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『マトリックス』『キル・ビル』から影響、アクション&スタントの裏側が明らかに『ポライト・ソサエティ』

cinemacafe.net / 2024年8月13日 12時30分

サンダンス映画祭で批評家、観客双方からの絶賛を浴び、英国インディペンデント映画賞では最優秀新人脚本家賞を受賞した映画『ポライト・ソサエティ』が8月23日(金)より公開。


この度、『マトリックス』や『キル・ビル』の流れを継ぐ破天荒アクションも見どころとなる本作のファイト・コーディネータースタント・コーディネーター、監督のニダ・マンズールが女性中心に繰り広げられる一連のファイトシーンデザインに込めた思いについて語るインタビューがシネマカフェに到着した。


家で、学校で、果ては結婚式場で! 主人公の高校生リア・カーンたち女性を中心に、様々な場所で繰り広げられる破天荒なファイトシーンが魅力の本作。


これら一連のファイト・デザインをニダ・マンズール監督のイメージを元に手掛けたのは、ファイト・コーディネーターのクリスピン・レイフィールドとスタント・コーディネイターのロブ・ラック、撮影監督のアシュリー・コナーの計3名だ。


ラックによれば、彼が過去45年にわたって学んできた様々なスタイルの格闘技が、ひとつの物語の中に盛り込まれるのは久しぶりのことだという。


「(ファイト・コーディネーターの)クリスピンがニダと関わり、エルボートラップ、寝技、スティックやナイフの投げなど、あらゆるスキルをさまざまなシーンに取り入れてくれたときは、夢が叶ったような気分でした」と語り、「この映画には単なる単純な戦いは決してなく、素晴らしかったです」と絶賛を送る。


「監督のニダと初めてチャットしたとき、彼女は『マトリックス』や『キル・ビル』などの作品に言及しました。もちろん、私はすぐに家に帰ってこれらすべての映画を観返しました」とレイフィールドはふり返る。「その後、ロブと私は、それらのアイディアを映画に組み込んで、作業を進めたんです」。


また、レイフィールドは「映画のすべての戦いの中で、学校図書館でのリア対(同級生)コヴァックスの戦いが最も挑戦的で楽しかった」とも述べ、「それらは『マトリックス』からいくつかのインスピレーションを得たもの」と明かす。


「かなり激しい戦いで、戦闘できるエリアも狭かった。リアは壁を駆け上がり、足首をつかまれ、キャビネットに叩きつけられます」と解説、「戦いにワイヤーを組み込む必要があったので、キャスト、スタントダブル、ワイヤーの動きを調整するのは困難でした」とふり返る。


「ロケ地であるユネスコ図書館の美しい場所で撮影していたので、細心の注意を払いながらファイトの動きを調整するのは大変でした。このシーンで一番好きな点は、観客は彼女がコヴァックスに勝つと思っているのに、決してそうはならず、ただひたすらボコボコにされるところです。でもリアは諦めないところが、素晴らしいと思います」と語った。


■結婚式での大バトルは「『グリーン・デスティニー』のよう」


大がかりな映画的シークエンスへの愛情を最大限に発揮したのは、結婚式での壮大な戦いのシークエンスだ。「結婚式の戦いは、ラヒーラとリアによる『グリーン・デスティニー』のような、香港カンフー風の大げさな戦いにしたかった」と監督は言う。


「キャストたちは本当にハードなトレーニングを積んだので、映画の中でもそのクオリティを感じてもらえると思います。本作のヒールであるラヒーラ役のニムラ・ブチャには花嫁部屋のシーンで『マトリックス』のモーフィアス風に部屋を飛び越える大技がありました」と監督。


「彼女は完全に役になりきってジャンプを決めていて、とてもクールでした!」と話し、「彼女が着地したとき、スタッフ全員から歓声が沸き起こりました」と明かす。


「実は、ニムラのために常にスタントを用意していたのですが、ニムラはひたすら耐え続けました。彼女は、自分がやりたかったことをやり遂げるまであきらめず、最終的にすべてをやり遂げました。本当に素晴らしい俳優です」とレイフィールドは感嘆する。


こうした結婚式の戦いのアクションを実現するために、最も困難だったのは、招待客の華麗な婚礼衣装をうまく操ることだったともいう。


「衣装が最大の難関でした。というのも、彼女たちは手の込んだ、美しく、大きく流れるようなインディアンドレスを着ていて、私たちはそれがアクションで宙を舞うのが見たかったのですが、ウェディングドレスを着て戦うのはかなり難しいことでした。リハーサルと撮影を繰り返しながら、動きに合わせて衣装を調整するために中断しながら撮影を進めていきました」。


■主演プリヤ・カンサラ、撮影前3か月間のトレーニングとは?


