1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

平均年齢は53.9歳 期待の新人19歳や元海上保安官らがバス運転士に 深刻なバス業界の人手不足

CBCテレビ / 2024年11月1日 22時37分

CBC

運転士不足が深刻なバス業界。番組では、デビューしたばかりの期待の新人ドライバーと、人材確保に向けたバス会社の新たな取り組みを取材しました。

国内最大級 バスの運転士の採用説明会

ことし10月、名古屋で行われたのはバスの運転士の採用説明会「どらなびEXPO」です。中部地区のバス事業者31社が集まる、国内最大級の就職イベントです。

(中部バス協会 瀧 修一会長)
「(運転士不足は)大変厳しい状況。コロナ禍が明けて、需要が回復してきて(運転士不足の)問題が顕著」

この日は100人以上の志望者が参加。出展していたバス会社はアピールに懸命でした。

(三重交通人事部 染井喜久部長)
Q減便などの影響はあるか
「一部の路線ではそういうこと(減便)もあるが、極力減便しないよう採用を強化している。単身寮を完備したり研修を充実させたり、運転士が働きやすい環境を整えている」

帝国データバンクの調査では、路線バス事業社の半分以上が、コロナ禍前と比べ人手が減っていて、そのうちの16.3%が2割以上減っているという深刻な状況です。

おととしの法律改正で19歳でも運転士デビューが可能に

苦境に陥るバス業界。こうした中で名古屋のJR東海バスでは、期待の新人がデビューしました。ことし8月に入社した上川航河さん19歳です。全国のバス運転士の平均年齢は53.9歳と全産業の平均よりも10歳高く、10代でデビューした上川さんはバス業界の希望の星です。

(JR東海バス 上川航河さん)
「大型二種免許はマニュアル操作も必要。シフト操作とかは覚えるのに苦労した」

大型バスの運転には「大型二種」の免許が必要です。これまでこの免許を取得するには「21歳以上」かつ「運転経験3年以上」という2つの条件を満たさなければ、受験をすることができませんでした。しかしおととしの法律改正で、「19歳以上」かつ「運転経験が1年以上」であれば、「特例講習」を受けることで取得できるようになりました。19歳の上川さんもデビューがかなったというわけです。…と言っても。

(上川さん)
「バス停や経路を覚えるのが本当に大変。左折右折が大変だし、車両の重さも考えながら運転しないといけない」

まだ3か月間の研修を終えたばかりの上川さん。この日は2度目の営業運転で、130キロ先の京都駅に向かいます。デビューは果たしたものの、営業運転中はしばらくは?指導担当が立ち会います。先輩に見守られながら、独り立ちに向けて慎重にハンドルを握ります。

(指導員)
「丁寧で焦らず安全運転で良い。乗っていて安心」

(乗客)
Q乗り心地は?
「ゆっくり。安全運転。誰にだってそういう(新人の)時はあるので、なるべく早く経験を積んでベテランになってもらった方が良い」

(上川航河さん)
「たくさんの人から注目して見られているので、1回事故しただけで、『やっぱり19歳はダメなんだ』と思われてしまう可能性もあるので、丁寧に安全運転で事故なく運転したい」

20歳で“地域の足”を支える存在に

一方、愛知県豊橋市に本社を置く豊鉄バス。ここにも、特例講習を受けた20歳の新人運転士の姿が(10月取材)。

(新人太田さんの車内アナウンス)
「ご乗車ありがとうございます。このバスは11時15分発…」

太田輝さんは、10月デビューした豊鉄バス史上最年少のバス運転士で、現在は豊橋市内を走る路線バスを担当しています。

(豊鉄バス 太田輝さん)「今見た感じ、後ろのブレーキランプが消えている…」
(上司)「ここ?」
(太田さん)「そうです(作業…)」
(上司)「違う違う。後ろからソケットを回す」

車両のトラブルがあっても、先輩から教えてもらいながら落ち着いて対応。一人前のドライバーとして地域の足を支える存在になっています。

(太田さん)
「最初の頃は(車体が)長いので、慣れるのが大変だった。安心安全にお客さまの行き先まで、ちゃんと送り届けるという使命でやっているので、しっかり緊張感を持ってやっている」

新人は元海上保安官「最後の勤務地は尖閣諸島」

そして豊鉄バスには、もうひとりの新人が…。

(豊鉄バス 溝口洋一さん)
Q以前はどういう仕事を?
「最後の勤務地は尖閣諸島。海上保安官として30年以上国防にあたっていた」

ことし9月末に運転士としてデビューした、溝口洋一さん、61歳です。海上保安庁で働いていたという、異色の経歴です。

元々乗り物や機械が好きで、「大型二種」の免許も持っていました。定年を機に豊鉄バスに入社。運転業務未経験での正規採用の61歳の運転士は、豊鉄バス史上最年長です。

(溝口さん)
「本当にやりがいがある。お客さんからの『ありがとう』の言葉が励みになる。地域に貢献できてありがたい」

自治体とバス会社 日本語学校が連携 外国人の免許取得をサポート

一方、愛知県岡崎市では、「岡崎モデル」と銘打った新たな取り組みが始まりました。

(名鉄バス内定 鈴木健次さん)
「これからバス運転士になるために、精いっぱい日本語を勉強して頑張りたい」

名鉄バスの正社員に内定した鈴木健次さん(39)は、ブラジル出身の日系3世で、19歳のときに来日。日本国籍を取得していますが、正社員としての働き口が見つからず、関東で派遣社員として働いていました。

(鈴木さん)
「(派遣社員だと)やっぱり安定しない。正社員は安心する。バスの運転士になって岡崎市の人々の役に立ちたい」

あとは「大型二種」に必要な専門用語を学んで…

鈴木さんが第一号となる「岡崎モデル」は、バス運転士を目指す外国人人材を支える仕組みです。岡崎市と名鉄バス、市内の日本語学校が連携し、地域全体で大型二種の免許取得をサポート。名鉄バスの正社員として雇います。

鈴木さんはすでに最上位の日本語能力検定を取得していますが、「大型二種」に必要な専門用語などを学んでもらうため、提携する日本語学校に入学。

3か月以内に教習所へ入校し、免許取得を目指します。

「バス運転士を目指す外国人の目標に」

(名鉄バス人事部 入江直美さん)
「焦ることなく着実に立派な運転士になってほしい。今後バス運転士を目指す外国人の目標になってほしい」

鈴木さんは、早ければ来年春にもバス運転士としてデビューする見込みです。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください