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【レビュー】待望の日本初配信「ピラミッドゲーム」新鋭俳優たちが織りなすダイナミックな関係性に注目

cinemacafe.net / 2024年7月24日 17時30分

日本上陸を待ちに待っていた韓国ドラマ「ピラミッドゲーム」(全10話)がABEMAにて日本初・独占配信中。7月24日(水)にはクライマックスを迎える第9話、第10話が配信される。


女子高校のクラス内で行われる<ピラミッドゲーム>による序列化と、“いじめ”という名の陰湿な暴力が描かれる本作。「ザ・グローリー~輝かしき復讐~」や、学園版「D.P.」といわれた「弱いヒーローClass1」、今年配信された「ヒエラルキー」など、同様のテーマを扱う韓国ドラマは増えているが、「学校は社会の縮図」と繰り返す本作は誰もが当事者にも傍観者にもなる危うさとともに、友情の根源的な強さを映し出している。



韓国国内向けの配信サービス「TVING」で2月29日から3月21日まで配信された本作は、TVING週間有料加入機会数1位を記録するなど大ヒット。アジア地域には香港の「Viu」、欧米圏を中心に「Paramount+」を通じて世界配信もされ注目を集めた話題作だ。


最近では「ソンジェ背負って走れ」をはじめ、「ユミの細胞たち」「酒飲みな都会の女たち」などブームを生んだヒット作を配信してきた「TVING」は、名作を多数世に送り出すCJ ENMやSLL(旧JTBCスタジオ)、ウェブトゥーンサービスを有するNeverなどの合弁会社だが、日本での配信先は作品によってまちまち。だからこそ、いつどこで配信されるのか、韓ドラファンがヤキモキしていた期待の1作である。


原作は、日本でもLINEマンガで配信されている同名の人気ウェブ漫画(ウェブトゥーン)。


父ひとり子ひとりで、軍人の父の異動にともなって転校を繰り返してきた高校生ソン・スジは、韓国三大財閥の1つペクヨングループが創立・運営するペクヨン女子高校2年5組に転入する。


スジは直感的に、クラスの異様な雰囲気に気づいたものの、いつものように周囲を観察しながら友達を作り、学校生活に順応しようとした矢先、毎月最終木曜日5時間目のHRに行われる2年5組だけのゲームに巻き込まれていく。


そのゲームとは、個人投票によってクラスメイトをAからFまでランク分けし、最上位のAランクには独裁に匹敵する特権が与えられ、0票のFランクはいじめのターゲットになる、という残酷極まりないもの。スジは初めて参加したゲームで、Fランクとなってしまう――。



“ふだん感謝している子の名前を書こう”として発表したり、クラスメイトを順位づけをしたりすることは日本の学校でも身に覚えがあること。よく卒業文集などに「○○な人」ランキングも載っているが、こうした“ノリ”が拡大解釈され、正当化され、私物化されたのが、本作のピラミッドゲームだ。


ゲームによって、1つのクラスがいじめの加害者、被害者、そして傍観者に線引きされていく。F以外の者たちは自分自身を守るために無視を決め込み、上位ランクの者には媚び、ランクの低い者に対しては“怪物”になる。さらに、ほんの少しのさじ加減によって投票の結果は変わり、三者のボーダーは簡単に揺らいでしまう


そのさじ加減を陰で調整しているのが、「学校は社会の縮図」と言い放つペクヨングループ会長の孫娘で、財閥3世のペク・ハリンだ。持てる権力を最大限に使い、自分は直接手を下さずに、脅しという“鞭”と望みを叶えるという“飴”を与えながら、まるでチェスの駒のようにクラスメイトたちを操り、担任や雇われ校長、両親までも抑え込む。


「学校は社会の縮図」とはスジの父・ソン中佐の教育方針でもある。確かに階級は軍隊にも社会にも、実際どこにでもある。秩序と約束で階級は成り立っているとソン中佐は生真面目に言うが、スジが父に言い返すように、その秩序とやらで地獄のような思いをする者は「D.P.」などでも描かれてきた。


