが、御手洗氏が意に反して社外取締役を受け入れたのは、政府と機関投資家からの圧力に押されたためだといわれている。

 昨年6月に閣議決定した安倍政権の成長戦略には、「会社法を改正し、外部の視点から社内のしがらみや利害関係に縛られず監督できる社外取締役を導入する」と盛り込まれた。現在、国会で議論されている会社法改正案では、社外取締役を置いていない大企業に対し、株主総会でその理由を説明することを義務付けている。

 かねて御手洗氏は社外取締役を置かない理由について、「日本の会社では入社してから30年間、仕事の能力や人格やいろいろなことをチェックされて、この人ならいいだろうということで役員に選ばれる。米国のようにいきなりヘッドハンティングされて社長になるわけではないので、外部の目でチェックする必要はない」と主張してきた。

 だが今回、キヤノンがこの方針を転回した理由としては、大手の議決権行使助言会社が「社外取締役が1人もいない場合、経営トップの役員選任議案に反対するように」と機関投資家たちにアドバイスしたことが大きかった。

 キヤノンの昨年3月の株主総会では、御手洗氏の選任議案における賛成票が72.21%で、その他の取締役の賛成票が90%を超えていたのに比べて異例の低さだった。今年の株主総会における御手洗氏の選任議案の賛成票は90.08%と、社外取締役を導入したことで反対票が劇的に減った。

●大手企業が続々と社外取締役を導入

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