“若者の街・渋谷”の終焉…渋谷、巨大なオフィス街化の裏に東急の緻密な戦略

Business Journal / 2019年5月15日 21時0分

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 若者の街といえば、その代名詞にもなっている渋谷を真っ先に思い浮かべる人も多いだろう。実際、渋谷のセンター街をはじめ109、パルコなどには若者に人気の服や雑貨を取り扱う店が多数ある。それら渋谷の店は、時代の最先端をいくファッションを発信してきた。

 そんな渋谷に今、異変が起きている。2020年の東京五輪を目前に控えて、東京のあちこちで都市改造が進められている。それは、渋谷も例外ではない。渋谷駅周辺では急ピッチで都市改造が進む。その都市改造では、若者を前提にしたまちづくりの理念は薄い。

 今般、日本は人口減少が顕著になっているが、東京にもその影が忍び寄っている。人口減もさることながら、都市開発事業者は人口構成と世代別の購買力を重視するようになっている。平たくいってしまえば、20代の若者は絶対数が少ない。だから、消費額も少ない。一人あたりの消費額で見ても10~20代は低い。もう、ビジネス対象にならないのだ。効率良く稼ごうとする都市開発事業者にとって、20代は無視してもいい存在になりつつある。

 一方、50~60代の絶対数は多い。若者の街で売り出して人気のない街になってしまえば、テナントの入居や店舗の出店が鈍化してしまう。そうした事情から、“若者の街・渋谷”は“大人の街・渋谷”へとイメチェンを模索する動きが出てきている。

 従来、東京における“大人の街”といえば、銀座や日本橋といった東京の東側だった。しかし、最近の銀座や日本橋は訪日外国人観光客が多く、日本人の富裕層は落ち着いて買い物ができなくなりつつある。銀座で買い物をするにしても、富裕層と訪日外国人観光客は棲み分けが可能だが、そこからはじき出されたアッパーミドル層の受け皿として、渋谷や恵比寿が機能しつつある。

●若者向け店舗の撤退と淘汰

 2013年、東京メトロ副都心線が東急東横線・みなとみらい線と相互直通運転を開始。当時は、相互直通運転によって渋谷駅が通過駅になってしまうことから、渋谷の求心力低下を心配する声も聞かれた。渋谷の凋落を阻止すべく、“渋谷の盟主”東急は都市開発に取り組む。

 渋谷駅から延びる田園都市線や東横線の沿線は、東急平野とも称されるほど生活に東急が入り込む。鉄道だけではなく、日用品を買うにも東急ストア、家庭で使用する電気やガスも東急パワーサプライ、といった具合で東急なしでは生活が成り立たない。

 東急の沿線民は、愛国心ならぬ愛線心が強いといわれる。東急平野の人口は、おおよそ540万。それだけ多くの沿線人口を顧客として抱える東急が、渋谷を再開発して街をつくり替えても、東急平野の住民がそっぽを向くとは思えない。また、沿線民が新宿や池袋に足を向けるような事態が起きることも考えづらい。相互直通運転による通過駅化で凋落するという事態は、杞憂に終わりそうだ。

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