東芝、WD選定という「自殺行為」で最終局面突入か…半導体事業売却できず上場廃止が濃厚

Business Journal / 2017年8月31日 6時0分

 東芝メモリに3000億円ずつ出資する産業革新機構と日本財政投資銀行は、「IPOの直後にWDが出資比率を高めないよう」主張している。米投資ファンド、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が、WDの出資率について、どのような考え方をしているのかは不明だ。

 WDが当初、転換社債での出資をするとしても、WDと東芝メモリは同業であるため、中国の独占禁止法審査は長期化することが予想される。最短の6カ月で終わるという保証はなく、2018年3月末までに売却を完了できないことも十分にあり得る。そうなれば、東芝は2期連続の債務超過になり、上場廃止になる見通しだ。18年3月末に間に合わないとの懸念が強いWDへの売却を急ぐ理由があるのか。東芝経営陣の責任回避ではないかとの見方もある。

 そもそもWDは東芝のパートナーではなかった。東芝の協業先だった米サンディスクを16年に買収してメモリ事業に参入したのだ。WDのメモリの生産拠点は、サンディスク時代に共同出資した東芝の三重県四日市工場しかない。

 東芝はWDとの深い溝を埋めることができるのか。主力銀行3行の「8月中に決着」という強い要請や経産省の“ご意向”に沿うために、WDを安易に選んでいいのだろうか。WDをパートナーにすることは「地獄の3丁目」(東芝の幹部)との声もある。

“東芝のドン”“東芝のスーパーCEO”と呼ばれていた西室泰三氏が、自ら口説き落として東芝社外取締役に就任させた面々は、小林喜光氏(経済同友会代表幹事、三菱ケミカルホールディングス会長)、池田弘一氏(アサヒビール元社長・会長)、前田新造氏(資生堂元社長・会長)、古田祐紀氏(元最高裁判事)、佐藤良二氏(監査法人トーマツ元CEO)、野田晃子氏(元金融庁証券取引等監視委員会委員、公認会計士)の6人だ。

 小林氏は首相官邸に駆け込んで「ホンハイの手に東芝メモリが落ちてもいいのか」と訴えたといわれている。小林氏や池田氏、前田氏は一流企業の現・元トップである。ぜひ、「WDで本当にいいのか」を真摯に議論してもらいたい。

 8月31日の取締役会で「WDの独占交渉権」が決議されれば、社外取締役のブレーキが効かなかったということになる。東芝の事業再生を担当している投資銀行の幹部は「綱川社長は何も決められない」と憤っている。「どうやっても(東芝の期待する金額に)足りないところ(=WD連合)に売ってどうするのだ」とも批判する。

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