追悼 谷川俊太郎さん「仕事に追われて“レモンの搾りかす”だった頃も…今は詩を書くことだけが救いになっています」
CBCテレビ / 2024年11月20日 5時0分
瑞々しい感性で多くの読者に親しまれた詩人、谷川俊太郎さんが、11月13日に老衰のため亡くなりました。92歳でした。
谷川さんといえば、多くの詩や絵本の作者としてはもちろん、あの「鉄腕アトム」の主題歌の作詞をしたことでも知られています。
ことばを操って70年余り。東京都杉並区の自宅でお聞きした貴重なお話を振り返ります(2019年3月取材)。
「朝起きる前に浮かぶことが多いので、すぐにちょっとメモします」
取材当時谷川さんは87歳。生まれ育った場所で、一人で暮らしていました。
(谷川俊太郎さん)
「時々ベッドに入っちゃってから何か思いついて、ちょっとごそごそして2、3行書いたりもしてますし、朝起きる前に浮かぶことが多いので、朝起きてすぐにちょっとメモしますね。短い言葉ですよ。なんで自分でもこんな詩が書けたのかよくわかんないみたいな詩が一番いいですね」
手塚治虫さんから直接電話が…
懐かしい「鉄腕アトム」の主題歌も担当しました。
(谷川さん)
「よく覚えてないんだけど手塚さんから直接電話をもらった記憶があるんですね。で、困っちゃうと『ラララ』でごまかしたりして、っていう風に言うんだけど、それは嘘で、実際にはラララっていうのは結構ウケてるから」
(記者)
「ラララって共感できますよね」
(谷川さん)
「みたいですね。“歌”ってそういうもんなんですよね」
「『生活費を稼ごう』が詩を作る動機でした」
谷川さんは1931年、昭和6年に生まれました。高校時代に友人の影響で詩を書き始め、20歳のときに初めての詩集「20億光年の孤独」を出版します。哲学者の父、谷川徹三が、知り合いの詩人、三好達治に息子の創作ノートを見せたことがきっかけでした。
(谷川さん)
「自分としては『いい詩を書こう』ではなく、『生活費を稼ごう』、『お金を稼ごう』というのが(詩を作る)動機でしたね」
この詩集が評価され、大学に進まなかった谷川さんを心配していた母親も一安心。詩集、合唱曲の作詞、絵本などにも活躍の場を広げ、やがて日本を代表する詩人になっていきました。
「どうでもいいの、食べもんは」コンビニ行って…
(谷川さん)
「朝は何か自然に6時半頃目が覚めるようになっちゃったんですけどね。ここ10年ぐらいかな」
食事は夕食の1食のみ。
(谷川さん)
「父は美食家だったけど、ぼくはどうでもいいの、食べもんは。玄米だけは炊いている。ウチの息子のお嫁さんが精米機で精米してくれて、七分突きとかそれが基本で、コンビニ行っておかず買ってくるだけ」。
87歳の詩人は食べることに無頓着でした。
創作は手書きではなくノートパソコンで
(谷川さん)
「(キーボードは)全然両手は使ってない。片手だけ。詩だからそれで済んでるわけ。5行に1時間かけても全然問題ないし。その方がいいこともあるわけだから」
当時愛用していたのはアップルのMac Book Pro。
(谷川さん)
「マックは哲学みたいなものあるじゃないですか。ジョブスとかしゃべっているときに感じるものがあるでしょ。デザインの端々にまでそういうものが行きわたっているから」
80代後半になっても創作意欲は衰えません。
(谷川さん)
「ん~中年ぐらいの頃は自分が“レモンの搾りかす”だと言ったことがあるんだけど、仕事に追われていてね。ちっともいい詩が書けなかったことがあったんだけど、あの~ここ10数年ぐらいは詩を書くのが生きる支えになってますね」
「庭の木に最近お礼を言っています」
80代になって、これまで気にも留めなかった“周りの自然”にも目を向けるようになったといいます。取材時に、記者が庭の木を指さし「これはなんの木ですか」と尋ねると、谷川さんは「植物の名前とか全然興味ないの、ぼくは」と言いつつもこう答えました。
(谷川さん)
「でも前はぼく、庭なんか全然見なかったんだけど、今、毎朝見てね、何かお礼言ってますよ『ありがとうございました』なんつって」
息子の賢作さん「詩はずっと皆さんと共に」
父・谷川俊太郎さんとの朗読会やコンサートで、多くのステージを共にした作/編曲家でピアニストの谷川賢作さんは19日、SNSのXに次のように投稿しました。
(谷川賢作さん)
「皆様と同様私も、俊太郎の詩に驚き、感心し、クスっと笑わされ、ほろっと泣かされ、楽しかったですね。紋切り型ですが、彼の詩はずっと皆さんと共にあります」
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