ソニーが再び世界に“新しい生き方”を提供し始めた…ソフトウェア企業への変身

Business Journal / 2019年5月28日 6時0分

写真

 ソニーが、その強みを取り戻しつつある。
 
 かつてのソニーの強みは、新しい価値観を人々に提供し、従来にはなかったライフスタイルや生き方=文化を生み出すことだった。同社が生み出した「ウォークマン」やパスポートサイズの「ハンディカム」は、世界中の人々に“新しい生き方”を与えるだけのパワーがあった。特にウォークマンは、外を歩きながら音楽をよい音質で楽しむという、新しい文化=ライフスタイルを人々に提案した。それがヒットし、ソニーは成長した。

 しかし、その後のソニーは、自社の強みを見失ってしまった。特に、経営者が自社の向かうべき方向を定めることなく、事業ポートフォリオの拡大を目指したことは大きなマイナスだった。ある意味では、金融分野で多額の収益を上げることが、かえって同社本来の強み=コアコンピタンスを失わせることになったのかもしれない。その結果、同社は、人々に新しい価値観を提案するという意味でのイノベーション力を低下させてしまった。

 ただ、2018年度の業績を見ていると、ソニーは輝きを取り戻しつつあるように見える。特に、ゲームビジネスの成長は頼もしい。中国の経済成長などを背景に、ゲーム市場には大きな可能性がある。ソニーがそのマーケットにおいて、どのようにシェアを得ていくか楽しみだ。

●ソニーが取り組んだ事業再編成

 近年、ソニーは事業の立て直しに本腰を入れてきた。まず、同社は構造改革を進めた。具体的にソニーは、パソコンなど消費者向けのエレクトロニクス事業の見直しを進めつつ、技術面での優位性がある分野に経営資源を再配分した。

 このなかで、同社の収益を支えてきたのが、スマートフォン向けのCMOSイメージセンサー事業である。アップルのiPhoneのヒットやスマートフォンの高機能化により、世界中で高機能のCMOSイメージセンサーへの需要が高まった。17年、世界のCMOSイメージセンサー市場にてソニーは52%程度のシェアを手に入れた。

 CMOSイメージセンサーは、スマートフォンメーカーに提供される高機能の部品だ。当たり前だが、CMOSイメージセンサーは最終消費者向けの製品ではない。そのため、ソニーが民生用エレクトロニクス市場でのヒットメーカーから、高機能の部品を提供する企業に転身したと感じる経済の専門家もいた。ソニーの経営者が自社の技術力の高さに注目し、CMOSイメージセンサーに経営資源を再配分して業績を立て直したことは、評価されるべきだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング