元TOKIO・山口達也さん（53）大好きだったお酒「絶対に飲まない」と誓った過去 アルコール依存症の苦しみ語る

CBC

アイドルグループ「TOKIO」の元メンバー・山口達也さん（53）。アルコール依存症で苦しんできた経験を名古屋で行われた講演会で語りました。

ー「2018年に私は芸能界を去りました。これはもう本当に自分の問題です。振り返ると飲み方が変わった。『この頃すでに依存症だった』という前から、自分の心がどんどん壊れていっていたのかなと、今答え合わせの人生で思っています」

約7年前に不祥事を起こし、芸能界を事実上引退。山口さんは「自己肯定感が低かった」と当時を振り返ります。

ー「なんかね、芸能人やってるくせにね、芸能人の仕事って苦手だったんです。人前で話すのがあんまり得意じゃないんです。だからその苦手意識があったのかもしれないですね」

不祥事の後は、お世話になった人たちに謝罪もできず、気がつけば周りには誰もいなくなったといいます。

若い頃から大好きだったお酒

ー「いろんな人どころか誰もいなくなりました。問題を起こすと人が離れていきます。どんだけ謝っても、ごめんなさいと言ってももう手遅れです。いなくなった人、いなくなったものの信頼を取り戻すっていうことはもうできないんです。それを問題を起こした人は受け入れないといけない」

ー「その中で、自分はお酒を止めなければいけないと思ったわけです。お酒が原因ではないですけれども、お酒ぐらいはやめなければいけない。おかしな飲み方をしていた。そうして自分は1人になりました。全て財産もなくなったし、それでも足りないです。そういう中で、お酒をやめました」

昔から大のお酒好きだったという山口さん。若い頃はウーロンハイやカルピスサワーを飲んでいたそうですが、大人になるにつれてビールや日本酒の銘柄にもこだわるように。

一生懸命働いた後は、仲間と毎日のように飲み、翌朝はまた仕事を頑張る日々。しかし、仕事が忙しくなってきた30代半ばになると、自宅で一人で飲むことが増え、次第に銘柄などのお酒のこだわりはなくなりました。

「どうせ焼酎を飲むなら、ビールをすっ飛ばして一杯目から焼酎でいいや」と、帰宅後は焼酎を“ラッパ飲み”する生活に。最後はコンビニの紙パックの焼酎（一升）を1日で飲み干していたといいますが、不祥事を機にお酒を断つことに。

2年ぶりにお酒を飲んだ後…バイクにまたがる

ー「『絶対に誓ったんだ。俺は一生お酒飲まないんだ、やめたんだ』って。そう思った2年後に、また飲むんですよね。今度はオートバイで事故を起こしました。私がテレビでそのニュースを聞いていたら、『あいつ、しょうもねぇな』って言いますよ。『何やってんの。あんだけ迷惑かけてね、勝手に好きなことやって、迷惑かけて出ていったくせに、あいつまだ飲んでるのか』って」

事故の後、医師からアルコール依存症と診断され、はじめて「アルコール依存症であることを認めた」といいます。

「いきなり依存症にはならないんです。お酒を大量に飲んだからって全ての人が依存症にはならないです。もっともっともっともっともっと昔から心が壊れていた。それがお酒につながって、依存症になり、そこで問題行動を起こすわけです」

事故を起こしてからの4年間、自分を見つめ直す中で、見えてきたのが“不安”でした。

全てのはじまりは「不安」だった

ー「結局入口は不安です。皆さんありません？不安。当たり前の不安ですよ。『今日ここまで無事に来られるかな？』『この洋服でいいのかな？』とか。でも不安ってこれ絶対あることだし、不安がない人なんかいないし」

ー「あのとき、仕事がめちゃくちゃ忙しいんだけど、全部『なんでだろう、うまくいかない、どうしてだ』って思っていたんですよね。これはその時気づけなかった。だって当時、幸せだった。エネルギッシュに生きていた。顔は笑っていたんです。でも心の中では『なんで俺はうまくいかないんだろう』と」

知らず知らずのうちに積み重なっていった「不安」。誰もが抱えるこの「不安」とどう向き合えばいいのか。

「過去って変えられないですよね。私がアルコール依存症になったこと、治らない病気になったことも変えられない。芸能人であったこと、迷惑をかけたこと、飲酒運転をしてしまったこと、変えられないんです。自分と未来はいくらでも変えられる」とメッセージを送りました。