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上映禁止命令から支援、公開へ「インクルーシブな映画が作りたかった」『ジョイランド』監督語る

cinemacafe.net / 2024年10月18日 12時30分

パキスタン映画として初めてカンヌ国際映画祭に出品され「ある視点」審査員賞とクィア・パルム賞を受賞、さらにアカデミー賞の最終選考に残り、2023年インディペンデント・スピリット賞外国映画賞など18賞を受賞、世界で旋風を巻き起こした話題作『ジョイランド わたしの願い』。10月18日(金)からの日本公開を前に、本作が長編デビュー作となったサーイム・サーディク監督のコメントが到着した。


伝統的な価値観に縛られるパキスタンの若き夫婦が、そこから解放され、自分らしく自由に生きたいという願いの間で、揺れ動く姿が繊細に描かれる本作。


本国では少数の保守系団体から「LGBTQ+や、彼らとの恋愛を美化して描いた」ことが「社会的価値観や道徳基準にそぐわない非常に不快な内容が含まれており、“品位と道徳”の規範に明らかに反する」と反発を受け、政府により公開1週間前に上映禁止命令が出されるという事態に。


しかし監督や出演者らの抗議活動に加え、ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイやパキスタン系イギリス人の俳優リズ・アーメッドらから支援の声が上がり、禁止令は撤回。本国での上映が実現したことでも注目された。


監督は本作が生まれたきっかけを、「周囲から期待される男性らしさ」に違和感を持ち、それについて語りたかったからだという。「人生に求めているものが周りから求められているものと違うという経験をずっとしてきました。それについて語りたいと思いました。家父長制、それぞれの欲望、そして欲望を抑圧することの代償について、映画を作りたいと思いました」と語る。


「クイアな人々が出てくる物語を語りたかったのです。ストレート、クイア、トランスジェンダー、みんなが共存しているストーリー、インクルーシブ(多様性を認め合う)な映画が作りたいと思いました。お互い影響しあっているのが真実、自分とあの人は違うと思っていても、理解して受け入れるというアイデアが大切なことだと感じたのです」と本作に込めた思いを明かす。


家父長制が人々から欲望や幸せ、喜びを奪い取っていると思いました」という監督は、「父と未亡人とのエピソードは、実際に親戚の中で起こったことです。パートナーをなくして何年もたち、宗教的にはどんな年齢でも結婚したほうがいいと推奨しているにもかかわらず、70代にもなると社会的に嫌がられる」と話し、感情に影響を与えたエピソードを映画に盛り込んでいったという。


自ら手掛けた脚本は18稿目でようやく完成した。「最初はコロンビア大学院にいて、パキスタンから距離があったのがよかったのです。その距離があったから、キャラクターをより真実味を帯びて、書くことが出来たと思います」と言い、さらに「故郷に戻って新しい洞察が生まれました、当初の子供っぽい怒りに、共感や新たな理解を織り交ぜ、書き直せました」と監督。


だが、パキスタンでは公開1週間前になって上映禁止命令が下されてしまう。映画完成後にエグゼクティブプロデューサーとして参加したマララ・ユスフザイが声を上げてくれた。


「上映禁止になった後、記事を書いてくれたりSNSへの投稿をしてくれ、他のアクティビストといっしょに声を上げてくれました。それ以前には、パキスタンのアクティビストが上映禁止に声を上げてくれ、何週間にもわたるキャンペーンによって、禁止は解かれました」とふり返る。


そうして無事上映された映画の反応は、「インド、パキスタンは自分たちのことが描かれているということで、個人的なレベルで共感度が高かった」という。「驚いたのはフランス。100万ドルの売り上げがあり商業的に成功しました、キャストも無名で、文化も全く違うのに、それだけ成功して驚きました。フランスの人が感動してくれ嬉しいです」と手応えを口にする。


雄弁な音楽も印象的だ。「シディキさんは大変若いミュージシャンで、非常に才能がある人です。Instagramを通じて、依頼しました。早い段階に参加してくれ、理解も深かったです」と語っている。


『ジョイランド わたしの願い』は10月18日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。




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