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「研修医の勝手な判断・誤診がなければ…」遺族の叫び 医療ミスで16歳男子高校生が死亡 研修医が採血結果の異常を見逃す

CBCテレビ / 2024年6月20日 5時2分

CBC

名古屋の病院で、研修医の「誤診」が原因で、16歳の男子高校生が死亡した医療ミスの問題。

遺族は病院に、「診断ミスでまだ16歳の男の子の人生を突然終わらせてしまったこと、決して忘れないでください」とコメントを寄せました。

(6月17日 日本赤十字社 愛知医療センター 名古屋第二病院 佐藤公治院長)
「誠に申し訳ございませんでした」

医療ミスがあったのは、名古屋市昭和区にある、日本赤十字社 愛知医療センター 名古屋第二病院です。

病院が6月17日に発表し会見した内容によりますと、去年5月28日朝、16歳の男子高校生が腹痛やおう吐、下痢、手足のしびれなどの症状を訴え、救急外来に救急搬送されました。

その際、診察した2年目の研修医は、CT検査で「胃の過拡張」を認めました。しかし、採血の結果は一部の数値が異常値を示していたものの「ほぼ正常範囲内」と判断し、「急性胃腸炎」と診断して、整腸剤などを処方した上で帰宅させました。

その後、男子高校生はおう吐の症状を訴えて、当日再び救急外来を訪れましたが、
この際、診断した別の2年目の研修医は、「新しい症状はない」と判断し、翌日に近くのかかりつけ医を受診するよう指示しました。

男子高校生は一晩中おう吐の症状が続いたため、翌日29日、研修医の指示通りに近くのかかりつけ医を受診すると、そこでは「汎発性腹膜炎のため緊急対応が必要」と診断され、名古屋第二病院の一般消化器外科を紹介されました。

そこで男子高校生は当日、一般消化器外科を受診したところ、担当の外科医師は前日の救急外来でのCT検査の映像から、十二指腸が上腸間膜動脈と大動脈の間に挟まれ、通過障害を起こしてしまう「上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)」の疑いがあると診断。「腸閉塞の治療が必要」と判断し、改めて消化器内科を受診するよう案内しました。

男子高校生は消化器内科で入院しましたが、そこでも検査結果から、本人と家族には「絶食と補液を治療方針とし、改善がなければ後日追加検査を行う」と説明され、必要な「胃の減圧処置」はされませんでした。

その後、男子高校生は、「上腸間膜動脈症候群」による腸閉塞と高度の脱水で深夜に心肺停止の状態となり、意識が戻らないまま翌月15日に死亡しました。

名古屋第二病院の説明によりますと、研修医の診療ルールでは、1年目なら、自分の診断が正しいかどうか確認を求めるなど上級の医師に報告する義務を定めていますが、死亡した男子高校生を救急外来で診察した「2年目の研修医」にはそういった義務を定めていなかったということです。

実際、2年目の研修医は、救急外来の同じフロアにほかに上級の医師がいたものの、自分の診断が正しいかどうか確認をしなかったということです。

名古屋第二病院が設置した医療事故調査委員会は、調査検証の結果、「病院の診療が不適切だった」つまり医療ミスだったと結論づけました。

遺族が病院側に寄せたコメントです。

「今回の日曜日朝方より2度に渡り来院したにも関わらず、研修医2名によって、胃の拡張を急性胃腸炎と誤診され、上級医への相談・報告がルールにも関わらず報告をせず、後日クリニックへの受診を指示し、翌日症状の悪化によりクリニックからの紹介状にて至急の処置を指示されたにも関わらず、日赤では何度も脱水症状を訴えたにも関わらず、時間だけが過ぎてしまいました。更には前日の研修医による誤診のまま入院となり、入院後も脱水時の副作用があるセレネースを2回投与の指示を1回の投与に変更されたにも関わらず、看護師による引継ぎミスで2回投与され、脱水時の重大副作用にある注意事項があるにも関わらず、管理モニターの装着を怠り高度脱水による心停止に気が付かれませんでした。

これまでの複数回の病院側の報告では、各科の専門医は当時研修医からの報告・相談があればCTを見て胃の拡張に対し胃の減圧は確実にできていたと報告されています。

日曜の朝方、1回目、2回目と来院したにも関わらず、研修医の勝手な判断・誤診がなければ、このような結果にはなっていなかったと確信しています。

こちらは受診時、研修医なのか上級医なのか分かりません。まさか日赤という大病院がこれほどずさんな管理のもと、運営されているとはその時は思いもしませんでした。
また、報告書では救急外来に電話で相談した際には翌日の日赤の再診指示が望ましかったとありますが、同日2回受診しており、すぐに再受診を指示してほしかったです。

何度も助けられる機会はあったのに見過ごされてしまいました。こちらが病院で訴えた症状が正しくカルテに記載されていたなら。本当に後悔しかありません。
急性胃腸炎と誤診され、入院したにも関わらず、その数時間後には心停止になってしまいました。CTだけでは判断が難しい稀な病気では、今回は決してありません。初期の段階で胃の拡張に対しての減圧がされていれば、このような結果にはならなかったはずです。
その結果が病院で入院中におきた高度脱水です。

目の前で苦しんでいる人の声をもっとしっかり聞いてください。パソコンばかり見るのではなく、目の前の苦しそうな、つらそうな顔をしっかり見てください。訴えている症状をそのままカルテに記載してください。
もう息子は帰ってきません。
先生方の診断ミスでまだ16歳の男の子の人生を突然終わらせてしまったこと、夢見ていた未来を奪ってしまったこと、決して忘れないでください。

ただ、大多数の医師、研修医の方はこのような事は無く日々医療に邁進していると思います。皆さん自分の能力を決して過信せず、2度とこのような事が起きないよう切に願います」

調査委員会の提言を踏まえて、名古屋第二病院では、
「患者が救急外来を24時間以内に再受診し、研修医が診察する場合は、必ず上級医へ診察内容を確認してもらうルールを確定」するなど、
再発防止策に取り組んでいるということで、「職員一丸となって再発防止に努めていく」とコメントしています。

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