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【阪神・淡路大震災30年アーカイブ】倒れた建物と倒れなかった建物の違いは?名古屋大学 福和伸夫助教授(当時)が実験

CBCテレビ / 2025年1月16日 20時42分

CBC

阪神・淡路大震災の発生から30年です。
CBCテレビが取材した「災害の教訓」を当時の放送をアーカイブとしてお伝えします。(地震に関する分析も、放送当時の見解をそのまま掲載・公開しています)

「CBCニュースワイド」1995年2月16日放送(当時の原稿)

阪神大震災で、倒れた建物と倒れなかった建物。その明暗を分けたものはいったい何だったのかを検証し、その教訓を私たちはどう活かしていけば良いのかを探ります。

早朝、突然に襲ってきた大きな揺れ。20数秒で多くの建物があっという間に崩れ去り、人々を恐怖に陥れました。

こうした中、名古屋大学工学部で耐震工学が専門の福和伸夫助教授(当時、現在は名誉教授)は、地震直後に現地に入り、建物の調査を行いました。

倒れてしまった建物と、倒れずに生き残った建物の明暗はどこで分かれたのか。福和助教授が現地で撮影してきたこれらの写真には一つの共通点があります。

1階部分が駐車場や店舗で壁が少なく、2階以上が重くなっています。

このような建物が地震でどんな揺れ方をするのか。名古屋大学の研究室で模型を使った実験をしてもらいました。

2階から上の重みのほとんどが1階部分にのしかかり、1階部分だけが激しく揺れます。

(福和伸夫助教授)
「上に瓦屋根があって、これが一番大きな被害を受けた典型的な建物だと思うんですが、一つはこれ屋根が重いものです」

「下のところと、開口部がすごく多いですね。2階に壁が多い。けっこう日本ではこういう建物っていうのは数多くあると思うんですが、こういった建物で、1階の部分の柱と柱の接合部が切れてしまって、2階が落ちているっていうケースが非常に多かったと思います」

(福和伸夫助教授)
「ここの部分に筋交いのようなものが入っています。これが入りますと横に揺らそうと思ってもなかなかここのところは変形しなくて、接合部のところはかなりしっかりしています」

(福和伸夫助教授)
「このようなことをすれば、こういったような建物もずいぶん耐震性が増してくるんじゃないかと思います」

同じ振動を与えても、入れ方にはこれだけの違いが出ます。

(福和伸夫助教授)
「1階部分に店舗とか駐車場を持っていくと非常に便利なわけですね。そういうことでずいぶん現在でも、こういったタイプの建物は作られていると思います」

「今までどちらかというと美しさとか、住みよさというところに重きが置かれていたんですが、建物は自然から守るシェルターですから、シェルターとしての機能を果たすために、安全性に重きを置いた建物の設計があっていいんじゃないかなと」

「そういう意味では、1階がやや使いにくくはなるかもしれませんが、壁を適切に入れていただくっていうことが大事だと思います」

(重盛啓之アナウンサー)
それでは取材にあたった後藤克幸記者(当時、現在は特別解説委員)に話を聞きます。今の実験を見ますと、ちょっとした補強でずいぶん揺れが収まるんですね

(後藤克幸記者)
「VTRの実験でもわかりますように、1階だけに揺れのエネルギーが集中的に来ないように、天井と柱の間に斜めに補強材を入れるとか、今からすぐにでも私達にできることはあると思うんです」

「個々のケースにつきましては、やはりどんな家にどのような補強をが可能かということについてはケースバイケースなところがありますので、建築の専門家に診断をしてもらうのがいいんじゃないかと思うんですけれども」

「あともう一つ、やはり重要だと思いますのは、福和助教授のインタビューの中で指摘されていましたように、これまではデザインの良さ、建物の使い勝手の良さみたいなものが、設計の中で、非常に重点が置かれてきた。そういったその要請が強く打ち出されてきたという風潮が最近続いてきたらしいんですけれども」

「しかしここでもう一度、建物は私達の大切な命や財産を守ってくれる砦だということを改めて見直そうという考え方がどんどんこれからまた強まっていく。今回の大震災はその一つのきっかけになったんじゃないでしょうか」

「CBCニュースワイド」1995年2月16日放送【阪神・淡路大震災30年アーカイブ】

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