ルノー=フランス政府、ゴーンが築いた“日産の利益収奪システム”の全貌

Business Journal / 2019年3月27日 8時0分

 2001年10月、両社は株式の持ち合いで合意した。アライアンスの第2ステージである。今度は日産がルノーの第三者割当増資を引き受け、ルノー株式の15%を取得。フランス政府に次ぐ第2位の株主となった。総取得額は21億6500万ユーロ(約2470億円)である。

 同時期にルノーは保有する日産のワラント債を普通株式に転換。この結果、出資比率は44.4%にアップした(のちにルノーが株の一部を売却し43.4%となる)。

 第2位の株主とはいえ、日産のルノーへの出資はわずか15%。しかも、これらは議決権のない株式だ。日産はルノーの経営になんの発言権も持たない。対して、当時、出資比率44.4%のルノーは日産の経営を完全にコントロールしていた。

 02年3月28日、共通戦略の決定とシナジーの管理を目的としてルノー・日産BVを設立した。ルノー・日産BVは、日産とルノーが株式を折半して所有する統括会社である。

 カルロス・ゴーン前会長は、日産とルノーが進める「アライアンスは、合併でも買収でもない第3の道だ」と自画自賛している。日産とルノーの関係は、「どちらかのためにどちらかが犠牲になるというものではない」というのが、ゴーン氏の主張だ。

 だが、これは真っ赤な嘘だとして、同書はこう糾弾する。

「日産は自らの経営戦略を統括会社に諮らなければならない仕組みになっていて、ルノーの承認なしにはトップ人事を含め、重要な経営判断はできない。将来、日産がルノーから離反しようにも、それを封殺できるシステムが、ゴーンの手で完成していたのだ。

 ルノー・日産BVは、ルノーによる日産の支配をより強固にするためにつくられた、ルノーによるルノーのための戦略的な組織なのである」

 ゴーン氏が日産のCEOを降りても、西川廣人社長以下執行役員まで53人全員の人事権と報酬を決める権限を握っていた。

 日産と三菱自が折半出資でオランダに設立した統括会社日産・三菱BVから10億円がゴーンに支払われていたことも発覚した。

「統括会社がゴーンの資金工作や報酬隠しの舞台として使われたのは、誕生の経緯からみて、至極、当然の流れである」(同書より)

 ゴーン氏は統括会社を自らの権力を維持する装置としてフルに活用した。その反省からだろう。3社連合は「合議」による運営に移行する。

 しかし、3社連合の歯車が噛み合わなければ、意思決定がかえって遅れることになる。

 日産社内に設置された「ガバナンス改善特別委員会」は3月末をメドに新しい企業統治体制や取締役会の構成などの提言をまとめる。だが、形ばかりの社外取締役を増やしても、経営陣への不信感を拭い去ることは簡単ではない。日産の経営体質は、一朝一夕には変わらないだろう。
(文=編集部)

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