福祉用具選定のポイント

けあZine / 2015年1月7日 7時0分

来たる超高齢社会に向け心配される深刻な人材不足の中、期待される福祉用具の活用、利用するメリットや適切な選定のポイントを、お話したい。

福祉用具活用のメリット

 福祉用具を活用するメリットとはなんだろうか? 大きく分けて2つある。介護負担軽減とQOLの向上である。

 第一に現れる効果としては、「自分で出来ることが増える」あるいは「自分で出来ることを思い出す」と言うことだろう。今まで介助が必要だったことも、福祉用具を活用することで、自分で出来るようになれば、当然、大きな介護負担軽減につながる。

 次に、行動の範囲が増え、再び生活が再開できることでQOL、すなわち「生活の質」向上も期待することができる。

 ここで大事なのは、「すぐに100点満点を求めない」ということだ。

 100点満点とは、個々それぞれであり、目標を設定することは必須であるが、「道具を使わないよりも使ったほうが少しでも改善された」という実感の積み重ねをもとに考えていったたほうがよいのではなだろうか?

ミスマッチで不適切な福祉用具は身体を痛めかねない

 利用する人の、身体の一部となり得る便利な福祉用具だが、間違った使い方をすれば大きな事故の原因にもなる。合っていない商品を使い続けることで、身体に悪影響を与えてしまったり、介助者への苦痛を与えてしまうこともある。

 そのようなミスマッチを防ぐために、介護保険でレンタルできる福祉用具は一部商品を除き、一週間ほどお試しができる「デモ対応」「一週間以内のキャンセル無料」といった対応や、複数の中から試して選べる「フィッティング」という対応を頼むことができる。

選定は各専門職と本人、家族の評価が大事

 福祉用具貸与事業所によって、扱っている商品やレンタル料金に違いがあるが、適切な選定のためには、より多くの商品の取り扱いと納品スピードが求められる。

 私自身、ケアマネジャーから「一番安い車いす」といった依頼を受けることがよくある。しかし、値段だけの選定は望ましくない。

 商品をいろいろ試しながら、ご本人、ご家族、各専門職で評価のうえ、ご利用いただくことが望ましい。

 特に入院中の方の退院に向けての福祉用具選定では、担当の作業療法士や理学療法士との連携をとり、疾病による動作の注意点や課題などについて、実際に福祉用具を用い一緒に解決していくことで、適切な福祉用具の選定へとつなぐことができる。

何を求め、どこまで使いこなせるか、がカギとなる

 しかし、どんなに便利な福祉用具をそろえても、実際に福祉用具を使う本人にとって、意に反することであれば、よい結果は生まれない。

 必要なのは「目的とイメージ」である。福祉用具を利用する本人や家族が何を求めているか? を明確にし、どこまで使いこなせるか? を予測しなければならない。

 そのために最も大切なことは、事前の適切なアセスメントである。

 主なポイントは以下のとおりである。

疾病と既往歴

身体状況

生活歴

自宅内の環境や近隣の道路状況を含む住環境

目的は何か?

誰が主に操作するのか?



 これらを確認したうえで、適した商品を提案する。

 その際に、「○○に行けるようになる」や「○○が出来るようになる」といった「成功をイメージしてもらうことができるか?」が大きなポイントとなる。

使用する本人の「心のバリア」への配慮も重要

 まわりからいくら利用を勧められていても、本人が「使いたくない・使う気がない」場合は、導入に至らないことも多く、また導入したとしても「まったく利用していない」という話もよく聞く。

 その背景には、福祉用具を使う本人が感じているマイナスイメージが左右していることもある。

 「弱ったと思われたくない、恥ずかしい、見られたくない」という利用者の心理が関係することも少なくない。そういった心のバリアへの配慮も必要である。

 また、貸しっぱなしにせず、正しく使われているか? 目標達成に向かっているか? というモニタリングを随時行い、必要に応じて商品の再選定をしたい。

 最近では、さまざまな福祉用具が普及してきたが、その分、複雑な操作を要するものも増えてきている。

 老老介護や独居問題、認知症問題を考えると、誰でも使える、特別な操作が不要な、もう少しシンプルな操作性を有した福祉用具が増えてもよいのではないだろうか?

けあZine

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