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『石門』主人公の人生が投げかける、女性ゆえに直面する“石のように”重い扉

cinemacafe.net / 2025年1月26日 12時0分

第60回台北金馬獎で日本資本の映画として初めて最優秀作品賞を受賞、最優秀編集賞との2冠に輝いた映画『石門(せきもん)』(2022)が待望の日本公開。この度、新たな場面写真が解禁となった。


北京電影学院で脚本を学んだホアン・ジーと、日本でドキュメンタリー制作に従事した後、2005年に中国へ移住した大塚竜治。夫婦でもある2人の共同監督による本作。


新たに解禁となった場面写真は、主人公のリン(ヤオ・ホングイ)が、妊娠の影響による胸の痛みを、郊外で診療所を営む母に診てもらう場面だ。


フライトアテンダントを目指す学生のリンは、予期せぬ妊娠と恋人との別れ、そして死産の責任を追及され賠償金を迫られる母への仕送りに頭を悩ませていた。


胸の痛みを訴えるリンを診る母は、進学させた娘が妊娠したことを叱り、堕胎薬を飲むよう進めるが、中絶を望まないリンは、賠償金の代わりに子どもを差し出すことを提案する。


2人が死産となった母親の従兄である男性に取引を持ち掛けると、赤ん坊の父親の身長や学歴をつぶさに確認され、赤ん坊の心身の健康と、知能指数の高さを確かめるためにリンたちが1年面倒を見ることを条件に提示される。


しかし、出産後は大学に戻りたいリンと、診療所の仕事がある母は厳しい条件だったーー。


妊娠期間と同じ10か月をかけて撮影された本作『石門』では、主人公のリンを通して、女性の前に立ちはだかる石のように重い扉を描き出す。


望まぬ妊娠と出産によって学校や仕事を中断せざるを得ず、元の進路に戻るため、出産後すぐに大学に戻ろうと考えるリンの姿がその一例だ。


また、ドレスを着てデパートの前に立つキャンペーンガールや、リンの妊娠発覚のきっかけとなる、優秀な遺伝子を求める富裕層に向けた卵子提供ドナーが割のいい単発の仕事としてカジュアルに紹介される場面も。


若く健康な“女性性”を営利道具とみなし、売り物とすることにためらいのない空気は、世界各地で現在進行形で起きているジェンダー問題と根を同じくする。


フェミニズム映画が注目を集め、高い評価を受けている近年。その潮流が高まるよりも早く、少女の性被害を題材にしたデビュー作『卵と石』(12)、女子高校生の性が搾取される様を描いた『フーリッシュ・バード』(17)と、長年にわたって“女性と性”というテーマを描いてきたのがホアン・ジー監督と大塚竜治監督だ(『石門』に続き2作品とも日本初公開が予定されている)。


世界中で高い評価を受ける両監督が、入念なリサーチをもとに、現代の中国を生きる女性の姿を静謐なタッチで描いた本作。


痛々しく息苦しいリンの生きざまに、何をみるのか。現代のあらゆる女性が抱える問題に警鐘をならし、重々しい『石』の『門』を開く一条の光を求める作品となっている。


『石門』は2月28日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネリーブル池袋ほか全国にて順次公開。


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