東芝、WD選定という「自殺行為」で最終局面突入か…半導体事業売却できず上場廃止が濃厚

Business Journal / 2017年8月31日 6時0分

 かつて経産省の言うままに米ウエスチングハウス(WH)を超高値で買わされた東芝は、再び歴史的なミステークを犯そうとしている。

●中国当局の日本企業の重要案件の審査は最低でも9カ月かかる

 独禁法審査は中国がカギだ。丸紅の米ガビロン買収では、中国大豆市場への支配力を強めるおそれがあると中国当局が指摘し、審査に1年2カ月かかった。キヤノンの東芝メディカルシステムズ買収では、特別目的会社や新株予約権などを使う複雑なスキームを中国当局が問題視して9カ月かかっている。

 東芝メモリの売却にWDが絡むことによって、最低でも9カ月はかかるとみる向きが多い。日本企業ではないが、中国当局の禁止通告で国際的な提携計画が撤回に追い込まれた事例があることを留意しておきたい。

 NAND型フラッシュメモリの世界シェアは、韓国のサムスン電子が35.2%でトップ。2位は東芝で19.3%、WDは3位で15.5%を占める(2016年実績)。3位のWDが2位の東芝メモリを買収して多くの株式を持てば、サムスンとWD陣営の2社が圧倒的なシェアを握ることになる。世界各国で独禁法に抵触しないかどうかの審査に時間がかかるのは当然といえる。
(文=編集部)

【続報 31日14:50追記】

●東芝メモリの売却は再び混沌

 優先交渉権を得ながら、弾き飛ばされそうになった米投資ファンドのベインキャピタルが主体となって新たな提案をしてきた。

 米アップルが3000~4000億円を拠出して東芝メモリの優先株を取得するというものだ。ベインとアップルと東芝本体が買収の主体となる。WDによる東芝メモリ売却の差し止めの申し立てが解決した段階で、産業革新機構など他のメンバーに東芝メモリ株を譲渡するという“くせ球”である。

 関係者によると、ベインが東芝メモリに2000億円出資。東芝も同額を拠出し、同等の持ち株比率となる。アップルと韓国・SKハイニクスは優先株による出資するというスキームだ。

 8月31日開催の東芝取締役会は、WD陣営に独占交渉権を付与するのを見送り、優先交渉権に切り替える方向だ。

 さらに、WD陣営のコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)は、持ち株のフリーハンドを維持することを要求している。東芝はKKRに対して将来、持ち株をWDに直接譲らないように確約すること求めているが、条件の良い相手に自由に売りたいKKRは東芝の要求に難色を示している。KKRは投資ファンドだから当然の主張といえる。

 KKRは、東芝本体が2000億円出資することにも「議決権の割合が下がり、影響力が低下する」との理由で賛成していない模様。

 一方、経産省に玄関払いされたホンハイ(一番高い3兆円を提示)は、ソフトバンクグループや米グーグルを加えた新しい連合で巻き返しを狙っている。

 結論をいえば、8月31日には何も決まらないかもしれない。売却協議は9月以降、さらに長期化する様相を見せており、東芝の経営再建は見通せなくなった。

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