1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

ソン・ガンホ、役所広司と対談実現「今日の衣装は『孤狼の血』をイメージ」『PERFECT DAYS』が韓国公開

cinemacafe.net / 2024年7月23日 17時30分

名匠ヴィム・ヴェンダースが役所広司を主演に迎え、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた『PERFECT DAYS』が、このほど韓国にて公開。ソウルにて行われた特別上映後トークイベントに役所さんとソン・ガンホが登壇。ソン・ガンホが語る本作の魅力や、お互いについてのトークなど、これまで語られたことのない内容が満載となった。


それぞれ第75回、第76回のカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞した、アジアを代表する名俳優の対談をひと目見ようと会場は超満員。観客から拍手で迎えられ、役所さんとソン・ガンホが登壇した。


今回、15年ぶりの来韓となった役所さんは「ソンさんとカンヌ映画祭以来に再会できて幸せです。よろしくお願いいたします」と笑顔。ソン・ガンホは「尊敬する役所さんとトークすることができてこのうえなく光栄です」と互いに挨拶した。


役所広司「もし、ポン・ジュノ監督が撮っていたら、平山はソン・ガンホ」



本作の感想を求められたソン・ガンホは、「無音の木々の間にさす一筋の光。日本の役所広司という偉大な俳優の微笑。役所さんの俳優としての演技の深み、そして作品が描く、人生の深みというものが計り知れないものだと思いました」と熱を込めて語り、「ありがとうございます」と韓国語で深く礼をする役所さん。


役所さんはヴィム・ヴェンダース監督の作品に出演したことについて「(出演を決めたのは)まだ監督にオファーしているタイミングでしたが、すぐにOKが出て、しかも監督のリクエストで長編映画にしたいということで、この映画の旅に出ることになりました」と回顧。


「最終的に韓国でソン・ガンホさんと一緒にこの映画を紹介できるとは夢にも思っていませんでした。もしヴィム・ヴェンダース監督ではなくて、ポン・ジュノ監督が撮っていたら、平山はソン・ガンホさんが演じていたのでは…と思いますが、早い者勝ちだったので、幸運でした」と話すと、会場は笑いに包まれた。


実際にソン・ガンホは、プライベートで東京を訪問した際に“木漏れ日”を体感し、平山の気持ちを味わったことがあったそう。「天候に恵まれたので、小さな公園を散歩しました。映画と一緒でベンチもあって、皆さんがすごくのどかな雰囲気でお弁当を食べていました。ちょうど空を見上げると、木々の葉っぱの間に日差しが差していて、しばらく私が平山になったつもりになりました」と、東京での思い出を語る。


そのほか『PERFECT DAYS』で印象に残っているシーンについては、「どのシーンも美しくて、本当に名場面ですけど、印象的だったのが平山の妹が、姪のニコを迎えに来るシーンです」と回答。


「平山の生い立ちが“多分裕福だったんだろうな”とか、“何不自由ない生活をしたんだろうな”というふうに察しました。平山の後ろ姿を見て、少しでも後悔の念を感じているのか、どういった価値観で家族と別れたのかな、などと思いながら。こういうシーンでも平山はすごく控えめな感情で、また暗い中で撮ったシーンなので、すごく印象に残っています。私はそのシーンがこの『PERFECT DAYS』という作品のアイデンティティーを読み取れるシーンなんじゃないかなと思いました」と答えた。


ソン・ガンホ「役所さんだけに裏でお話しします」ポン・ジュノ監督に言われた言葉とは…?



最小限の台詞で俳優の表情や身体の動きが物語をつくる本作へ、俳優としての質問はあるかと問われると、「名場面はたくさんありますが、ラストシーンは外せないと思います」とソン・ガンホ。


「長回しで、平山の顔の寄りで撮っていますが、どういうことを考えながら演じたのか、監督がどういうディレクションをしたのか?ということです。『殺人の追憶』(2003)でラストシーンを撮る前に、ポン・ジュノ監督が数十人のスタッフの前で聞こえる声で指示するのではなく、僕に耳打ちをしたことがあったので、そういうことがあったのか気になりました」と話す。


役所さんは「俳優人生のなかで、あれほど自分の顔がスクリーンに大写しになったのは初めてで、目線をそらすこともできず、カメラを見つめなければいけないというのが少し照れ臭かったですね」と吐露。


