静岡と徳島の「世界農業遺産」認定、実はモノスゴイことだと知ってますか?
Business Journal / 2018年3月26日 0時0分

TPP(環太平洋経済連携協定)の新協定に、米国を除く11カ国が署名したというニュースが流れた3月9日、農業がらみでひとつ気になる報道があった。
静岡県と徳島県の伝統農法が世界農業遺産に認定されたというものだ。メディアが大騒ぎする世界文化遺産や世界自然遺産と違い、こちらの報道は二段見出し扱いの控えめなニュースにとどまった。おそらく、多くの人々は、このニュースも世界農業遺産の存在さえも知らないだろう。
筆者がその存在を知ったのは、3年前に取材で大分を訪れたときだった。国東(くにさき)半島をドライブ中、「世界農業遺産」の看板が目にとまった。クヌギを利用した原木しいたけの栽培が盛んな国東半島宇佐地域では、降水量が少ないハンディを克服するため小規模のため池を連係させ、効率的な土地・水利用を行ってきた。クヌギ林とため池による循環型農林水産の伝統が評価され、2013年に世界農業遺産に認定された。直売所で購入した原木しいたけは肉厚で、都内のスーパーマーケットと比較すると3分の1の価格だった。
今回、新たに認定されたのは静岡県わさび栽培地域と徳島県にし阿波地域の2カ所。静岡のわさび栽培は山間地の沢に階段状にわさび田をつくり、豊富な湧水の養分でわさびを栽培する伝統的な農法。
徳島は、カヤのすき込みによる土壌流出防止や独自の農具を使用した耕作技術によって急傾斜地であるにもかかわらず、段々畑を築くことなく雑穀や野菜を栽培する独特な農法がそれぞれ評価された。
静岡と徳島2地域の認定によって、日本国内の世界農業遺産は全部で11カ所となった。
●認定基準は、地域の伝統的な知識の体系や生物多様性など
世界農業遺産とは、どのような基準で認定しているのだろうか。農林水産省のリーフレットにはこう記されている。
「世界農業遺産は、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり形づくられてきた伝統的な農林水産業と、それに関わって育まれた文化、ランドスケープ、生物多様性などが一体となった世界的に重要な農林水産業システムを国連食糧農業機関(FAO)が認定する」
認定にあたっては、食料及び生計の保証、農業生物多様性、地域の伝統的な知識システム、文化・価値観及び社会組織、ランドスケープ及びシースケープの特徴――という5つの基準と保全計画に基づき評価が下され、書類審査と現地調査を経てFAOが認定する。
これまでに世界19カ国49地域が認定されている。このうち日本の認定地域は11ある。エリアと認定を受けたシステム、認定年は以下の通り。
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