おとぎ話の始まり？『ANORA アノーラ』47億円大豪邸の年越しカウントダウンシーン到着

第77回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞、映画賞レースのフロントランナーの呼び声も高い『ANORA アノーラ』から、約47億円の超高級物件で撮影された年越しカウントダウン・パーティーシーンの本編映像が解禁された。

米アカデミー賞を前に、12月26日現在188部門にノミネートされ、うち72部門で受賞（※配給調べ）。特に主演女優（俳優）賞では35ノミネート、うち受賞発表済の25の賞で17受賞と、主演マイキー・マディソンの独走状態だ。

年明け日本時間1月6日に授賞式が行われるゴールデン・グローブ賞でも、作品賞（ミュージカル・コメディ部門）、主演女優賞（ミュージカル・コメディ部門）、監督賞、助演男優賞、脚本賞の主要5部門にノミネートされ、複数受賞が期待されている。

本作は、ニューヨークを舞台に身分違いの恋という古典的な題材を21世紀風にリアルに映し出した、アンチ・シンデレラストーリー。

この度解禁するのは、アノーラ（マイキー・マディソン）が職場の友人のルルを伴って訪れる、大富豪の息子イヴァン（マーク・エイデルシュテイン）の豪邸での年越しカウントダウン・パーティーのシーン。

アメリカの大みそかは友人と乾杯したり、新年午前0時あわせのカウントダウンをしたり可能性に満ちた新年を待ちわびながら年を越すのが定番だが、ロシア新興財閥の息子のイヴァンもアメリカ流に年を越す。

広いロビーには女性の裸体を模った大きな氷像が鎮座し、DJの流す大音量の曲で踊り狂う来客たち。大量のアルコールと怪しげな薬物も摂取して大いに盛り上がったカウントダウンの後は、勢いのままテラスから花火を打ち上げパーティーはクライマック ス。

主催者のイヴァンはご満悦、アノーラもパーティーを存分に楽しんだ様子がうかがえる。

この狂乱のパーティーの映像には、実は監督が最も好きなシーンのひとつが含まれているという。

「アノーラはパーティーにビジネスのために来たけれど、お金をもらって呼ばれたわけではないから、その時点でビジネスとプライベートの境界線はすでに曖昧になっています。イヴァンは魅力的で、彼女はイヴァンが気になって仕方がありません」と監督。

「僕が大好きなのはカウントダウンのシーンで、アノーラが彼に見とれて数をいくつまで数えたか忘れてしまい、ハッとしてルルを見てまた素に戻る表情の移り変わりです。とてもキュートなんです。些細なシーンなんですが、仕事場のクラブでの他の客への声のトーンや態度と比べると、彼に対して好意を抱いていることがはっきりわかると思います」と語っている。

また、監督がこのシーンでイヴァンを熱狂の中心にいる人物として描くのに参考にした映画は『華麗なるギャツビー』（1974）。豪華絢爛な宴で魅力をふりまくギャツビーを意識して演出したというイヴァンの求心力にも注目だ。

ちなみに、このパーティー会場になっているイヴァンの邸宅は、監督のショーン・ベイカーがGoogleで「ブルックリンで最も高価な邸宅」と検索して出てきた豪邸を借りて撮影している。

売りに出されていた際は3,000万ドルで、現在の為替相場で換算すると約47億円の超高級物件。このパーティーのシーンはたったひと晩で撮影された。

『ANORA アノーラ』は2025年2月28日（金）より全国にて公開。