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『先生の白い嘘』初日舞台挨拶にてプロデューサー&監督謝罪 奈緒らキャスト全員が思いのたけを語る

cinemacafe.net / 2024年7月5日 21時23分

映画『先生の白い嘘』公開初日舞台挨拶が7月5日(金)、都内劇場にて行われ、主演の奈緒、共演の猪狩蒼弥、三吉彩花、風間俊介、三木康一郎監督が登壇した。本作において、インティマシーコーディネーターの起用をしなかったことが物議をかもしていたが、舞台挨拶の前にはプロデューサーが本件について謝罪し、舞台挨拶では三木監督も謝罪したほか、奈緒さんはじめ登壇したキャスト全員が思いのたけを実直に語った。


冒頭、プロデューサーより製作委員会からのコメントが読み上げられた。


「昨日、本作では、出演者から要望があったインティマシーコーディネーターを入れずに撮影をしたという内容のインタビュー記事が掲載されました。本作の制作にあたり、出演者側からインティマシーコーディネーター起用の要望を受け、制作チームで検討いたしましたが、撮影当時は日本での事例も少なく、 出演者、事務所や監督と話し合い、第三者を介さず直接コミュニケーションをとって撮影するという選択をいたしました。インティマシーシーンの撮影時は、絵コンテによる事前説明を行い、撮影カメラマンは女性が務め、男性スタッフが退出するなど細心の注意を払い、不安があれば女性プロデューサーや女性スタッフが本音を伺いますとお話をしていたので、配慮ができていると判断しておりました。しかしながら、この度、様々なご意見、ご批判をいただいたことを受け、これまで私どもの認識が誤っていたことをここにご報告を申し上げるとともに、制作時に一同配慮が十分ではなかったことに対し、深く反省をしております。本作を楽しみにお待ちいただいているお客様、原作の鳥飼茜先生、出演者、スタッフの皆様に不快な思いをさせてしまったことを心よりお詫び申し上げます」


舞台挨拶のためにキャストと三木監督が登壇すると、最初に三木監督が頭を下げた。


「今回、私の不用意な発言により皆さまに多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことをこの場を借りて謝罪したいと思います。本当に申し訳ありませんでした。さらに、関係者スタッフキャスト、彼らにも大きな大きな苦しみを与えてしまったこと、この場で謝罪したいと思います。本当に申し訳ありませんでした。さらに、原作の鳥飼茜先生、ものすごくこの作品に尽力していただいたにも関わらず、裏切るような形になってしまい本当に申し訳ありませんでした。最後に、このような状況でもこの場にお集まりいただいた皆さん、感謝しかございません。本当に、本当にありがとうございました」


謝罪が続いた後、一言挨拶で奈緒さんがしゃべり出したが、その張り詰めた空気をほぐすように、奈緒さんはときに微笑みも浮かべながら自分の気持ちを語ってくれた。


「今日ここに来るまでに、すごくいろいろな葛藤がありました。鳥飼先生と話さなくてはという気持ちが昨日からすごくあったので、許されることかわからなかったんですけど、自己判断で直接ご連絡を取りお会いしてお話して。それまで自分がここでどうやって立ったらいいかと思っていたんですが、鳥飼さんとも話して、原作にすごく支えられていた部分が映画を作っているときに大きかったので、少しでも皆さんが、今日来る選択をしていただいて、観ていただいてちょっとでも原作が伝わったり、そういうことにつながればうれしいなと」


「初日を迎えて、いろいろな複雑な思いが正直あります。けど先生とも話して感じたのは、この作品が観たときに、一つの映画としてとても力強い映画になっていると感じました。なので、現場のみんなで乗り越えた大変なシーンを思い出しながら、形になったんだと、すごくすごくうれしかったです。自分が思っていた以上にうれしい気持ちになりました。今日も一人だったら絶対心細かったし、三木さんと二人でも心細かったけど、風間さん、三吉ちゃん、猪狩くんがいてくれて。(観客の)皆さんのお顔を見れて、すごくうれしい気持ちと感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます」


猪狩さんは、奈緒さんと撮影に入る前に会話した印象的な内容を打ち明ける。「映画の撮影に入る前。奈緒さんと二人でお話する機会があって。僕は”演技わからないんです”という感じが若干あったんです。奈緒さんが”この作品を撮り終わったとき、また猪狩くんが演技やりたいと思ってくれたら、それが一番だよ”と言ってくれて。僕ちゃんと言えていなかったんですけど、演技また本当にやりたいです。楽しかったです」と猪狩さんが奈緒さんの目を真っすぐに見て伝えると、思わず奈緒さんは涙を浮かべ「ありがとう」と返していた。


三吉さんも、奈緒さんの座長としてのたたずまいを称えた。「本当にこの作品は奈緒ちゃんがとても真摯に向き合って、しんどいシーンも多かったと思います。間近で現場でも見ていて、こんなにも役ではあるけど、すごくリアルに感じて。リアルにお芝居していく姿を横で見てとても勇気ももらいました。奈緒ちゃんが座長で本当によかったとずっと感じていました。この作品がみんなにとっても、奈緒ちゃんにとっても報われる、一人でも多くの方に届く作品になったらうれしいです。温かい言葉を彼女には向けられたらと思います」と三吉さんは心を込めた。


