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「オウム真理教ってなに?」若者たちがオウム後継団体に入信 トラブルも 松本サリン事件から30年

CBCテレビ / 2024年7月6日 5時2分

CBC

オウム真理教が引き起こした、松本サリン事件から丸30年が経ちました。当時多くの若者が教団の元で犯行に手を染めましたが、いま、そのオウムの後継団体に若者が入信しトラブルになるケースが起きています。その実態とは。

“オウムを知らない”若者集めるオウム後継団体 いまも続く「麻原信仰」

名古屋の街で若者たちに聞きました。

Qこの人物を知っていますか?
(18~20歳)「知っています」
(18歳)「オウム真理教」
(19歳)「麻原彰晃」

多くの若者が社会を揺るがした”あの宗教団体”や”教祖”のことを知っていた一方で…

(20歳)「えー分からないです。印象…根はいい人そう」
(17歳)「まったく分からないです。サリン事件も?まったく分からないです」

15歳から22歳までの50人のうち9人は、全く知りませんでした。そしていま、こうした若者たちがオウム真理教の後継とされる団体に入信し、トラブルになるケースが相次いでいます。

独自撮影した「アレフ」の施設内部 祭壇には松本元死刑囚の写真

いまから30年前の1994年6月27日に起きた、松本サリン事件。

その9か月後の地下鉄サリン事件。

日本の犯罪史上最悪の無差別テロを引き起こしたオウム真理教の教祖、麻原彰晃。本名=松本智津夫元死刑囚。2018年に死刑が執行された後もその影響力は続いています。

これは、死刑執行後にCBCが独自に撮影したオウムの後継団体「アレフ」の施設内部の映像です。祭壇に松本元死刑囚の写真が飾られ、本棚には元死刑囚の著作がびっしりと並んでいました。

公安調査庁によると、アレフなどオウム後継団体の信者は、現在全国に約1650人。オウム時代の7分の1ほどですが、いまも年間70人前後の新規入会が確認されていて、その大半が事件後に生まれた20代の若者です。

オウムと同じアレフの”出家制度” 「子どもが音信不通に」相談相次ぐ

神奈川県の住職で「日本脱カルト協会」の顧問を務める楠山泰道さん(76)。

オウムやアレフ信者らの脱会を手助けする活動を30年以上続けています。

(楠山泰道さん)
「これがアレフの宗教理念。アレフに入らなければ見ることはできない」

これは楠山さんが元信者から入手したアレフの内部資料をコピーしたもの。

(楠山泰道さん)
「一番の問題は、出家しなければ"参政権"がない(方針決定に関われない)ということが書かれている」

アレフにおける出家とは、社会との関わりを一切断って心と体、そして財産を教団に差し出すことで、かつてのオウムと全く同じです。

(楠山泰道さん)
「出家することで親と断絶してしまう。親に会わせないということが大きな問題」

これにより、出家した家族と”音信不通になった”という相談が近年増えているといいます。

最近のアレフはSNSなどで“正体隠して”若者を勧誘

(アレフ信者の親)
「普通の親子関係だったのに出家したら音信不通に。どうして?」

(楠山泰道さん)
「カルトのテクニックっていうのは社会と切り離すことなんだよね。まず一番切り離しやすいのはいつも反抗する親、家族。その次が友達。で全部に切り離されたら生きれる場所どこって?カルトしかないっていう。そういう状態を作り上げることがカルトのテクニックなんですよ」

アレフ信者の親)
「数年間連絡が取れていません。どうすればいいですか?」

(楠山泰道さん)
「アプローチを送ることが大切。断絶しているとはいえ恋しさも残るでしょうから、そこをどんどんついていくしかないと思うんです」

最近のアレフはSNSなどを使い正体を隠して若者たちを勧誘することが多く、「サリン事件は陰謀だ」など洗脳めいた説明をすることもあるといいます。

(アレフ信者の親)
「洗脳を解くにはどうすればいいですか?」

(楠山泰道さん)
「自分の頭で考えさせること。それから社会の中でしかできないこと(を教える)。例えばオウム(アレフ)の中で修行しても、その中で終わっちゃたら人の救済にはならないわけですよね。人を救いたいと言って修行してるんだったら外に出て人を救わなきゃ本当に救うことにはならないじゃないですか」

麻原の元側近「自分で考えて」死刑直前に託した若者へのメッセージ

楠山さんとともにカウンセリングを行うのは、石川県の僧侶で脱カルト協会の理事でもある平野喜之さん(60)。

松本元死刑囚の側近で2018年に死刑が執行された、井上嘉浩元死刑囚と面会や文通を重ねてきました。その手紙には、若くしてオウムに入信したことへの後悔が綴られています。

(井上元死刑囚の手紙)
「麻原を信じたことそのものが罪のはじまりであり、全ての罪の責任は私にあります」

そして死刑執行の前に平野さんに託したのが、アレフに入信する若者たちへのメッセージでした。

(井上元死刑囚がアレフ信者に向けたメッセージ)
「自分の目で見て自分で考えてほしい。真理は麻原が独占できるようなくだらないものではない。どうか本当の自分を取り戻してください」

(平野喜之さん)
「実際の元信者で人生を台無しにしてしまった方の言葉を聞いたものとして、教団に引き入れて利用しようとする悪い人たちがいるんだということをよくよく知っておいてほしいと思います」

「カルトは隣にいます」若者の”脱カルト”どうすれば

なぜアレフはいまも松本元死刑囚を崇拝し続けるのか。信者が集団生活をしているとみられる名古屋の施設を訪ねましたが応答はなく、本部に質問も送りましたが回答はありませんでした。

警察は依然、大量殺人などの脅威があるとみて注意喚起に力を入れていますが、日本にはフランスのように反社会的なカルト宗教を取り締まる法律はなく、事件が起きてからでないと動けないのが実情です。

社会不安が高まる中で若者に広がるカルト宗教への傾倒。楠山さんの元には、いまも毎日のように相談が寄せられています。

(楠山泰道さん)
「隣にいますよカルトは。カルトはいっぱいいます。だから決してひとごとではない」

CBCテレビ「チャント!」7月3日放送より

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