旅行会社、存在意義消失の危機…大型倒産や挙式ツアー直前中止事件の背景

Business Journal / 2019年1月18日 7時0分

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 2018年の日本人出国者数は、過去最高だった12年の1849万人を上回ると見られている。その背景には、個人がインターネットで簡単に航空券やホテルを予約する「セルフブッキング」が広がり、海外旅行がより身近になったという事情があるようだ。

 その裏で、苦境に立たされているのが旅行会社だ。17年3月に格安旅行会社のてるみくらぶが倒産し、社長の山田千賀子容疑者らが融資金詐取の疑いで逮捕、起訴された。また、同年11月には「ARCツアー」のブランド名でツアー旅行などを手掛けるアバンティリゾートクラブが東京地方裁判所から破産開始決定を受けている。今年9月には、大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が企画したハワイでのウェディングツアーが直前で中止され、トラブルになったことが記憶に新しい。

 今、旅行会社に何が起きているのか。『よくわかる旅行業界』(日本実業出版社)の著者で旅行会社ブルーム・アンド・グロウ代表取締役の橋本亮一氏に話を聞いた。

●旅行会社の存在意義が希薄な時代に

「00年代中頃からセルフブッキングが普及し始め、旅行業界に大打撃を与えました。航空会社は旅行会社をあてにしなくてもチケットが売れるようになったし、消費者側も自分で旅行を組むことができる。中間業者だった旅行会社は、その存在意義が希薄になってしまったんです」(橋本氏)

 当初は、セルフブッキングよりも大口で航空券を確保できる旅行会社の格安ツアーのほうがお得ともいわれていたが、現在はそういったスケールメリットも少なくなり、セルフブッキングでも安いプランが組めるようになった。

「セルフブッキングの普及でダメージを受けた旅行会社は、経営を安定させるために正社員を削って派遣社員や契約社員を増やし、経費の抑制と人材の流動化を図りました。その結果、旅行の知識が乏しいスタッフが増えてしまい、カウンターのスタッフが旅行のことを何も知らないという現象が起きるようになってしまったんです」(同)

 以前の旅行会社では研修旅行などが盛んに行われ、社員は見識を積むことができたというが、今は各社ともそんな余裕はない。そして、業者に相談するよりも自分でネットで調べたほうが早いとなれば、旅行会社のカウンターから客足が遠のくのも仕方ないといえる。

 日本法規情報の調査によると、海外旅行の手配トラブル経験者は10%ほど。そのうちもっとも多い理由が「飛行機、宿泊先の手配ミス」だった。「その多くは、自分でネット予約する際に日付やパスポート番号、名前の入力ミスをしてしまったのでしょう」と橋本氏は分析する。

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