「必ず名古屋市民のためになる」任期半年残し 河村たかし市長が衆院選出馬へ あの肝いり事業の今後は？

CBC

名古屋市の河村市長が、10月末に行われる予定の衆院選に出馬することを明らかにしました。
市政の課題が残る中、市長の職を投げ出したとも受け取られかねない突然の出馬表明に、市民の受け止めは？

1日朝、大勢の報道陣に囲まれた河村たかし名古屋市長75歳。そこで語ったのは。

（河村市長）
「もう1回 日本の皆さんにご奉公をしようと。“総理を狙う男アゲイン”と」

10月27日投開票予定の衆院選に愛知1区から出馬し、名古屋市長の職を辞すると明らかにしたのです。

かねてから「総理を狙う男」を公言してきた河村市長。

（河村市長　9月14日）
「総裁選に出られる人は幸せだがね。20人も推薦人を集められるのは」

９月にも記者に対し国政への憧れを口にしていましたが、会見で出馬について問われると。

（河村市長　8月）
「南無阿弥陀仏」

河村節で煙に巻き、態度を明らかにしてきませんでした。

「ガセネタ」ではなかった!?

そんな中、9月27日。

（河村市長）
Q市長が国政に出る話を聞いたが？
「知らんよ、そんなこと」「ガセネタやて」

国政出馬の情報を「ガセネタ」と一蹴。その、わずか4日後の出馬表明。

（河村市長）
「愛知1区から立候補すると決めた。庶民革命です。
　税金を払っている人が苦労して、税金で食っている人が楽をしている社会を本当に変えないといけない。議員の家業化を何とかストップしていく」

名古屋市長の任期を半年残して退くことについて、市民は。

（市民）
「やりたいことがあるのかなと」
「がんばってほしい」
「（天守閣再建が）中途半端な状態で、辞めるのはどうかなと思います」

どうなる？「名古屋城天守閣 木造復元」

河村市長は衆院議員を5期務めたあと2009年に名古屋市長選に立候補し初当選。

名古屋市役所への初登庁では。

（河村市長）
「まぁ、楽しくやらないかんで。朗らかに」

大勢の職員に出迎えられ市長室へ。
その後、市民税の減税や議員報酬の削減をめぐって市議会と対立し、市議会のリコールも主導。
2011年の出直し市長選を含め、連続5回当選しました。

そんな河村市長が肝いりで進めてきたのが、名古屋城天守閣の木造復元事業です。河村市長は当初2022年までに実現できなければ「関係者は全員切腹」とまで話していましたが。
バリアフリーの問題などをめぐって計画はストップし事業は暗礁に乗り上げています。

完成の見通しが立たない中、すでに購入した木材を保管する経費だけで、年間約1億円ものコストが発生し続けています。

2018年から閉鎖されている名古屋城の天守閣。

（観光客）
「中は見てみたかった」
「（宮城県から）名古屋城を見に来たので、入れないというのが事前に分かっていたら来なかったかもしれない」

“登れない城”は、観光にとっても大きな損失です。

大村知事「無責任だ」　河村市長「必ず名古屋市民のためになる」

（河村市長）
Q任期途中の投げ出しではないかという批判もあるが。
「衆院選に出るという価値もある。名古屋城も衆議院で議論したほうが、木造復元という価値を日本中に広めることができる。必ず名古屋市民のためになる」

河村市長にリコール運動を起こされるなど、ことあるごとに対立してきたのが、愛知県の大村知事。
1日の会見で河村市長の出馬について問われると。

（大村知事）
「正直驚いた。そんな気はないと思っていたので。議会の途中で議決もなしに（辞める）というのは無責任。名古屋城天守閣問題は全く進んでいない。説明責任も果たしていないし、無責任極まりない」

河村市長は近く市議会議長に辞表を提出する方針です。

愛知1区には、自民党の熊田裕通氏と、立憲民主党の吉田統彦氏が出馬を予定し、日本維新の会の山本耕一氏が立候補を表明しています。