トヨタ・レクサス「RC F」、「大排気量+FR駆動=絶滅危惧説」を吹き飛ばす走り

Business Journal / 2019年5月6日 10時0分

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「大排気量+FR駆動(後輪駆動)」信仰者の僕にとって、この春に誕生する、レクサスの「RC Fパフォーマンスエディション」は、興奮が掻き立てられるモデルである。搭載するエンジンはV型8気筒。排気量は5リッターもある。そこで得られたパワーを後輪に伝達する。スペックを耳にしただけでワクワクと心踊りそうになった。

 このところ、環境にいいという理由で、ダウンサイジングという言葉が横行している。排気量を下げることで燃費を改善(必ずしもそうとは限らないが)、排気量を下げた分の出力の低下をターボチャージャーで補う。環境に優しく、パワーもある。それがダウンサイジングの考え方だ。

 一方で、4WD(4輪駆動)が増殖中だ。出力が増えただけ、2輪駆動では加速力を受け止めきれないということもあるが、もともとコーナリング安定性が高いという理由から、4WDタイプが増えているのだ。

 そんななか、レクサスが放った「RC Fパフォーマンスエディション」は、ダウンサイジングや4WD化へのアンチテーゼのように思う。あらためて大排気量+FR駆動の魅力を突きつけてくれたのだ。

 そもそも、大排気量+FR駆動の魅力は、アクセルワークで自在に走りをコントロール可能なところにある。アクセル操作がパワーの増減に直結するからだ。その増減よってコーナリングの軌跡が変化する。つまり、アクセルワーク次第でコーナーを華麗に舞うことができるのだ。

 ただし、それには条件がある。力強くレスポンスに優れたエンジンと、強靭なサスペンションが不可欠なのだ。

 排気量が小さければ、低回転トルクが細く、アクセルワークが枯葉のように頼りない。ターボチャージャーで最大トルクを補うことは簡単だが、その機構上、致命的な反応遅れが生じる。エンジンの排気圧を利用してタービングを回し、それからあらためて本来のパワーゾーンに突入するターボチャージャーは、アクセルペダルを踏み込んでから排気サイクルが一回転するまでに「間」が生じてしまうのだ。それがターボの欠点だ。

 今回、レクサスは5リッターV型8気筒エンジンのレスポンスを磨き込んできた。ムービングパーツや吸気系に細工を施すことで、反応をシャープに仕立てたのである。

 同時に、ボディそのものを大幅にダイエットした。ボンネットを高価なカーボン素材とし、マフラーを軽量なチタン製にした。さらに、ブレーキをカーボンセラミック製に交換。軽量素材を贅沢に投入したことで、80キログラムもの軽量化に成功したというから驚きである。モーターによる重量増を嫌って、リアウイングを電動モーター可動式から固定式に変更したほどのダイエットである。

 これらの細工によって、マッチョな重量級ボクサーが体脂肪5%台まで脂肪を削ぎ落とすような減量を感じた。フットワークは軽く、反応はシャープ。レスポンスに磨きをかけたエンジンの効果も絶大で、アクセルペダルの1ミリがコーナリングラインの1ミリコントロールに直結する。右足の靴の裏とリアタイヤが直結しているかのようなフィーリングは、感動ものである。

 世間の一部では、大排気量+FR駆動を絶滅危惧種とする論調もあるようだが、「RC Fパフォーマンスエディション」でサーキットを攻め立てると、すべては杞憂に終わると断言できる。大排気量エンジン+FR駆動は、これからもスポーツモデルの王道を歩み続けるはずだ。「RC F」に目をかけてみるのも悪くはない。

(文=木下隆之/レーシングドライバー)

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