【特集】パリ五輪サーフィン 稲葉玲王 “一生に一本の波”へ

　東京オリンピックのサーフィン会場一宮町から、パリオリンピックの舞台に挑む、サーフィン日本代表・稲葉玲王選手。
　大会で狙うは、子どもの頃から思い描く、ある「夢」です。

　日本サーフィンの聖地、千葉県一宮町・釣ヶ崎海岸。

　２０２１年に東京オリンピックも開かれたこの海で育ったサーファーが、２０２４年７月、パリオリンピックの舞台に挑みます。

　稲葉玲王選手、２７歳。海外勢にも負けないパワーを生かしたダイナミックなサーフィンが持ち味です。

　稲葉選手がサーフィンを始めたのは５歳のとき。

　プロサーファーで、一宮町でサーフショップも開く父親、康宗さんの影響を受けました。

稲葉玲王 選手
「最初は本当に泳げなかったし、海が怖くて、サーフィンというより怖さで泣きながらやっていたという感じ。その中でも毎日、海に行って入っているうちにだんだん気づいたら楽しくなっていた」

稲葉康宗 さん
「少しずつ浅いところから徐々にやらして、少しずつ自分でできるようになってから、厳しくなっていった感じ、親としては。サーフィンをこうしろ、ああしろというのは、ちゃんとできるようになってから厳しくしていった」

　有力選手が多く集まる一宮で次第に力をつけていった稲葉選手は、１３歳の若さでプロサーファーに。

稲葉玲王 選手
「ずっとプロサーファーのトップの選手を間近でみて、一緒にサーフィンしていたので環境としては良かったと思う」

　その後は、一宮を拠点にしつつも、ハワイなど単身海外へ、武者修行に励み、世界の波にもまれてきました。

稲葉玲王 選手
「海外に行くと（海底が）岩だったり珊瑚だったり、波の力も違うし、いろいろな波が世界中にあるので、そういう面ではいろいろな所に出ていくというのが経験としては大事」

　２０２１年の東京オリンピックは出場を逃しましたが、２０２３年、国内大会を優勝し、世界大会でも好成績を収めたことで、パリオリンピックの日本代表に選ばれました。

稲葉康宗 さん
「オリンピックの競技にサーフィンがなること自体が自分たちが現役の時から夢みたいな話だったので、自分の息子がオリンピックに行けるとなったら最高な恩返しだと思う」

　パリオリンピックのサーフィン会場は、南太平洋に位置するフランス領ポリネシアのタヒチ。稲葉選手にとって、特別な場所だといいます。

稲葉玲王 選手
「恐いけど、他にはないような美しい波。やっぱり夢があるなっていうか。あの波を自分が乗り切っているっていうイメージするだけでもゾクゾク ワクワクするような感じ」

　７メートルの高さに達することもあるほど巨大で、世界屈指の難度を誇る、タヒチの波。

稲葉玲王 選手
「初めて行ったのが１５歳くらいのころで、その時にトラウマで、こんな波絶対に乗れないって感じだったけど、そこからハワイとかいろいろな所で経験積んで、自信も出てきて、そんな中、２０２２年～２０２３年にタヒチに行く機会があって、『この波、やりたいな』みたいな。本当に、一生自分の中に残るような一本の波に乗れるチャンスがある」

　２０２４年６月、地元で開催された壮行会には２００人の大応援団が集結。

稲葉玲王 選手
「やっぱり安心する。みんな知り合いだし、狭い町ですけどみんな温かいし、地元の人たちがすごい数で応援してくれているので、サーフィンとしても有名な一宮から出ていくぞ、という気持ちはやっぱりある」

　地元のサーファーからも活躍を期待する声が絶ちません。

釣ヶ崎海岸のサーファーは―
「小学生のころから試合へ向けて努力している子なんだなという風にみていて、どんどんうまくなっていく。一宮でもすごく目立つ選手なので、オリンピック行けるんだ、すごいなという印象を受けている」

「玲王選手、日本代表おめでとうございます。パリオリンピックでしっかり頑張ってきてください。応援しています！」

「よく見かけるのですごいなあっていつも思っている。稲葉選手、パリオリンピック頑張ってください！」

　最後にずばり、パリオリンピックの目標を聞きました。

稲葉玲王 選手
「金メダル、一生に一本の波。一番は金メダルを取るということと、一生に一本の波に巡り会えたらなというのが目標。いちサーファーとしての夢というか、サーフィンをやってきた中で一番の夢は、小さい頃からずっと頭のどこかでイメージしている、忘れられない一本」

“一生忘れられない波” を求めて、一宮から世界の荒波に挑みます。

稲葉玲王 選手
「この一宮から、千葉から、日本を代表して、オリンピックで金メダルを獲れるよう頑張るので、応援よろしくお願いします！」