『いだてん』第19話、またも壮大な肩透かし…箱根駅伝誕生秘話をあえて盛り上げない謎脚本

Business Journal / 2019年5月21日 19時0分

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 NHK大河ドラマ『いだてん』の第19話が19日に放送され、平均視聴率は前回と同じ8.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。

 今回は、現代でも絶大な人気を誇る箱根駅伝の誕生について描く内容だと予告されていた。日本人初のオリンピック選手としてマラソン競技に出場した金栗四三が箱根駅伝の創設に深くかかわった事実はあまり知られていないが、大河ドラマとしては格好のネタである。盛り上がりに欠けたここ最近の回を我慢して見ていた視聴者も、箱根駅伝誕生の過程を描く回ならさぞかしドラマチックな内容になるだろうと期待していたはずだ。

 ところが結論から言うと、その期待は大いに外れた。どうやら脚本の宮藤官九郎は、箱根駅伝誕生のいきさつを波乱万丈な成功物語に仕立てることには、まったく興味がなかったらしい。アメリカのロッキー山脈を越える駅伝の予選会を開くにあたり、平地より高地がいいだろうという金栗の発案で箱根駅伝が生まれた――という誕生秘話は、アバンタイトルの冒頭であっさり終了。肩透かしも甚だしい。

 ちなみに前回も、ゴム底のマラソン足袋誕生というドラマにするのに格好のエピソードをあっさりスルー。金栗(中村勘九郎)が「足袋の底をゴムにしてほしい」と突然言い出し、足袋屋の黒坂辛作(三宅弘城)が後日完成品を持ってきた――という描写だけで終わらせてしまった。こうなると、なんの意地を張っているのかわからないが、クドカンは誕生秘話や開発秘話など、「紆余曲折の末に成功に至る汗と涙のエピソード」を描くのを意図的に避けているとしか思えない。つまり、ドラマとして盛り上がりそうなベタな展開を回避しているという意味だ。

 もちろん、ベタな展開を避ける脚本が悪いわけではない。『踊る大捜査線』(フジテレビ系)の制作陣がそれまでの刑事ドラマの王道であった『太陽にほえろ!』を徹底的に研究し、その「王道展開」をことごとく避ける手法を採って大成功したことはドラマファンの間ではよく知られている。だが、前回の『いだてん』第18話は、「ゴム底のマラソン足袋誕生」というベタな盛り上がりポイントをあえて回避したものの、代わりになる軸のストーリーが存在しない、いわばヤマもオチもない回のまま終わった。

 では、今回はどうだったのだろうか。視聴者の声は、賛否両論かなり割れている。「あえてわかりにくくしている」「視聴者を突き放している」といった批判がある一方で、「久しぶりにおもしろかった」「今回は落語が邪魔しなかった」「駅伝と落語がちゃんとかかっていて、よく練られていた」と称賛する声もかなり多い。

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