通所介護の送迎サービスに求められる専門性とは?

けあZine / 2014年12月29日 7時0分

今回は、前回述べた通所介護の「送迎サービスマニュアル」を作成する際に必要となる「送迎サービスに求められる専門性」について、お話したいと思います。

送迎の事業者同士で口論・喧嘩に発展する場合も

 最近、他事業者の方より送迎に関して数件、相談を受けました。

 「運転手が送迎運転中、他通所介護事業者の運転手と口論になってしまった。相手の事業者に謝りにいったほうがよいか?」といった内容です。口論になってしまった理由は、互いに道の譲り合いをしなかったことが原因のようです。

 最近の大田区では、朝と夕方の道路に通所介護の送迎車両を多く見かけることがあります。このような同業者同士の口論も発生しやすくなっているのでしょう。いろいろ考えさせられました。

同じ地域で通所介護サービスの送迎を行っている仲間意識が大切

 運転技術の専門性以前に、同じ地域で通所介護サービスの送迎に従事しているという「仲間意識」を職員同士がもち、地域住民を支えるという気持ちで、謙虚かつ互いに尊重し合いながら、日々の送迎業務に取り組んでいただけたら、と思います。

 送迎運転手ひとり一人の姿勢によって、地域住民の方が通所介護サービスに対して良いイメージをもっていただけるかが、決まってくるのではないでしょうか。

運転技術が良いだけでは、専門性が高いとは言えない

 送迎サービスにおける専門性として留意しなければならない点は、ご利用者を乗車させるための運転技術が問われるのはもちろんのこと、接遇サービス、市場把握(距離間や各時間の混雑状況、リスクマネジメント等)、運行ルートの効率化、各利用者の乗降場所や方法、乗車時のリスク管理、送迎車両管理等が挙げられます。

送迎における接遇サービスとは?

 基本は「やさしさ」「おもいやり」「いたわり」をもってご利用者に接します。その一例として送迎サービス上での「会話」を共有してみましょう。

初対面でご利用者が乗車するときには、「○○さんおはようございます。スタッフの□□です。今日は天気がいいですね。昨夜はよく眠れましたか?」

リスク予防策としては、「朝の服薬はお済みですか?」や「玄関の鍵は閉めましたか?」など、乗車前に確認すべき事項もあります。

乗車中には「車内温度は大丈夫でしょうか?」など適宜気遣いながら、すこしでも安心できる乗車環境に近づけます。



 朝礼時の隙間時間を活用して、スタッフで声を合わせて練習すると身も心も引き締まりサービスに直結します。

最短な送迎ルートにばかりこだわりすぎず、安全面も留意したい

 常に施設周辺の送迎範囲をリサーチして、最短な送迎ルートをめざすことによって、ご利用者を短時間で送迎できるルートを確立し、喜んでいただけるように工夫します。

   例えば、「○○地域へ向かうにはどのルートが最短なのか」「どの道がいつ混みやすいのか。それを避けるにはどのルートが適しているのか」などを考慮します。

 同時に安全面の視点も忘れてはなりません。デコボコして走りにくく、不快を与える道、非常に狭い道、子供が飛び出す危険性が高い道など、道路によってもさまざまです。

 以前私自身も、効率的なルートを模索するがあまり、デコボコした道を選んでしまい、ご利用者から「ドスンドスン揺れて乗り心地が悪い。お尻も痛くなりイライラして血圧があがるので気をつけてほしい」と注意されたことがありました。

 いくら最短ルートとはいっても、不快を伴う道路や危険が伴う道路は極力避けてください。事故など、何かがあってからでは、せっかくの苦労も水の泡です。

効率と安全、両面踏まえた最短ルートの共有化が業務効率化の一助に

 最短ルートを考える際には、効率と安全、両面踏まえてのルート検索を行いたいものです。そして、両面踏まえた最短ルートをいくつか発見できたら、スタッフ間で共有できるようなアイテムを作成することをお勧めします。

 例えば、大きな地図を広げて事務所内に掲示し、そこにお勧めルートの線を描くだけでの簡単なものでもいいと思います。また、PCを活用できる事業所では、地図ソフトを使用するなどして、お勧めルートを作成し、ファイルで共有してもよいでしょう。

 それによって、運転手だけでなく、訪問するスタッフもこのことを学ぶことができて、スタッフの業務効率にもつながります。

 通所介護で働く生活相談員は、通常、サービス担当者会議の際に、自転車やバイク等でご利用者宅へ訪問しますが、遠回りの道しか知らない、体力を使う道しか知らない、途中で道がわからなくなるなど、最短ルートを知らないが故に移動で疲労しすぎて悩んでいる人も少なくありません。

 そんなときこそ、このアイテムは、業務の全般的な効率化にひと役担ってくれることでしょう。ぜひ、良い知恵を共有していきましょう。

 移動時間が効率的になるとさまざまなメリットが生まれてきます。送迎車両では、ご利用者が乗車する時間が短くなりますし、訪問するスタッフにとっては、無駄な体力を消耗せずに済み、次の作業に取りかかりやすくなります。時には、ご利用者と「オススメの近道談義」で盛り上がる事もできるかもしれません。

 次回は、各利用者の乗降場所や方法、乗車時のリスク管理、送迎車両管理等についてお話ししたいと思います。

けあZine

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