保健師が挑む!地域包括ケアシステム vol.2

けあZine / 2014年11月14日 7時0分

地域包括ケアシステムの柱を担う地域包括支援センターで働く保健師として、専門性を活かしながらどう地域包括ケアシステムを構築していくのか? シリーズ2回目は、筆者が実際に大田区で携わっている地域包括支援センターでの日々の予防活動をもとに考えます。

日々の活動から見えてきたもの

 「高齢化の一途をたどる大都市東京において、高齢者が、住み慣れた地域で生活を継続するためにはどうしたらよいのか?」この課題解決に向けて、当地域包括が、高齢者に携わる各種専門機関と地域団体、企業等に呼びかけ、「おおた高齢者見守りネットワーク(愛称『みま〜も』)」を発足させ、活動を行っています。

 本会の主な活動は、地域で暮らし、働く全ての人々と協働し、地域住民を対象とした「地域づくりセミナー」の開催、「高齢者見守りキーホルダーシステム」の基盤づくりから普及啓発、高齢者が社会的役割を持てる場である「みま〜もステーション」の三本柱からなっています。

 「みま〜も」については、こちらの記事をご参照ください。

 柱の一つである「みま〜もステーション」は、商店街と共同し、空き店舗をお休み処として活用しているサロンです。ここは、「地域の誰もがいつでも来られる場所、自分がやりたいことを見つけられる場所、自分が役割をもって活動できる場所、そして自分を待っていてくれる仲間がいる場所」をコンセプトに、ミニ講座や公園管理運営、商店街と合同のお祭りなどを、地域の高齢者とともに実施しています。

 平成24年度はミニ講座を108講座開催し、延べ参加者数700名、平成25年度には230講座開催し、のべ1,700名もの住民が参加しました。また、公園の管理運営や夏まつりなどの開催にあたっては、高齢者自身がボランティアとして、主体的に運営に参加しています。この方たちは「みま〜もサポーター」として登録し、年会費を支払い、本活動の応援者として活躍してくれていて、現在90名を越えています。

 これについては、こちらの記事をご参照ください。

 ミニ講座の一つに、昨年度よりスタートし、毎週月曜日に開講している「手話ダンス講座」があります。この講座の講師は、カルチャーセンターなどで日ごろから教えている講師ではなく、趣味で長年手話ダンスを続けているみま〜もサポーターのKさんです。あるカルチャーセンターの発表会で、Kさんの手話ダンスをたまたま見たサポーター・Nさんが「とっても素敵だった。私もやってみたいなぁ」と呟いたひと言が講座開始のきっかけになりました。

 Kさんは、最初は「私なんて無理無理。絶対いや」と断られましたが、「Nさんがぜひやってほしいって言ってますよ。1度やってみてだめだったら辞めればいいから」と説得し、何とか了承してくれました。そんなKさんも、今では立派に講師を務めています。そして、Kさんの姿を見た他のサポーターも、「実は私もね……」と得意なことをポロっとこぼしてくれ、「○○さんがやってみたいって。一度だけでいいから」の口説き文句で、講師にチャレンジしてくれる機会が増えてきました。

 現在、手話ダンスメンバーは、地域のデイサービスやお祭りで、子ども達に向けて手話ダンスライブを行ったりして、地域とつながり、活動を広げています。

介護予防は自分らしく生活し続けるためのツール、その積み重ねが重要に

 みま〜もステーションでは、人と人がつながることで、自然にエンパワメントし合う(持っている力を引き出しあう)場面を日々見ることができます。講師にならなくても、行くだけで喜んでくれる誰かがいれば、それも立派な役割。人は役割があることで、こんなにもイキイキするのか、と日々実感しています。

 通い続けたい場がある、役割を持てる場がある、「こんなことしてみたい」という思いを持ち続けることができる……これが介護予防につながるのだと思います。ただ、介護予防は目的ではなく一つのツールに過ぎません。自分らしく生活し続けるためのツールです。この一つ一つのツールを大切に実践し、積み重ねていくことで、地域包括ケアシステムは少しずつ構築されていくのだと思います。

 「つなぐ」視点を持ち、一つ一つを大切に実践しながら、今! と思ったときに住民の背中をポン! と押すこと。これが、いつまでも暮らし続けることのできる地域(地域包括ケアシステム)を創っていくために、保健師という専門職としてできることだと考えています。

けあZine

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