話題呼ぶNHK『腐女子、うっかりゲイに告る。』意欲作ゆえの弱点とは

Business Journal / 2019年6月9日 19時0分

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 NHKとは思えない攻めの姿勢が話題となったドラマ『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』が、今週で最終回を迎える。本作はNHKの「よるドラ」(土曜夜11時30分~)枠で放送されている、ゲイの高校生・安藤純(金子大地)が主人公の青春ドラマだ。

 ある日、純はクラスメイトの三浦紗枝(藤野涼子)が男性同士の恋愛を題材にしたBL(ボーイズラブ)本を買っているところを目撃し、彼女が“腐女子”であることを知る。その後、三浦さんと仲良くなった純は、彼女と付き合えば普通の幸せが手に入るのではないかと思い、ゲイであることを隠して付き合うようになる。しかし、純は女性の三浦さんに性欲が芽生えず、性行為の際に失敗し、気まずい関係となる。

 やがて、純は三浦さんに自分がゲイであることを告白。しかし、その場面を盗み聞きしていた小野雄介(内藤秀一郎)がゲイであることをクラスメイトに暴露したことで、純は追い詰められ自殺未遂を起こす……。

 原作は、小説サイト「カクヨム」に投稿された浅原ナオトの小説『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』(KADOKAWA)。書籍化の際に自身も同性愛者であることを告白した浅原は、LGBTの運動には苦手意識を持っており、中学2年のときに読んだBL本に登場する同性愛者たちの姿を見て、同性愛者としての自己肯定感が高まったと語っている。

 LGBTの運動に後押しされるかたちで世間に広がっている実態の伴わないポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)ではなく、同性愛者の恋愛を性的なファンタジーとして消費しているため性差別的だと批判されがちなBLと、その消費者である腐女子を肯定的に見ているのだ。この視点は物語にも反映されており、腐女子の三浦さんとBL的価値観と出会ったことで、不安と孤独を抱えていた同性愛者の純が救われるという結末に、本作は向かっている。

 また、本作の魅力は登場する若者たちの生々しさで、青春ドラマとして実に秀逸である。脚本を担当した劇団ロロの三浦直之は、若者の会話を魅力的に書ける脚本家だ。純と三浦さんのやりとりもそうだが、純を取り巻く男子高校生同士のやりとりも生々しく、性に目覚めた思春期の少年少女の雰囲気をイキイキと描いている。

 同時に、高校生が持つ同性愛に対するライト感覚の差別心も描いており、無知であることがいかに愚かで残酷かということが、本作を見ているとよくわかる。

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