小石で相手を骨折させないために。伝え上手の4つの心得

cafeglobe / 2019年5月24日 18時30分

よりよい関係を築くために。大切な思いを届けるために。

MASHING UPでは、コミュニケーションの方法についてさまざまな人にお話をうかがってきました。

「伝えること・理解すること」を考え続けてきた3人の方々の言葉を紹介します。

大切なことは痛くて恥ずかしい経験のそばにある

180916zoonie1_0 撮影/YUKO CHIBA(DOUBLE ONE)

「『これは誰かに伝えたい』。そう思うようなことは、失敗を通して学んだことがほとんど。結局いつも、大切なことは、本当なら人に聞かせたくない、痛くて恥ずかしい経験のそばにある」

そう話してくれたのは、文章表現インストラクターの山田ズーニーさん。そして、こちらがその経験をシェアすると、相手も自分の経験を語ってくれると言います。

「こちらが見栄を張ろうとしたら、読む人も見栄を張って、見栄張り大会になる。でも、こちらが恥をさらすと、読者も『私も! 私も!』と経験を語ってくれる。読者に鍛えられながら、いっしょにコラムを作っていけるようになったんです」

そしてもう一つ意外だったのは、失敗を語ると、人は失敗の裏側の経験値を見てくれるということだったそう。

誰かに「自分のことを理解してほしい」と思うときは、失敗を語ることがひとつの方法となるのかもしれません。

「失敗から得た宝をシェアしたい、そんなところから始めたら、
不思議なことに手柄話をするよりも自分という人間が伝わった」

>>「人は失敗に引き寄せられる。SNS時代のコミュニケーション/山田ズーニーさん[伝わる言葉の方程式 #1]」より

小石を投げただけのつもりでも、相手は骨折するかもしれない

また、ズーニーさんは仕事上のコミュニケーションについて、こう教えてくれました。

「食事をしながら『なんでも話して』と言ったところで、部下の口が重いのは当然です。年若い部下から見れば、人事権や裁量権を持つ自分は“怖い”存在。それを忘れて投げかけたネガティブな言葉は、上司としてはちょっとした皮肉や指摘のつもりでも、部下を深く傷つけてしまいます」

自分と相手の立場や置かれた状況を客観視し、言葉を選ぶ。これは部下と上司という関係に限らず、必要なことと言えそうです。これを肝に銘じてコミュニケーションするだけで、相手との関係は変わってくるかもしれません。

「上下関係のある人に部下は言い返せない。
言葉を投げた側は小石のつもりでも、
当てられた側からすれば30階から石が降ってきたようなもので、
骨折するくらい痛いのです」

>>「部下を生かし、幸せにするコミュニケーション/山田ズーニーさん[伝わる言葉の方程式 #2]」より

お互いの距離感がわかると、安心して会話ができる

180929_tamaoakae_4 撮影/野澤朋代

フリーアナウンサーの赤江珠緒さんは、実況中に緊張したりしたときは、いったん状況を俯瞰で見るようにしているそう。すると「落ち着きを取り戻せる」と言います。

これは、会話がなかなか発展せずに困る場面でも有効だそう。

「私は職業がら会話に間が空くのが怖くて、ひっきりなしに喋るけれども、“なぜこの人は静かでいられるのだろう?”、“どういうリズム感で呼吸をしているのだろう?”と相手を観察してみると、別に怒っているわけでなかったりもする。するとお互いの距離感がわかるので、安心して会話を続けることができるのです」

会話は相手と一緒につくるもの。“私”と“相手”のリズムが同じとは限りません。少しずつ、呼吸をあわせていきましょう。

「コミュニケーションとは、キャッチボールのように、
やればやるだけ上手くなるもの。
失敗もまた経験です。
究極は自分も相手も大事にできること、でしょうか」

>>「客観的になれば堂々とできる。赤江珠緒さん流コミュニケーション術」より

傾聴力がコミュニケーションの質を変える

hoshino090_640 撮影/YUKO CHIBA(DOUBLE ONE)

そして、よりよいコミュニケーションをとりたいと考えたとき、「相手をもっと理解したい」という気持ちが芽生えます。このとき、大切になってくるのが「聞く力」。

精神科医の星野概念さんは患者さんと対峙するとき、だいたいの場合は「傾聴に徹する」と言います。

とはいえ、人の話に傾聴することは、なかなか大変。相手の話を聞いているつもりが、つい自分や知人の体験談にすり替わっていたなんてことはよくあることです。

これに対して星野さんが教えてくれた傾聴のコツは、「心のマイクを置く」ということ。あるトークイベントに出演したとき、相手が話すときに自分が無意識にマイクを下げていることに気づいて思いついたコツだそうです。

「マイクを持っていると、つい口をはさみたくなってしまう。だから無意識にマイクを下げていたんだと思いますが、よく考えると診察室でも同じことをしているなって」

相手に興味を持ち、どんな気持ちでいるのか想像し、話に耳を傾けながら伴走する。そんなスキルを身につけられたら、より深い関係を築けそうです。

「『心のマイクを置く』。(中略)
そういう“聴く構え”をとることで、
口をはさみたくなるモードはなくなります」

>>「対話はラブ。人間関係を円滑にする「傾聴力」って? /精神科医・星野概念さん【前編】」より

見えの張り合いにならないように。相手との関係性を忘れないように。呼吸をあわせるように。自分のことばかりにならないように——。

3人の方々への取材を通じて改めて思い出すのは、「コミュニケーションは相手があってできること」だという当然すぎる事実。当たり前すぎて、あるいは伝えたい気持ちが先走ってしまって、後回しにしてしまいがちなことです。

理解しあいたい人がいることに、感謝と敬意を持ちたいと思います。

※「MASHING UP」の前身メディア「Cafeglobe」で取材した記事で構成しています。

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