刑事モノや池井戸モノが乱立…春の連ドラ、今から間に合う、大人が見てもいいドラマは?

Business Journal / 2014年5月12日 1時0分

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(文=碓井広義/上智大学文学部新聞学科教授)

 全体的に低調だった前クール(1~3月期)の連続テレビドラマ、いわゆる「冬ドラマ」に比べて、今クール(4~6月期)の「春ドラマ」には活気がある。少なくとも「大人が見る(見てもいい)ドラマ」があるからだ。

●「池井戸ドラマ」の同時多発

 今クールは、『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)と『ルーズヴェルト・ゲーム』(TBS系)という、池井戸潤原作のドラマが2本登場した。これはもちろん昨年放送された池井戸氏原作の『半沢直樹』の大ヒットを受けてのことだ。

 池井戸作品には企業小説と呼ばれるものが多い。しかし、主軸はあくまでも企業内の人間模様であり、そこで展開される人間ドラマである。また、山あり谷ありの起伏に富んだ物語構成と、後味(読後感)の良さも池井戸作品の持ち味だ。その意味でドラマとの相性がとてもいい。

 まず、『花咲』は『半沢』を想起させる銀行ドラマだ。問題を抱えた支店を指導する「臨店班」に所属する女性行員・舞(杏)が、毎回、行く先々で問題解決のために奔走する。彼女の最大の魅力は、たとえ相手が上司であれ顧客であれ、間違ったことや筋の通らぬことに関しては一歩も引かないことだ。『花咲』は、そんなヒロインが言いたいことを言うガチンコ勝負ドラマなのだ。

 もしもビジネスパーソンが、仕事場で「言いたいことを言う」を実践したら大変なことになるだろう。だからこそ何でも口にする舞は、危うくもあり、痛快でもある。ただし、良くも悪くも『半沢』のような重厚感や奥行きを持つドラマではない。ライト感覚で楽しめる勧善懲悪物語だ。基本的には一話完結なので、今から見始めても問題ない。

 一方の『ルーズヴェルト・ゲーム』は、中堅の精密機器メーカーが舞台だ。大手の下請けとして成り立っていることもあり、経済情勢だけでなく、発注元の思惑にも揺さぶられている。社長の細川(唐沢寿明)が、いかにして苦境を脱していくかが見どころだ。

 このドラマの特色として、企業ドラマであると同時に、野球ドラマでもあることが挙げられる。社会人野球がきっちり描かれるドラマというのは珍しく、異色のスポーツ物にもなっている。会社のお荷物的な存在である野球部が、会社と同様、「逆転勝利」をつかむことができるのか。こちらは、放送が4月末からという遅いスタートだったこともあり、今からでも十分追いつける。

●乱立「刑事ドラマ」の群れを抜け出すのは?

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