技能実習で来日した女性たちの苦悩描く『海辺の彼女たち』新人監督部門に選出~サンセバスチャン国際映画祭

シネマトゥデイ 映画情報 / 2020年9月16日 22時1分

主演女優はベトナムでのオーディションで選んだホアン・フォン。『海辺の彼女たち』より (c)2020 E.x.N K.K.

 18日に開幕する第68回サンセバスチャン国際映画祭(以下、SSIFF)のニュー・ディレクターズ部門に、藤元明緒監督の日本・ベトナム国際共同製作映画『海辺の彼女たち』(2021年公開予定)が選出され、19日に現地でワールドプレミア上映される。新型コロナウイルス感染症の水際対策強化により帰国後は自宅などで14日間待機することになるが、藤元監督は「こんなチャンスはない」と渡邉一孝プロデューサーらと共に自分たちの夢を賭けて現地へ向かう。

 『海辺の彼女たち』は、ベトナムから外国人技能実習生として来日した女性たちの苦悩と葛藤を描いた社会派ドラマ。藤元監督は日本・ミャンマー合作の初監督作『僕の帰る場所』(2017)で法律や政治に翻弄される在日ミャンマー人家族の実話をドラマにしており、2作続けて日本の移民問題に斬り込んでいる。

 難しいテーマながら、撮影では青森・外ヶ浜町が全面協力。さらにベトナムのエヴァー・ローリング・フィルムズとの共同製作で、ベトナム人キャストは、現地でオーディションを実施し、テレビキャスターや演技未経験者を抜てき。原作とスター俳優ありきの映画製作が王道の日本映画界の中で際立つ野心作だ。

 SSIFFの選考委員の一人であるロベルト・クエトは「本作は日本映画ではあまり扱うことのない、日本社会におけるアジア諸国からの移民たちが直面する悲しき現実をテーマにした非常に力強い作品であると考えました。そのエネルギッシュかつ鋭い洞察は、女性キャストたちの信念と素晴らしい感情表現によってもたらされています。この映画を製作した藤元監督は、わたしたちSSIFFが支援していきたい逸材だと感じました」と高く評価している。

 SSIFFは藤元監督にとっても大本命の映画祭だったという。『僕の帰る場所』は第30回東京国際映画祭「アジアの未来」部門で作品賞を受賞している。その時の審査員の一人がSSIFFディレクター・ジェネラルのホセ=ルイス・レボルディノスだった。『僕の帰る場所』でもプロデューサーを務めたE.x.N(エクスン)代表の渡邉は「授賞式後のパーティーでお会いした時、『自分たちの映画祭でも上映したかった』とおっしゃっていただいた。ぜひ新作を申請してみようと思った」という。

 理由はもう一つある。『僕の帰る場所』はオランダのシネマジア映画祭など数多くの映画祭で上映され、中国とインドネシアでは配信もされたが、海外での配給は実現できなかった。欧州の海外セールス会社に言われたのが「欧州の主要な映画祭で上映されていない映画を売るのは厳しい」との声だった。

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