これだけ大掛かりなアクションが満載された本作だが、実は、リア・カーン役の主演プリヤ・カンサラを含め、これまで格闘技経験のないキャストがほとんどだった。


「実際に出演する俳優に、肉体的な戦いをさせることが重要だと思います。なぜなら、戦うときにキャラクターの内面の多くが引き出され、そこに生々しさが出てくるからです」というマンズール監督のこだわりを実現するため、撮影に入るにあたって、何よりもまず戦闘の振り付けのトレーニングが最優先事項となった。


実際、カンサラは撮影前の3か月間、レイフィールドとラックのもとでトレーニングを受け、マーシャルアーツだけでなく、筋力トレーニング、体操、ワイヤーワーク、そして多くのストレッチにも取り組んだという。


「ロブとクリスピン、コーディネーターの2人はすべての振り付けを教えてくれました。それから、どのように戦うか、私自身にどれだけのことができるかを考えながら、戦いの計画を練りました」とカンサラは明かし、「リアは劇中、しょっちゅう戦っているので、学ぶべきことがたくさんありましたが、<戦い>は彼女を形作る大きな部分を占めているので、結果的に、それはリアの身体性を理解するのに役立ちました」とも語っている。


リアが習得しようとしていた最も難しい技の1つは、540度の回転を伴う<540度ジャンプキック>だった。カンサラのスタントダブル、エリン・ジェイミソンがカンサラにキックのやり方を教え、彼らは何度もリハーサルを繰り返した。


そして「リアはスタントの95%をこなすことができた。『この映画が終わったら、演技のことは忘れてスタントチームに入るべきだ』と、彼女と冗談を言い合っていました」と笑顔を見せる。


■主人公の憧れ、有名スタント・コーディネーターへのリスペクトも


さらに劇中でリアが憧れるスタントウーマンとして登場するユーニス・ハサートにも注目! 彼女は実際に、数十年前から壁を打ち破ってきた女性のスタント・コーディネーターだ。


「彼女は英国では非常に有名なスタントウーマンで、マーベルを含む多くの大作をコーディネートした最初の女性の1人です」とレイフィールドは語る。そして、劇中を通して、彼女のキャリアに光を当てることは、レイフィールドがこの映画を非常に誇りに思っている理由の1つであると言う。


「私たちにはスタント・コーディネーターが必要であり、この分野には多くの女性と南アジア系の人々が必要なのです。この映画を見て、“私にもできるかもしれない”と思う人が出てくることを期待しています」と続ける。


■「いかなるルールにも従わない映画を作ることに深いカタルシスを感じています」と監督


マンズール監督もまた、ユーモアとアクションの中にインスピレーションを見出してほしいと願っている。「観客の皆さんには、南アジア系の姉妹とそのシスターフッドを描いたこの映画のストーリー、スペクタクル、そして面白さを楽しんでほしいです」と期待を込めて話す監督。


「特にこういったジャンルの映画では、滅多にお目にかかれないものなので、私にとっても純粋にエキサイティングなものでした。お行儀の良い若い女性であることの重みと<礼儀正しい社会>(Polite Society)への期待に伴うプレッシャーを感じて育った私は、ジャンルを融合させ、アナーキーで不遜で、いかなるルールにも従わない映画を作ることに深いカタルシスを感じています。映画の中ではどんなものにもなれるし、誰でも映画を作ることができるのです」と、その思いに力を込めている。


『ポライト・ソサエティ』は8月23日(金)より新宿ピカデリー、グランドシネマサンシャイン 池袋、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開。


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