ステージ4の乳がんと闘う20代夫婦 “告知”後の結婚に込められた決意 「苦しみは半分に、喜びは2倍に」【チャント!大石邦彦が聞く】
CBCテレビ / 2025年1月18日 14時0分
あなたは、がんでステージ4のパートナーにプロポーズできますか?また、それを受け入れて「結婚」することができますか?
自分事に置き換えてみると、どちらの立場も難しい選択になるのではないだろうか?なぜなら、双方にとって相当な覚悟が必要だからだ。
その現実を全て受け入れ、夫婦になった若いカップルを取材した。
名古屋市に住む黒岩雅さん(28歳)は、2022年の秋、入浴している時に左の乳房にしこりのようなものがあるのを感じた。
明らかに違和感があるしこり。しかし、乳がん検診は済んだばかりで、その後の最悪の結果など、頭の片隅に微塵もなかった。
「そばで支えたい、結婚したい」がん告知後のプロポーズ
精密検査の結果は、「左乳がん」「肺、リンパ節転移」ステージ4。
直前の乳がん検診では触診とエコー検査で「異常なし」だっただけに、雅さんは「青天の霹靂だった」とその悪夢を振り返っていたが、そこから彼女の人生は急変していった。
主治医に告知されたものの、あまりの衝撃に耐えられなくなった彼女は、当時交際していた黒岩大誠さんに連絡した。
彼は、あまりのショックで憔悴しきった彼女の姿を見て、自分が全て受け止めようと決心した。
仕事を探している時に出会い、交際を始めて1年半の時が流れていた。
「そばで支えたい、結婚したい、結婚しよう」。
夫婦となり、2人でがんに立ち向かう
決してばら色ではない、大誠さんにとってもいばらの結婚生活が待ち受ける重い決断だったが、判断は早く、決意に揺らぎはなかった。
一方の雅さんは「本当に私でいいのか」と迷いはあったものの、ひとつ年下の彼の熱意に押され、2人で病に勝とうと決意した。決断も早ければ行動も早かった。
2022年11月16日に入籍、翌月の12月28日には結婚式を挙げた。
すぐに結婚した理由は、がんと夫婦で闘うためでもあった。
結婚生活のスタートは、壮絶な闘病生活が始まることも意味していた。
生活習慣などから若年化している乳がんは、若い人ほど進行は速いと言われている。
当時26歳の雅さんの左脇に近い乳房には5.1センチの腫瘍があった。ステージ4のため、治療の選択肢は少なく、切除することも叶わず、抗がん剤での治療を余儀なくされることになった。
副作用の苦しみ…壮絶な闘病 それでも前を向く
副作用はこれまでの人生で体験したことのない症状が次々と襲ってきた。
手は震え、同時にこわばりが続き、足は腫れた。
体中を虫が這うような感覚がつきまとい、時折3人くらいの人が自分の身体に乗っているような感覚に襲われた。
雅さんはこれだけの苦しみを味わっても前を向き、がんを克服し幸せな新婚生活を送ることができるなら…と希望を持っている。
しかし、頼みの抗がん剤も効果があったかと思えば、しばらくすると耐性ができるためか、効き目が悪くなり、別の薬剤に変更せざるを得なかった。
これまで試した抗がん剤は4種類、残念ながら状況を劇的に好転させるような大きな効果と成果は出ていない。
抗がん剤の副作用で急激に体調が悪化することもあるため、寝室にはカメラを設置し、大誠さんが離れていても雅さんの様子が分かるように工夫した。
大誠さんは何より雅さんに寄り添い、折れそうな心を支えた。
「苦しみや悲しみは半分に、喜びは2倍に」
2人は少しおっとりとしていて、優しい性格。何より明るく、楽しそうな雰囲気が漂っている。
24時間ほぼ寝たきりの暮らしが続いていても、むしろ前向きに話す2人を見ていて、はたと気付かされたことがあった。
2人の結婚生活は「苦しみや悲しみは半分に、そして喜びは2倍に」なっているのだ。結婚した意味はここにあったのかもしれないと、新婚の2人に教えられた。
現在は、2週間連続で抗がん剤を投与し、1週間空けるというスパンで治療を続けている。
時折、体調を崩して入院することもある。医療用麻薬の影響で意識がなくなってしまったりする時もある。
そんな体調不良を推して、なぜ?取材を受けたのか?
乳がん早期発見の重要性を訴える妻の思い
それは自分を通じて乳がんのことを少しでも知ってほしいからだという。
乳がんは女性の9人に1人がかかり、女性のすべてのがんの中で最も罹患数が多いが、死亡数は4番目。早期に発見して治療すれば生存率が高いのだ。
この事実を誰よりも理解しているステージ4の妻は、今この瞬間もまさに懸命にがんと闘っている。
いつもそばで支えてくれる最愛の夫とともに。いつか普通の結婚生活を送り、自分たちの子どもを産み、母になることを夢見て。
CBCテレビ 解説委員 大石邦彦
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