業界トップの日本製鉄、東京製綱に対し敵対的TOBか…大量に株取得し、筆頭株主に

Business Journal / 2021年2月3日 6時0分

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 日本最大の高炉会社、日本製鉄は1月21日15時、東京製綱に対してTOBを行うと発表した。買い付け価格は1株1500円。出資比率を9.9%から19.9%に引き上げる。対する東京製綱は同日19時30分、「当社に対して何らの連絡もなく一方的かつ突然に行われた」とするニュースリリースを出した。

 日本製鉄は「東京製綱株式会社株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」で東京製綱のガバナンス(企業統治)の機能不全を厳しく指摘しており、東京製綱は「近日中に見解を発表する」としているが、「このままいけばTOBに反対することになるので、敵対的TOBに発展する可能性が大きい」(兜町筋)。

 大企業による敵対的TOBは長らくタブー視されてきた。2006年、王子製紙(現王子ホールディングス)が北越製紙(現北越コーポレーション)に実施した。この当時、大企業による敵対的TOBは批判の声が強く、王子製紙の試みは結果的に失敗に終わった。

 それから15年、近年は伊藤忠商事がデサントに、前田建設が前田道路に、コロワイドが大戸屋ホールディングスに敵対的TOBを仕掛け、いずれも成功した。ニトリによる島忠のTOBも当初は、他社のTOBにちょっかいを出すかたちだった。

 近年、株式市場も産業界も敵対的TOBに免疫ができてきた。今回の東京製綱に対する日本製鉄のTOBに関しては、1月21日に日本製鉄が提出した大量保有報告書が興味深い。1月6日に16万1000株(0.99%)、1月14日に29万9500株(1.84%)を市場から買い増し、年金などの日本マスター信託口(7.1%を保有、20年9月期末)を上回り、名実ともに筆頭株主になってからTOBに乗り出している。

 1月に入ってから東京製綱株は上昇していたが、日本製鉄が買っていたのだ。TOBの公表当日までに一定の株数を揃える必要があったからだとみられる。

 東京製綱株の愛称はロープ。往年の仕手株である。1988年5月、仕手筋の買い占めで3520円の上場来高値をつけ、1年半で株価が10倍になったことがある。その後、株集めをした仕手筋が経営的に破綻し、大相場は幕を閉じた。だが、今回の買い本尊は役者が違う。日本一の製鉄会社が相手なのである。

 TOBといっても全株取得型ではない。買い付けの対象は発行済み株式の10%弱。買い付けの下限の設定もないためTOBは成立するとみられている。問題はその後。東京製綱が日本製鉄の言うことを聞かなければ、出資比率を2割弱からさらに引き上げることになる、との見方がある。

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