風間さんは「この作品が誰かの希望になったり、誰かの明日をかえるような作品になれば幸せです。この作品で皆さんが思われたことは、映画を作った者たちが覚悟を持って、責任を伴う作品だと、全員が思って臨みました。思ったことがあったら矛を自分に向けないでください。映画を作った我々に責任はあると思っています」と引き締まった表情でコメントした。


そして、舞台挨拶中には、原作者・鳥飼茜氏からのコメントもMCによって読み上げられ、「原作者として丸投げしてしまったこの責任を強く感じるにいたり、反省した」と語り、「現実でも虚構でも、彼女(奈緒さん)は誠実そのものでした。感謝していますし、彼女が望むなら、たくさんの人にその素晴らしさを見てもらいわかっていただければ私自身反省をしたもので、これ以上のことはありません」とコメントした。


最後に奈緒さんは「私自身、原作にほれ込み作品に出演することを自分で決めました。やり取りがあり、すれ違いがあったのも事実です。当人同士の問題として、権力に屈することは一切なく、対等な話し合い、(対等な)関係で監督とも話をしました。言いたいことは伝えました。その上で、現場でちょっと不十分だと思う部分が正直ありました。対等な現場ではあったので、そこは皆さんご安心して、皆さん心配してくださっている声も届いていますので大丈夫ですとお伝えしたいです」と呼びかけた。


『先生の白い嘘』は累計発行部数100万部を突破した、鳥飼茜による同名原作の実写映画化。主人公である高校教師・原美鈴(奈緒さん)が抱える「自らの性に対する矛盾した感情」や、男女間に存在する「性の格差」に向き合う姿を描く。


映画『先生の白い嘘』は全国公開中。


鳥飼茜コメント全文



漫画が映像化することは、基本的には光栄なことだ。それでも自分は自分の描いた作品に無責任すぎたのかもしれないと思う。作品は作品で描いた人、撮った人、演じた人の個人とは無関係に評価されるべきか。そういう性質なものもあっていいと思う。ただ、自分はこの漫画を描くとき、確かに憤っていたのだ。一人の人間として、一人の友人として、隣人として、何かできることはないかと強い感情を持って描いたのだ。それがある意味特別で、貴重な動機づけだった。今あんな情動を持てない。


性被害に対し、何を言えるのか。私たちはどんな立場なのか。どんな状況でもそれを明らかにできる場合にしか明け渡してはいけない作品だったと思う。こんな原作がなんぼのもんじゃと言われるかもしれないが、なんぼのもんじゃと私だけは言ってはいけなかったと思う。自分だけは、自分のかつての若い”生もの”の憤りを守り倒さねばならなかった。


撮影に際して、参加する役者さんからスタッフにいたるまで、この物語が表現しようとしているすべてに、個人的な恐怖心や圧力を感じることはないかどうか、性的シーン、暴力シーンが続く中で、彼ら全員が抑圧される箇所がないかどうか。漫画で線と文字で表現する以上の壮絶さがともなうはずだったことに、私は原作者としてノータッチの姿勢を貫いてしまった。原作者として丸投げしてしまったこの責任を強く感じるにいたり、反省した。


後だしで大変恐縮ではあったが、センシティブなシーンの撮影についても、事細かに説明を求め、おろしてもらった。説明を聞き、一応のところ安心はしたものの、やはりあらゆる意味で遅すぎたし甘かったと思う。わかりようがないとはいえ、もっともっと強く懸念して、念入りに共通確認をとりながら繊細に進めなくてはいけない。そういう原作だった。


これは昨年、私が記した所信です。御社は公開はしませんでしたが、去年の時点での私の考えでした。今公開を迎えるにあたり、このたびの発言がよくない意味で注目されていることを私は何とも心苦しく思っている。なぜなら、何かこの作品で誰かに嫌な気持ちを起こすようなことがあれば、私にもその責任があると、すでにこのように去年の私は記していたからです。こういう場合、みな一様に”言葉には気をつけなければならなかった””本当に配慮が足りなかった””配慮に欠けていた”と反省されます。


ただ、私が感じる問題はそうではない。問題は最初から信念を強く持ち合わせていなかったことではないでしょうか。私も出版社も含め、製作した者たちがあらゆる忖度に負けない信念を、首尾一貫して強く持たなかったことを反省すべきだったのではないか。このことを私が今、私自身に痛感しています。


冒頭で言ったように、最大限の配慮や共通理解を徹底して作るべき作品であること。それを映画製作側へ、都度働きかけることを私が途中で諦めてしまったことを猛省したのは、主演の奈緒さんの態度に心を打たれたからです。個人的な感想ですが、この映画製作において、一番強かったのは奈緒さんです。彼女はこの騒動で誰よりも先駆けて私に謝罪をされました。現場で一番厳しい場面と素晴らしい場面に誠実に対峙した、奈緒さんが、です。心遣いに感心したと同時に謝罪なんて必要ないよと心から申し訳なく思いました。


何より、映画の中の主人公としての演技が素晴らしかったのです。現実でも虚構でも、彼女は誠実そのものでした。感謝していますし、彼女が望むなら、たくさんの人にその素晴らしさを見てもらいわかっていただければ私自身反省をしたもので、これ以上のことはありません。

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