韓国・平昌五輪、現実味帯びる北朝鮮との共催 不況、建設遅延懸念高まりで北が救いの手か

Business Journal / 2014年10月13日 1時0分

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 9月19日~10月4日に開催された第17回アジア競技大会(韓国・仁川)で、日本は金メダル47個を獲得したが、世界的に最も注目を集めたのは、北朝鮮・選手団の動向だった。

「前回のサッカーFIFA女子ワールドカップ(W杯)覇者の日本を決勝戦で破るなど、北朝鮮は今大会に照準を合わせてきました。金正恩政権がスポーツ強化部門に巨額な資金を投資しており、14競技に150人の選手を送り込みました」(現地特派記者)

 北朝鮮のスポーツ強化策には政治的思惑も隠されているようだ。今年2月、ソチ五輪の選手村では、仁川大会に北朝鮮が出場するのか否かが選手たちの間でしばしば話題に上っていた。その時点ではアジアオリンピック評議会(OCA)加盟の45カ国・地域の中、参加表明をしていなかったのは北朝鮮だけ。2002年の釜山大会以降北朝鮮は参加していたが、OCAによる再三の呼び掛けにも応じようとはしなかったのだ。

 北朝鮮国内の混乱、西側諸国による経済封鎖、韓国との国境付近における緊迫した軍事行動などが重なり、北朝鮮の仁川大会参加には悲観的な見方が広がっていたが、ソチ五輪の韓国選手団に帯同していたあるスポーツ組織委員は、「北朝鮮が参加を断る理由がない」と断言していた。その韓国委員が知っていたかは定かではないが、実は北朝鮮側はソチ五輪直前、韓国政府にある提案をしていたのだ。

「南北離散家族の面会が提案され、韓国政府はそれを歓迎する声明を出しました」(政治部記者)

●北朝鮮側から韓国側への申し入れ


 さらに興味深いのは、北朝鮮側のその後の行動だ。昨年12月にオープンした同国の馬息嶺(マシクリョン)スキー場について「要請があれば、五輪会場として提供する用意がある」と表明したのだ。18年冬季五輪は韓国・平昌で開催されるが、雪不足や地形の問題、さらに不況が重なり、スキー場や競技施設の建設を不安視する声も多く出始めている。

「馬息嶺スキー場は金正恩第一書記の肝いりで建設され、国際大会の競技会場としても十分に使用できる施設です。韓国国内にも『南北融和路線』の名目で、一部競技会場を馬息嶺スキー場に移すべきとの意見も出ています」(前出・政治部記者)

 北朝鮮が今回の仁川大会に力を入れてきたのは、「平昌冬季五輪の“共催”を見越して」との見方も強い。もっとも単独開催を共催に変更するには手続きが難しく、あくまでも「一部競技の分離」という方向になるだろう。

 仁川大会の現地入りした日本選手団の関係者によれば、「宿泊先ホテルのエレベーターが故障し、22階を昇り降りさせられた」「バドミントン会場の“空調疑惑”に日本だけではなく、中国も噛みついた」「野球・タイ代表が夜間練習での照明点灯を断られた」など、施設整備面は最悪だったという。平昌冬季五輪への不安はさらに高まっているだけに、馬息嶺スキー場をめぐる「南北共同開催」も現実味を帯びてくる。
(文=美山和也/スポーツライター)

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