神戸市肝入り先進病院、なぜ破綻?他病院で断られた患者を手術、死亡例7割は多いのか

Business Journal / 2016年4月9日 6時0分

 医療の主役は患者と主治医だ。主治医が患者に十分な情報を提供し、患者がリスクとベネフィットを理解し、そして治療を受けたのであれば、ほかの医師がその決定を無闇に批判すべきではない。

 もし、主治医の技量に看過できないほどの問題点があるならば、それを具体的に示すべきだ。日本の肝移植の第一人者である田中氏らのチームの技量に問題があったとは常識的には考えにくい。

●研究会の名を借りて行う私的行為

 日本肝移植研究会の医師たちも、このことは十分に理解していたのだろう。論点をはぐらかしている。

 たとえば、当番世話人の具英成・神戸大学教授は、「神戸市がKIFMECを医療産業都市の中核施設としているのを念頭に、そもそも医療産業として生体肝移植が成り立つかどうかも議論したい」と新聞でコメントしている。KIFMECが成長すれば、神戸大のライバルになる。筆者には、具教授が「不祥事」を理由に商売敵を叩いているようにしか見えない。批判する医師たちの動きは、研究会の名を借りて行う私的行為のように映る。

 一連の批判に対し、患者団体が「患者側の意見や対応から大きく乖離」と批判したのもうなずける話だ。KIFMEC関係者によれば、日本肝移植研究会の心ない対応の結果、「早期に肝移植を受けることができず、救えたかもしれない命を落としてしまった」と嘆く遺族までいるという。このような遺族の声に十分、耳を傾けるべきではないか。

●神戸市の責任

 では、このような事態に神戸市はどう対応したのだろうか。KIFMECは神戸市の肝煎りで始めたものだ。神戸市は、当事者としての責任の一端がある。真摯に問題点を検証すべきだ。

 阪神・淡路大震災で甚大な被害を蒙った神戸市は、医療を復興の目玉にした。1998年には神戸医療産業都市プロジェクトを立案。2000年には財団法人先端医療振興財団(以下、財団)を立ち上げた。

 ただ、うまくいっていない。財団の14年の財務諸表を見ると、経常収益の34%が補助金、寄付金が占めるのに、9500万円の経常赤字だ。固定比率261%、流動比率35%である。過剰な固定資産への投資が重荷となり、経営は悪化している。資産を食い潰しており、神戸市からの補助金がなければ立ちゆかない。

 今回、KIFMECの周囲を見学したが、そこにあるのは市民病院や、STAP細胞事件で舞台となった理研。5月には県立こども病院が移転してくる。財団が作成したパンフレットを見ても、インキュベーションセンターやビジネスセンターが目立ち、事業主体は神戸市の外郭団体や神戸大学だ。神戸市の公共事業の失敗を、税金で穴埋めしているといわれても仕方がない。

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