※かきかけ【大石が聞く】“水”への不安 発がん性指摘のPFAS 血液検査でも検出 画期的な除去技術に“光”
CBCテレビ / 2025年2月5日 11時28分
物事の核心に迫る「大石が聞く」。
今回は全国の水道水などで見つかっている化学物質「PFAS」の問題です。
実はこれまでと全く違う光の力で除去する画期的な研究も登場しました。
簡単には分解されず、『永遠の化学物質』とも呼ばれるPFAS。
水をはじき、熱にも強いためフライパンのテフロン加工や服の防水素材、半導体など電子部品の製造などに長年使われてきましたが、人体への有害性が指摘され世界で規制が進んでいます。
しかし今、それが国内各地の水や、人体から検出され大きな問題になっています。
川の水から目標値の60倍の値が…
三重県四日市市で、PFASの調査を行っている市民団体の森下さんにお話を伺いました。
(大石アンカーマン:以下大石)
「大きな半導体工場がありますがここでも調査をした?」
(四日市公災害市民NET 森下裕二 共同代表)
「この排水溝(No.1)は、国の目標値からいくと3倍、150ナノグラム前後の値が出ている」
国の暫定目標値は水道水や地下水1リットル当たり50ナノグラム。
地元の半導体工場の排水からはその3倍近いPFASが検出されました。
(四日市公災害市民NET 森下裕二 共同代表)
「機械やポンプや配管にPFASが堆積してなかなか離れない。だからいまだに出てくるんだろうと」
現在工場では、規制対象のPFASを使っていませんが、いまだに排水に含まれているのです。さらに山間部では…。
(四日市公災害市民NET 森下裕二 共同代表)
「こちらの枝流だけで3か所測りました。まずこの辺りで3000を超える値が出た」
川の水から目標値の60倍の値が検出されました。
(周辺の住民1)
「何か怖い」
(周辺の住民2)
「分からない、色もついていない」
「高値」は川沿いに集中 上流には過去に“産廃処分場”が…
市民団体の調査で高い値が出た地点は一本の川沿いに集中しています。
その上流には、産業廃棄物の最終処分場だった土地があります。
(四日市公災害市民NET 森下裕二 共同代表)
「安定型の最終処分場なので、基本的には穴を掘るだけでガラスのくずや瓦くず、コンクリートくずなど産業廃棄物が収められていた」
ここは違法な処分が行われたとして5年前に許可が取り消され、以後放置されています。
雨が降って流れ出す可能性もあります。
この産廃処分場がPFASの排出源かは分かりませんが、今のところ四日市市が年に2回行っている調査では水道水も地下水も目標値を超えておらず、市は安全だと強調します。
(四日市市上下水道局 中野文裕課長)
「影響は多少はあるかもしれませんが、今のところ計測結果は国の定める暫定目標値50ng/Lを大きく下回っているので、十分安全だと思っている」
(四日市公災害市民NET 森下裕二 共同代表)
「問題は行政がしっかり旗を振って住民の思いに寄り添っていただきたい」
(大石)
「四日市は四日市公害という苦い経験があるので、公害になるリスクは一刻も早く消しておきたいですね」
(四日市公災害市民NET 森下裕二 共同代表)
「そういう過去の公害から教訓を得て、一刻も早くこの矢合川をきれいな川に戻していただきたい」
PFASは土壌から地下水へ… 少しずつ染み出す
PFAS研究の第一人者で市民団体の調査にも協力した京都大学大学院の原田浩二准教授に話を伺いました。
(京都大学大学院 原田浩二 准教授)
「PFASは土壌を通して地下水へ入っていく性質もある。そこから本当に少しずつ染み出してきている。流れきることもなかなかないし、PFAS濃度が高い状況が続きやすい」
(大石)
「産廃処分場の近くからかなり高濃度のPFASが検出されている。これを低くすることはできる?」
(京都大学大学院 原田浩二 准教授)
「処分場の水から出ているのであれば、その時点で(活性炭で)吸着させるなどの対応を取って減らしていくのはあり得るのではないか」
相次ぐ血液検査でのPFAS検出 国の対応は?
PFASが水道水や地下水から検出される自治体が増える中、国は先月、1リットル当たり50ナノグラムを単なる目安である"目標値"から強制力のある"基準値"に切り替える方針を決定しました。
早ければ再来年から水道事業者などに水質の維持が義務付けられます。
また、海外では血液中のPFAS濃度も重視され、各国で指標が設けられていますが、日本でも血液検査での検出が相次いでいます。
2025年1月、岡山県の吉備中央町では次のような発表がありました。
(岡山・吉備中央町 山本雅則 町長)
「対象者の人々は心配が大きいと思います。長期にわたってしっかりとお支えし、寄り添って少しでも不安の解消に努めていく」
吉備中央町は全国で初めて、公費で血液検査を行ったところ、町民709人のうち実に8割でアメリカの指標値を超え、最も高い人で1ミリリットルあたり743.1ナノグラムと37倍に達しました。しかし、環境省の浅尾慶一郎大臣は次のように話しています。
(浅尾慶一郎 環境大臣)
「現時点の治験ではどの程度の血中濃度でどのような健康被害が生じるか明らかになっておらず、血液検査の結果のみで健康への影響を把握することは困難であるとされている。国内外の知見の収集を推進するとともに化学的に評価可能な疫学調査を推進していきたい」
以前からの国の見解と変わらないコメントにとどまっています。
研究進む画期的な除去技術 光で分解
こうした中、ある画期的な研究も進められています。
立命館大学の小林洋一教授にお話を伺いました。
(立命館大学 生命科学部 小林洋一 教授)
「半導体ナノ結晶という触媒となるものを用いて、可視光という比較的温和な光を使ってPFASを光で分解することに成功した」
光でPFASを分解する技術。
水に特殊な触媒を入れて紫色の光を当てるとPFASが99%以上分解できるといいます。
(立命館大学 生命科学部 小林洋一 教授)
「1時間で0.1%まで減らせることが分かっている。電気を活用しているものなので、消費電力に対してどれだけ分解できるかをいかに押し上げていくかがこれからの課題」
いくつかの企業と提携し、数年後をめどに実用化を目指しています。
(立命館大学 生命科学部 小林洋一 教授)
「スケールをもっと大きくしていくことで、社会で実際に活用できる技術へ発展できる可能性があると期待している」
日本でも対策が進み始めたPFAS問題。
もっとも重要な水の安全性をどう守っていくのか。対策は待ったなしです。
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