不振グリー、なぜヒット作が出ない?崩れた必勝パターン、新事業連発に社内外から疑問の声

Business Journal / 2014年9月5日 1時0分


 グリーは14年6月期連結決算説明会の席上、前年度1年間で約40本の新作ゲームを開発しながら1本もヒットしなかった理由について、「(ヒット作を生むためには)打率向上(開発力強化、開発工程見直し)×打席数増加(開発本数増加)が重要だが、前期は打率向上が不十分だった」と反省。そして「これまで300人体制だったスマホ向けゲーム開発人員を今期中に一挙1000人体制へ拡大、ゲーム事業の業績巻き返しを図る」と説明した。

 もちろん、体制強化によりヒット作が生まれる保証はないが、そこでソーシャルゲームに次ぐ事業を早急に打ち立てるため、今年の新事業開始ラッシュにつながっている。
グリーの関係者は、同社内の動きについて次のように打ち明ける。

「今年1月から田中良和社長が急に『総合インターネット企業への飛躍』を言いだし、社内は『リアルビジネスのネット化』ができる事業を探せと大騒ぎになった。そして今年4月、新事業の社内公募を行い、全社員約1800人から150件ほど集まった企画の中で、役員プレゼンに合格した案件が順次事業化されている」

 また、別の関係者は「いつも通りの急な社長命令で、みんな思い付きで出した企画。提案者にとっては新事業でも、世の中的にはみんな手垢のついた既存事業。それらに少し手を加えて、リアルビジネスのネット化らしい事業コンセプトをこしらえた。脈絡がないといわれても仕方がない」と自嘲気味だ。

 こうした内情も漏れているためか、新事業に対する株式市場関係者の反応は厳しい。実際、ネット業界担当の証券アナリストは、こう冷めた見方を示す。

「ゲーム事業の落ち込みをカバーできる新事業をわずか1~2年でつくるのは、いくらスピード感の速いネット業界でも難しい。グリーがすでに開始している新事業も類似既存事業と比較すると、いつ、どの程度収益化できるかは予測不能。これでは業績改善策と評価できない」

「総合インターネット企業への飛躍」を掲げて打ち出した新事業だが、田中社長は「逆境こそ、わが社の歴史」(「日経ビジネス」<日経BP社/14年3月3日号>より)と手綱を緩めるそぶりは見せないが、「逆境」はしばらく続きそうだ。
(文=福井晋/フリーライター)

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