ラファエル氏アカウント停止が契機に?「ユーチューバーは稼げる」という幻想の終焉

Business Journal / 2019年2月2日 11時0分

 もう一つの手法は下ネタ、噴飯もの(面白)、非常識・危険に挑戦することだ。そのような動画はどうしても過激になり、瞬発力は強いが継続しない「一発芸」になってしまう。ところが「一発芸」的な動画を投稿し続けるのは難しい。どんどん過激になっていって、自分でも収拾がつかなくなる。体力が持たないし、アイデアが枯渇する。最後は再生回数のために命を落とすことにもなりかねない。

 そのような傾向が世界的に広がっていたので、1月15日、YouTubeは過激な動画の掲載を禁止した。それを受けて、1月22日には登録者200万人超の仮面ユーチューバーラファエル氏のチャンネルがBANされ、ネットでは大騒ぎだった。

 ラファエル氏はそれをネタに新しいチャンネルを立ち上げ、たちまち50万人以上の登録があったという。これではモグラ叩きのようなもので、下ネタ、裸芸、自虐ネタは江戸時代から下品とされながら絶えることがないのと同じことだ。いつの時代にもあるのだが、とはいえ10年経てばユーチューバーもその分、年をとる。2030年にも同じことをやっていられるだろうか。

●目指すべきは新しいジャーナリズム
 
 小学生に「なりたい職業」を聞くと、ユーチューバーが上位に入るというが、大人になるとだんだん現実的になっていく。「ユーチューバーになりたい」は、「野球選手になりたい」「宇宙飛行士になりたい」と同じといっていい。大学生や社会人にもなって、「ユーチューバーになれば簡単に何百万円も稼げる」と誤解してしまうことはないだろう。

 明確なエビデンスはないが、日本ではYouTubeで収入を得ているユーチューバーは約2万人、YouTubeと関連ビジネス(書籍、セミナー、映像制作など)で生計を立てているのは500人前後という見立てもある。稼げたのはアーリーアダプターだった生え抜きと要件緩和以後の1軍選手のみ。2軍選手のなかにもワンチャンスをつかめる人はいるだろうが、ほとんどはマグレだというのは、誰だってわかっている。

 もう一つ、YouTubeがいつまで続くか、技術革新のスピードは予断を許さない。ブログ、Twitterに回帰する動きもあれば、TikTok、Instagram、Vimeoといった新興サービスも利用者を増やしている。誰もが思いつくアイデアやコンテンツはすでにレッドオーシャンだ。ユニークなアイデアで切り開いたブルーオーシャンも、あっという間に参入者がひしめくようになる。「一発芸」「面白」「子ども向け」に限界が見えてきたからこそ、過激映像チャンネルがBANされ、ネットベンチャーに転身を図るユーチューバーが出ているとすれば、「YouTubeは稼げる」は都市伝説になりつつあるのではないか。

 一方、スマートフォンの高機能・高性能化、ネット回線の高速・大容量化で、リアルタイムで動画が中継できるようになっている。筆者も仕事柄、「ニコニコ動画」「LINEライブ」の記者と会見で出くわすことが増えてきた。週刊誌が突撃取材の動画をネットにアップするケースもある。これからのユーチューバーには、市民目線の映像で社会の深層をえぐること、すなわち新しいジャーナリズムを目指してほしいとロートルジャーナリストは思うのだ。
(文=佃均/フリーライター)

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