見上愛&河合優実&伊藤万理華…いま気になる!次世代俳優たち
cinemacafe.net / 2024年9月2日 12時15分
「『自分はこうだから』というのがちゃんとある」。
8月29日(木)より世界配信されるNetflixシリーズ「恋愛バトルロワイヤル」の主演・見上愛について、共演の宮世琉弥はこう言い表す。
見上はNetflix日本が初めて製作する学園ドラマ、しかも恋愛禁止の校則に抗う主人公を演じる「恋愛バトルロワイヤル」にオーディションから抜擢され、現在放送中の大河ドラマ「光る君へ」では中宮・彰子役で出演、一条天皇との関係が気になる展開を迎えている。
また、韓国リメイクも決定したドラマ「不適切にもほどがある!」で話題を呼び、“新時代のアイコン”とも称される河合優実は、最新主演映画『ナミビアの砂漠』が9月6日(金)より公開。
さらに、この秋以降、出演作が相次いでいるのが『サマーフィルムにのって』で河合と共演していた「乃木坂46」出身の伊藤万理華だ。
いずれも、泥くさくて一生懸命で、摩擦だらけの青春を生きるリアルなキャラクターを演じてきた3人。三者三様ながらそれぞれに唯一無二の魅力をもつ、次回作が最も気になる次世代俳優たちに迫った。
見上愛、世界に見つかる!?
「恋愛バトルロワイヤル」でNetflixシリーズ初主演
まずは、キュートで親しみやすさがありながら、どこか神秘的な雰囲気を放ち、感情豊かな演技を思わず追い続けたくなる見上愛。ワタナベエンターテインメントの芸能スクール出身、2019年にデビューし、この7月で俳優生活は丸5年となった。
2021年に、同世代の青木紬らと若手キャストの1人を演じたNHKよるドラ「きれいのくに」、「SHOGUN 将軍」の倉悠貴とW主演した映画『衝動』や小野花梨の親友役を演じた『プリテンダーズ』などで着々と注目を集め、「liar」(2022・佐藤大樹とW主演)では地上波ドラマ初主演。
映画『異動辞令は音楽隊!』(2022)や、主演ドラマ「往生際の意味を知れ!」(青木とW主演)、『レジェンド&バタフライ』『658km、陽子の旅』、Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」(いずれも2023)といった話題作に出演してきた。
2024年の活躍も目を見張り、ドラマ「春になったら」「Re:リベンジ‐欲望の果てに‐」「ゲームの名は誘拐」と立て続けに出演し、初の単独主演映画『不死身ラヴァーズ』が評判を呼んだばかり。
そして、消え入りそうなくらい儚く、奥ゆかしい「光る君へ」の中宮・彰子から一変、Netflixでの単独主演を掴んだ「恋愛バトルロワイヤル」では、はっきりとした将来の目標を持つ高校生・有沢唯千花役を好演している。
“恋愛禁止”の超エリート高校で、唯千花は学校に隠れて交際する校則違反者から金銭を受け取り、証拠写真を揉み消す“ラブキーパー”としての活動を始める。やがて唯千花自身も恋愛に翻弄されながら、「自由でありたい。自分で決めたい。縛られたくない」と成長を遂げていくことになる。
同じ大学で出会った河合優実とは親友。意外にも、作り手側である演出コースの出身で、中3でその大学に入ることを決めると、「AO入試のためにハンドボール部を辞めて演劇部に入り直したり、当時、東京都がやっていた劇評があったので、応募して優秀賞をいただいたりもしました」(シネマカフェのインタビューより)という。
「今思うと人生を変えるために起こした行動だったのかもしれない」と振り返る見上。明確なヴィジョンのために何をすべきか、どう動くべきか、ストイックにそのロジックを追求していくところは唯千花とも重なって映る。
★見上愛をもっと知りたい、この1作:『不死身ラヴァーズ』
『ちょっと思い出しただけ』の松居大悟監督が原作漫画と出会ってから温め続けてきた10年越しのラブストーリーで、「見上さんがいなければ、この映画は作れなかった」と監督に言わしめた本作。
毎日「好き」を伝え続けることは、とてつもないエネルギーだ。親しみやすい笑顔で真っ直ぐに「好き」を伝える長谷部りのと、「恋愛バトルロワイヤル」の唯千花をぜひ見比べてみてほしい。
『不死身ラヴァーズ』は10月23日(水)Blu-ray・DVD発売、DVDレンタル開始、デジタル配信中。
河合優実、2024年を代表する活躍ぶり!
河合優実について、見上は大学に入学してすぐ偶然に見かけ、「とにかく目を引く人」「これを逃したら、後悔する」と思って話しかけて友人関係になったと、フジテレビ系「ボクらの時代」や河合がゲスト出演したNHK「あさイチ」で明かしている。
もともとはダンスに打ち込んでいた高校時代、『ナミビアの砂漠』山中瑶子監督の『あみこ』を劇場で鑑賞して感銘を受け、女優になりたいと決意、山中監督に「いつか出演したいです」としたためた手紙を渡していたという。
河合も2019年にデビュー、オダギリジョーや入江悠監督らが所属する鈍牛倶楽部に所属。2021年に公開された『由宇子の天秤』『サマーフィルムにのって』が高く評価され、第64回ブルーリボン賞新人賞をはじめ数々の新人賞を受賞する。
2022年は『愛なのに』『ちょっと思い出しただけ』『PLAN 75』『ある男』、Netflixシリーズ「First Love 初恋」など、公開、放送、配信された出演作品は15本以上にも及び、第35回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞 新人賞を受賞した。
「すごく嬉しい反面、いまは色々なプラットフォームがあって作品の全体数もすごく多い。消費のサイクルに飲まれないようにしたい」(シネマカフェのインタビューより)と断言する河合もまた、確固とした自分を持っている。
そして2024年、日本映画界期待の“怪物新人”だった河合が一気にお茶の間に知れ渡ることになるのが、1月~3月に放送されたTBS金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」(「ふてほど」)だ。
また、親友の見上が「映った瞬間に(私の)知っている優実じゃない」と衝撃を受けたことを番組で言及したのが、コロナ禍に掲載された新聞記事を基に実在の女性を演じ切った映画『あんのこと』。
貧困のなか母親からDVを受け、売春を強いられ、薬物依存症に陥る少女・杏の姿は、「ふてほど」で出会ったファンをいい意味で裏切ることになった。
さらに、「この5年間で河合さんのことを映画などで見かけるようになって」と話す山中監督が「脚本を書く前の段階から河合さんの存在には背中を押されていた」と明かすように、最新作『ナミビアの砂漠』では相思相愛で念願のタッグが実現、カンヌの地も踏んだ。同作では乱気流のように感情の忙しい主人公・カナとして、スクリーンで躍動する。
声をつとめたアニメ映画『ルックバック』も現在、観客動員数100万人を超えてロングラン&拡大公開中。10月25日(金)公開の役所広司主演『八犬伝』では時代劇の扮装も披露する。
「アンパンマン」の原作者やなせたかしと妻・小松暢をモデルにした2025年度前期の連続テレビ小説「あんぱん」では朝ドラ初出演、ヒロイン(今田美桜)の妹役という重要ポジションで代表作をさらに更新し続けることになるだろう。
★河合優美をもっと知りたい、この1作:「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」
初主演ドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」(「かぞかぞ」)は2023年NHK BSで放送されると話題を集め、ギャラクシー賞奨励賞などを受賞。この7月からNHK総合の名作の宝庫、ドラマ10枠で放送されており、改めてTVドラマファンの心を掴んでいる。
途方もない喪失と悲嘆を抱えながらも、コミカルに、ときに切なく、たくましく家族と生きる主人公・岸本七実の成長をきっと見守りたくなるはず。
ドラマ10「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」は毎週火曜22時~NHK 総合にて放送中。
伊藤万理華、出演作相次ぐ!
俳優としてさらなる躍進へ
『サマーフィルムにのって』(2021)で、“勝新”こと勝新太郎の『座頭市』や三船敏郎作品をこよなく愛する映画部の時代劇オタク・ハダシを演じて絶賛を集めた伊藤万理華。
第33回東京国際映画祭をはじめ世界各国の映画祭で続々と上映された同作や、『少女邂逅』枝優花が監督・脚本を務めた短編『息をするように』(2021)などの演技が評価され、第13回TAMA映画賞の最優秀新進女優賞、第31回日本映画批評家大賞の新人女優賞(小森和子賞)を受賞した。
「乃木坂46」1期生メンバーとして活動し、2017年に卒業後は映画・ドラマ・舞台などに幅広く活動。PARCO展「伊藤万理華の脳内博覧会」や「HOMESICK」を開催するなど、クリエイターとしても才能を発揮する。
2021年には「お耳に合いましたら。」で地上波連続ドラマ初主演、“(not)HEROINE movies(ノットヒロインムービーズ)”シリーズ第3弾『そばかす』(2022)では主人公・蘇畑佳純に疑問をぶつけ続ける妹・睦美役に。
今年はギャラクシー賞7月度月間賞「燕は戻ってこない」にも参加し、NHKドラマ初主演「パーセント」では、多様性の一環として「障害のある俳優を起用する」という局の方針に悩みながらも、ぶつかり合い、もがきながら“伝えたいこと”へと辿り着く若手女性プロデューサー役に挑んだ。
ショートドラマ「私たちも伊藤万理華ですが。」(2020)の新人ADに始まり、『女優は泣かない』(2023)の歯に衣着せぬTVディレクター、WOWOWのモキュメンタリー「PORTAL-X ~ドアの向こうの観察記録~」(2023)の現代社会の歪みを目の当たりにするカメラマンと、なぜか“裏方”の役柄が印象深い。
待機作も話題作ばかりだ。“(not)HEROINE movies”第4弾『チャチャ』(10月11日公開)は、「美しい彼」の酒井麻衣監督と初タッグ。
清水尋也と高杉真宙W主演の映画『オアシス』(11月公開)では、2人の幼なじみである記憶喪失のヒロイン・紅花に。
また、阪神淡路大震災から30年の節目となる2025年1月公開を目指す『港に灯がともる』では、映画『あさひなぐ』、ドラマ「旅するサンドイッチ」で共演した富田望生と3度目の共演を果たす。
富田からは初共演の際に「お芝居またやってよ」との言葉をかけられたと言い、今作で「姉として携われること、とても光栄に思います。お芝居を続けていて良かった」と明かす。その芝居同様、覚悟と勢いを感じさせる伊藤のさらなる躍進は今後も見逃せない。
★伊藤万理華をもっと知りたい、この1作:『チャチャ』
あざと可愛いことを自覚し、人目を気にしないチャチャは、中川大志演じる謎めいた青年・樂に惹かれながらも「彼は、悪魔かもしれない」と疑念を膨らませていく。ファンタジーのようで、サイコホラー? でもやっぱりラブストーリー!? 藤間爽子や塩野瑛久といった最旬キャストの存在も心憎い。
「酒井さんの頭の中にこんな世界があったなんて…そんな世界に寄り添うには?と硬い頭で悩んだ時、柔らかくなるまでずっと傍にいてくださいました」と語り、「自分の奥底に棲みついていたチャチャを引っ張り出してもらったような感覚」とコメントしていた伊藤の真骨頂といえる意欲作に仕上がっている。
『チャチャ』は10月11日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。
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