スジはそんな「ピラミッドゲームを粉々にする」と宣言し、狡猾で残酷なハリンに仲間たちとともに果敢にも立ち向かっていく。その熾烈な頭脳戦と心理戦を、期待以上のリアリティを持って体現しているのが新鋭俳優たちだ。


冷静で客観的、俯瞰的に物事をみるスジを演じるのは、ガールズグループ「宇宙少女」のボナとして知られ、ドラマ「二十五、二十一」でストイックな若きフェンシング金メダリスト、コ・ユリム役を好演して俳優としても知名度を上げたキム・ジヨン


余談だが、ボナといえば、コ・ユリムを演じ終えた後にK-POPサバイバル番組「QUEENDOM2」に鳴り物入りで合流し、グループの優勝を盛り上げたことも印象深い。ステージ上とはまるで別人のような本作のスジは、キム・ジヨンの底力を改めて見せつける。


また、ピラミッドを壊したいスジと、ピラミッドの頂点に君臨するハリンを結びつける、不器用だが優しく義理堅いジャウンを演じるのが、「イルタ・スキャンダル~恋は特訓コースで~」に出演していたリュ・ダイン


同作で共演し「ヒエラルキー」では主演をつとめるイ・チェミンと交際中という彼女はモデル出身。ともに学園サスペンスドラマで次世代俳優としての存在感を示した。


そして、ジャウンと過去の出来事を共有し、彼女への執着は狂気的といえるハリンを演じたのがチャン・ダアだ。パク・ソヨン監督(「聖なるアイドル」)によれば、キム・ジヨン以外はオーディションを通じてキャスティングされたといい、「最も重要視されたのは原作とのシンクロ率」で、「本人がペク・ハリンを演じるために努力を惜しまず、成長が目に見えた」と制作発表時に明かしている。


纏う優雅な雰囲気は実妹である「IVE」のエースメンバー、ウォニョンと似ているが、今回勇気をもって圧倒的ヴィランを演じ切ったことで、もはや妹の名前は不要になった。


受賞はならなかったものの、ストリーミングサービスの作品を対象にした「第3回青龍シリーズアワード」の新人賞に「ムービング」コ・ユンジョン、「殺し屋たちの店」キム・ヘジュン、「The 8 Show~極限のマネーショー~」イ・ヨルム、「寄生獣ーザ・グレイー」チョン・ソニといった注目俳優たちとノミネート。俳優デビュー作で候補になったのはチャン・ダアだけで、ペク・ハリンとして強烈な印象を批評家や大衆に与えたことがわかるだろう。


この3人の固い友情と愛憎が入り交じった、ダイナミックな三角関係も大きな見どころとなる。ジャウンを追い込むハリンと、ジャウンと一緒にいることを決めたスジはどんな形で決着をつけるのか注目だ。


ほかにも、保身のために徹底して傍観者を貫く学級委員ソ・ドアを演じた「脱出おひとり島」シーズン2のシン・スルギも、本作が俳優デビュー。また、「イルタ・スキャンダル」ではドアのような勉強家を熱演したカン・ナオンはクラスのアイドル、デビュー間近の練習生イム・イェリムとしてキーパーソンとなる。


スジらFランク出身を中心にした“仲間ズ”に少しずつ信頼が生まれ、友情が育まれる瞬間は温かくて微笑ましく、ユーモアさえある。権力におもねることなく、暴力でやり返すのではなく、シンプルなまでの信頼と友情だけで連帯し、社会の縮図とやらに立ち向かっていくその姿は共感を呼ぶこと必至。


そんな彼女たちの姿を通して見ると、ハリンのような怪物やピラミッドゲームを生み出したのは社会を構成する大人たちの無関心や無理解であることも、同時に突きつけられるはずだ。



「ピラミッドゲーム」は毎週水曜日12時~ABEMAにて2話ずつ配信中(全10話)。


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