顧客データはクイズで収集。米Narsがデジタルマーケ活用で切り拓く未来とは?

cafeglobe / 2020年10月22日 8時0分

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ナーズコスメティクス(Nars Cosmetics、以下「ナーズ」)はより顧客を理解するため、CRM戦略の一環としてパーソナライズされたライフスタイル・クイズを採用し、顧客データを強化している。

「もともとナーズは、製品の販売量を増やすことにより、販売効率を最大化するトランザクションマーケティングに力を入れてきたという歴史があり、グローバルなEコマースサイトでの閲覧習慣や購入履歴に基づき、潜在顧客やリピーターに向けて商品を宣伝してきた」そう説明するのは、ナーズのグローバルマーケティングVPのジェニファー・ジャクソン(Jennifer Jackson)氏だ。

しかしこれは、ナーズが顧客のことを十分に理解できていなかったことを意味しており、また顧客について把握するためのデータもほとんどなかった。2019年の第4四半期に、ナーズはトランザクショナルなアプローチから、エンゲージメント体験に焦点を当てたデータ中心の戦略へと方針転換することを決定した。ナーズが特に理解したかったのは、顧客の製品の好み、肌の色、ライフスタイルに関する情報である。

そこでナーズはマーケティングソフトウェア企業ジェビット(Jebbit)と協力し、マーケティングとデジタルコミュニケーションのパーソナライゼーションを促進するために、20のデジタル体験(そのうち9つは、全地域別のEコマースウェブサイトで共有)をローンチした。

「最終的には、ナーズのWebサイトに人々を呼び込み、ブランドと交流してもらうことが目標です。商品をレコメンドしてくれるゲーム感覚の楽しいクイズを提供することで、私たちの(Eメールやソーシャル)コミュニケーションを選択する価値があるとみなさんに感じてもらえたらと願っています」とジャクソン氏は述べている。クイズは、サイトの「ディスカバー」メニュータブの下にある。

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顧客の好みやライフスタイルを知るためのアプローチ

現在までに、ナーズのWebサイトの訪問者の約25%近くが、持ち運びに便利なチークをレコメンドしてくれるクイズといった、ジェビットが提供するクイズの少なくともひとつに参加している。その結果、サイトを訪れたユーザーから18万3,000以上の質問への回答が得られ、顧客との会話も379時間以上となった。クイズから得られた57,000件以上のデータ属性は、28,000件の新規および既存の顧客プロファイルに追加されている。ジェビットの共同創業者で社長のジョナサン・ラコステ(Jonathan Lacoste)氏は、ブランドの規模に基づくと、これらの結果はジェビットの他のクライアントが達成した数字と並ぶと述べている。

この戦略はナーズにとって最初は非常にうまくいっていたが、2020年3月に新型コロナウイルスが世界中に広がったことで、アプローチはさらに複雑になった。3月にはコロナウイルスに特化したクイズを導入、適切なブランドコンテンツを決定し、電子メールやソーシャルポスト、ライブストリーミングなどの望ましい頻度を判断するためのそのクイズには、約1,380人が回答した。クイズはメイクアップアーティストとの対面でのコンサルタントに興味があるか(33%が「はい」と回答)、新製品の発売に興味があるか(90%が「はい」と回答)、ナーズ創業者フランソワ・ナーズ(Francois Nars)とのQ&Aに興味があるか(65%が「はい」と回答)など6問の質問で構成される。

「そのクイズは、世界的に人々が神経質になっている時期をナーズが乗り切るのに役立ったが、一方ですでに導入している20のデジタル体験は、顧客が何を望み、将来的にどんな製品をローンチすればいいのかを選定するといった、ブランドとしての方向性を決めるのにも役立ったことから、短期的・長期的な効果があったと言える」(ジャクソン氏)

コロナウイルスに関するクイズの結果を受けて、4月にはインスタグラムやZoomでデジタルシリーズが配信され、またクイズで得られた情報はインスタライブでのメイクアップアーティストとの会話にも使用された。「顧客は好きなアクティビティや音楽といった美容以外のトピックについてもブランドと関わりを持ちたがっている」とジャクソン氏。

そうした話題に関するクイズは、ジェビットや業界の標準と比較しても、エンゲージメント率や回答完了の比率が高かったと言い、これは新型コロナウイルスのために人々が多くの時間をオンライン上で過ごすようになったことが要因のひとつでもあるが、ジャクソン氏は、エンゲージメント率が増加しているかどうかを判断するための前年比データがナーズにはないとも明言している。

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顧客が求めるパーソナル体験をオムニチャネルで提供

最近行われたユーザー体験は、7月29日の「ナショナルリップスティックデー」に合わせて登場したもので、ナーズがどのようにライフスタイルの情報を収集しているか、また化粧品以外のトピックに関しても消費者が美容ブランドにいかに関心を示しているかを示す一例となっている。

ナーズのEコマースサイトにある4問のクイズでは、好みのアクティビティ、曲、特殊能力、そしてお気に入りのリップカラーに関する質問で4つの候補からひとつを選択し、その結果をオプトインメールで受け取るか、4色のシェードからおすすめの1色をその場で教えてもらうかをユーザーが選べるようになっていた。約30%の人がオプトインメールを選び、ユーザーはリップスティッククイズに関するフォローアップメールを受信。カナダでは70%の開封率と14%のクリック率を記録している。ジェビットとの関係が始まって以来、ナーズは月に約2回、ジェビットを使った新しいユーザー体験を開発している。

「消費者はパーソナライゼーションを求めているのですが、同時にプライバシーやデータ収集については誰もが本当に敏感になっていますね」(ラコステ氏)

ブランドが行うクイズはコンセプトとしてはさして目新しくはないが、ブランドのウェブサイト、ソーシャルメディア、Eメールを駆使しすばやく作成して展開できるような規模の質問を作成することは、ナーズにとっては新たに進化した活用方法だといえる。

たとえば、有料のインスタグラムキャンペーンに埋め込まれたジェビットの体験によって、顧客は「自分は決してチークは買わない」という意思表示すると、その顧客がナーズのWebサイトにアクセスした際にはその商品が表示しないなどといったことも可能だろう。

「パーソナライズされた体験への顧客の期待値は非常に高く、いかにオムニチャネルを駆使してカスタマージャーニー全体にアプローチするかは、現在各ブランドが模索しているところだと思います」(ラコステ氏)

原文[How Nars used customer quizzes to adjust its global marketing]

Emma Sandler(翻訳:Maya Kishida)

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