「ト書きには“バックミラーに平山の目に涙が見える、でも悲しそうではない。これから自分が選んだ仕事に向かう”というような詩的な文章が書かれていました。撮影の前に監督に『涙を見せたほうがいいのですよね?』と聞いたら、『泣かなくてもいい。でも泣いた方がいいかな』と言われて、『じゃ、頑張ります』と言って、やりました。本編と同じように『Feeling Good』を流しながらの撮影だったので、歌っているニーナ・シモンの魂が影響していると思いました」と撮影時をふり返った。


ちなみに『殺人の追憶』の伝説的なラストシーンでのポン・ジュノ監督からの指示について、ソン・ガンホは「もっと歳月を経てからでないと言えないです。役所さんにだけ、裏でお話しします」と2人の秘密にしていた。


役所広司×ソン・ガンホ、お互いの出演作で好きなのは…?



役所さんは悩みながら、「初めてソン・ガンホという俳優をみたのが『シュリ』(1999)で、そのあとが『JSA』(2000)で最近の作品もみてますけど、やっぱり『殺人の追憶』(2003)ですね」と回答。


「作品も素晴らしかったし、あの田舎者の捜査員がとても一緒には付き合えないような刑事でしたね(笑)作品自体がユーモアもあって緊迫感もあって、少年に両足で飛び蹴りした時には大笑いしました。ソン・ガンホさんはやっぱり実在感があるというか、リアリティがあるというか。ユーモアと、シリアスな部分のギャップの大きさが観客としてはとても魅力的なんです。すごい俳優さんがいるんだなと思っていました」と話す。


それに対し、ソン・ガンホは「もったいないお言葉です」と謙遜しつつ、「『PERFECT DAYS』という作品は、本当に役所広司という大俳優の演技の集大成なんじゃないかなと思いました。言葉を発してなくても、映画の深みというんですか、そしてその人物が抱えている苦しみも表現していて、これを役所さんでなかったら、こんな作品は生まれなかったんだろうと思います」とコメント。


「僕が一番初めに観たのは『Shall we ダンス?』(1996)、そして『CURE』(1997)、『すばらしき世界』(2021)も…。実は、私の今日の衣装は『孤狼の血』(2018)をイメージしてきました」と、『孤狼の血』で役所さんが演じた警察官の大上を真似てきたと明かすと、役所さんも会場も爆笑することに。


続けて「ポン・ジュノ監督と話していたのが、『うなぎ』(1997)で交番に行って自首をするシーンの演技。主人公の苦しみ、または哀れみ、その深さを演じられる俳優というのは、世界に役所さんしかいないんじゃないかなと」と、親交のあるポン・ジュノ監督とも役所さんについて話したことを明かした。


日本と韓国でいい交流ができたら…



最後の挨拶では、ソン・ガンホが「今の時代の映画は、物語の展開が速く、刺激的じゃないと注目を集められない時代です。そんな時代に、我々にあるべき姿は何か、まず大切な価値は何か、それを立ち止まって考えさせられるという意味で『PERFECT DAYS』は本当に大切な作品だと思います」とコメント。


「また、人生というのは完成がないんだという真理を語ってくださったような気がして、本日この場は本当に素敵な時間でした。改めて役所広司さんという俳優さんの偉大さを感じました」というと、隣同士で座る2人が頭を横に近づけてお辞儀。


続けて役所さんは「以前ポン・ジュノ監督が、役所広司をキャスティングするならどんなキャラクターにするかを質問されて“年老いた、ダメな漫画のアシスタントで、しょっちゅういじめられている役”とおっしゃっていたそうです。それが実現したら、恐らく漫画家の先生役はソン・ガンホさんで、両足で飛び蹴りされている僕の姿が頭に浮かびました。こうして、ソン・ガンホさんと知り合うことができて、何かもっと映画で日本と韓国がいい交流ができたらいいなと心から思いました。ありがとうございました」と言うと、本日一番の笑いとあたたかな拍手に包まれ、大盛り上がりのイベントが幕を閉じた。


『PERFECT DAYS』はロングラン公開中。7月26日(金)よりUHD/Blu-ray/DVD発売。


「ヴィム・ヴェンダース パーフェクト・デイズ ダイアリーズ 逆光」は8月9日(金)より発売。
価格:4180円(税込)





『PERFECT DAYS』UHD/Blu-ray/DVD
発売元:ビターズ・エンド 
販売元・豪華版BOX発売協力:TCエンタテインメント 
発売協力:スカーレット






この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください