大ヒット連発の河合優実「それぞれ全く違うチャレンジができた」 『ナミビアの砂漠』にも感謝
cinemacafe.net / 2024年9月18日 12時30分
河合優実と山中瑶子監督が生み出した、圧倒的なエネルギーを放つ主人公カナに魅せられた声が公開初日よりSNSで相次ぎ、都内を中心に満席回が続出、熱狂を呼び起こしている『ナミビアの砂漠』。この度、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて大ヒット御礼舞台挨拶が開催された。
東京で生きる21歳のカナを演じた河合は、公開初日のイベントで「映画はここから旅立つので、祈りながら見守っていきたいです」とコメントを残していたが、そこから今回の大ヒットを受けて「自分の好きな映画館で舞台挨拶ができて嬉しいです」と挨拶。「身近な人や友人が今年見た中でぶっちぎりで好きですと言ってくれました。関係者の方も映画館に観に行ってくれていて、色んな人が楽しみにしていたんだなと実感しました」と大ヒットを喜びを明かす。
山中監督も「この Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下で上映していただきたいという強い想いで映画を作りました」と続け、満席の観客に向けて「映画を観終わったあと、建物から出て前と後ろを見たらその理由がわかると思います。映画と現実が接続されているんです」とコメントした。
今年3本目の主演映画、「そのときにしかできない役に出会っている」
主人公カナについて河合は「カナについても(意見が)様々で、取材とか受けてもライターさんとか自分自身と重ねる人もいるし、全くの他者として見る人もいる。こんなに多面的な映画なんだと分かった」と興味深そうに話し、山中監督は「共感できるできないが分かれやすいなと公開してから感じました。そうじゃないところでも楽しんでもらえると思っているので、好きなように観ていただきたい」とアピールした。
『あんのこと』『ルックバック』と今年3本目の主演映画、どれも全く違う役どころで、しかもどれも大ヒットという状況について、河合は「幸せなことだと思います。それぞれの作品で全く違うチャレンジができたのも一番良かったです。私を違う作品で観てくれた方が、毛色の違う作品も観に来てくれているので、参加できて良かった。ほんとに色んな意味で幸せだと思ってます」と感謝。
20代(主人公カナ)のキャラクターを演じたことについて河合は「これまではどうしても年齢的なことで高校生の役とか多かったですし、下の年齢の役を演じることが多かった。『あんのこと』やカナも含めてですが、これからのことを考えると、そのときにしかできない役に出会っていけてるなと思ってます」と改めて語った。
「いままで見たことのない河合さんを撮りたかった」と話していた監督。河合演じるカナの魅力が、SNSでも話題となっているが、カナという役を作りあげる上で河合は「脚本をいただく前から何度か(監督と)お会いしてお話する機会があって。作品についてではなく、身の回りのこととか、お互いが感じていること、山中監督が映画で描きたいことを話しました。なので、キャラクターについてゼロから話す必要がないのがすごく良かったです」と明かす。
すると山中監督は、「河合さんとお会いしてこういう映画を作る予定です、とは言わずに、お互いの家族の話とか、東京でいま生きている気分・ムードの話をしました。自分1人だと偏ってしまうところですが、友人知人、また全然知らない人など、いろんな人の話をいっぱい聞くことによって、普遍性も得られて多面的なキャラクターになると良いなと思って(脚本を)書いてました」と語った。
山中監督、河合優実は「勘だけでは絶対できない領域にいる」
ここでSNSで募った質問タイムへ。“感情の波が激しい役柄を演じる際、どのようにして気持ちを切り替えていますか?”という質問に、河合は「どんな役でも感情の波はあります。心に定まっているものはないんですけど、ベースとして、いま演じている役柄に日常生活でも持っていかれるということはないんです」と告白。
「できるだけ冷静に自分が演者としてできることは何だろうと考えてます」と答え、今回演じたカナについても「自分でエンジンをかけないと心が追いついてこないということももちろんありました。ただ気持ちだけ先走って振り回されようということはないです。できるだけ生の気持ちがでるようにしよう」と心がけたと語った。
そんな役者としての河合について山中監督は「地に足がついているというか。河合さんとして現場にいるなと思います。いい意味で河井さんから出てきているカナだなと思います。勘だけでは絶対できない領域にいるな、と感じます」と河合の凄さを撮影では実感したという。
また、山中監督へは『ナミビアの砂漠』というタイトルについて、“他には悩まなかったのでしょうか 撮影の段階で決めたのか 撮り終わってから決めたのかも気になります”との質問が。
「ナミビアでてこないじゃないか、行っていないじゃないかと思うかもしれませんが、カナにとってのナミビアの砂漠っていうのが、人との距離感だったり、色々な物との距離感の象徴としてあるんです。そのアイディアは脚本を書いている途中で浮かびましたが、このタイトルが名画の感じがしてしまって集客には向いてない感じがあるかもと不安になりました。けれど、出来上がったものをみたら、この映画はどうみても『ナミビアの砂漠』でした」と説明。
河合は正式にタイトルが『ナミビアの砂漠』になったことを聞かされたとき「お客さん入らなくていいと思っているのかなと思った」と話し、会場の笑いを誘った。
山中監督は「すごくピュアな人」「ずっとそのままでいて欲しい」
撮影後に感じたお互いの魅力、新発見したことについては、「(監督は)すごくピュアな人だなと思っていて。自分が信じていることとか、逆に疑っていることも含めて、そこに対する思いが強くてまじりっけがなくて素敵。ずっとそのままでいて欲しい」と伝える様子も。
一方、山中監督は「一切ずるくない。打算的なところがない。なんかすごく物事とか人をフラットに見てくれる」と語り、「取り乱して電話した時に、それは山中さんの木本ですから大丈夫ですよって言ってくれた」と続けた。
最後に河合は「ほんとうに色んな感想をみてますし、凄く満ち足りた気持ちです。なので皆さんも映画がはじまったら、浸る気持ちで観て頂けたら嬉しい。そして何が感じることがあったら、自分の中に残してほしい」と呼びかけ、山中監督は「河合さんが演じたカナっていう21歳の東京近辺に住んでいるという限定的な人物を描いているので、わかるわからないで楽しんでいただけると思うんですけど、それだけじゃないことも発見してもらったり、持ち帰ってもらえると嬉しいです」と締めくくった。
『ナミビアの砂漠』は全国にて公開中。
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